食材汚染第二回 個別の汚染についての情報(平成25年4月14日)武田邦彦
★ご注意
武田教授の食品汚染関係情報は、その時点の公式発表をもとに書かれています。時間が経てば、それが現実にそぐわない場合も有ります。記事が書かれた日時における、一般的な傾向とお考え下さい。それでも、十分参考になると思います。
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食材汚染の第一回で、現在(2013年4月)における日本の食材の汚染について全体の傾向をまとめました.今回はそのうちの一部を紹介して汚染の程度についての「感触」を得て欲しいと思います.
「感触」を持つのが必要なのは、実は食材の安全を完璧に守るためには、政府が「1キロ40ベクレル」(基準とは異なる。外部被曝を勘案した値)を守り、農家が誠意を持って食材を提供し、自治体も学校給食担当者も、自分自身の意見ではなく1年1ミリの被曝限度という法律を守る決意をすることですが、それは残念ながらできないのです.
だからといって毎日、お買い物をする食材のすべての汚染度を調べる時間はありません。そこで第一回のようにまずは食材ごとに汚染度の平均的なものを理解しておく(全体像)と、以下に示すような個別の例を見て、全体を推定するということで家族を守るしかありません。
まず、世田谷の子どもを守る会の情報です.(赤字は子どもに食べさせてはいけない1キロ40ベクレルを超えるもの)
「4月5日は、栃木県産野生イノシシ肉から基準値超過が相次いで
見つかりました(ここで言う基準値は、内部被曝だけで1年1ミリになる値です)。
最大は200Bq/kgで、基準値を超えなかった検体も、19.7~95Bq/kgとなっており、山林の汚染の深刻さが伺えます。
岩手県では原木シイタケ6検体のうち3検体から検出がありましたが、2件は37および50Bq/kgと高めの数値です。
海産物は、北海道の流通品マダラから11および49Bq/kgが検出された他、宮城県のスズキからも77Bq/kgと高い数値が見られました。牛肉は、宮城県産25検体のうち1検体から26Bq/kgが検出されています。」
また、県ごとに整理すると、
北海道・流通品マダラ4検体 すべて11および49Bq/kg
青森県・マダラ3検体 すべて4.4~16Bq/kg
青森県小川原湖・ヤマトシジミ 9.5Bq/kg以下
岩手県・原木シイタケ6検体 うち3件 8.7~50Bq/kg
岩手県・マダラ7検体 うち4件 5.4~16Bq/kg
宮城県・原乳5検体 すべてGe1.9~2.4Bq/kg以下
宮城県・イカナゴ3検体 すべて2.3~3Bq/kg
宮城県・スズキ 77Bq/kg
宮城県・マダラ 11Bq/kg
宮城県・スケトウダラ 0.85Bq/kg
栃木県・タケノコ2検体 うち1件 7Bq/kg
栃木県那珂川町・野生クサソテツ 14Bq/kg
栃木県・野生イノシシ肉16検体 うち8件基準値超過(最大200Bq/kg)
その他すべて 19.7~95Bq/kg
埼玉県・モウソウチク5検体 いずれもGe3.3~17.4Bq/kg以下
宮城県・牛肉25検体 うち1件26Bq/kg
おおよそのことがわかったと思います.まだ東北を中心とする地域の農作物、サカナなどは危険があることを示しています.これは当然でもあり、放射性物質は100年は無くなりませんし、除染が進んでいないからです.
セシウムは筋肉に蓄積し、心臓病の原因となりますし、ストロンチウムは骨に蓄積し白血病を起こします.「自然の食品に放射性物質がある」という悪意のある説明(もちろん、食材の基準は自然の食品のことは知っている人が作ったもの)で、それをわざわざ自然の食品の中の別の元素の量などを示すのは、本当に知ろうとダマシです。
法令を知っていながら、相手を誤解させ、子どもを余計に被曝させるために「自然の食品にもこんなに放射性物質がある」とわざわざ書く人は、結果的に子どもの被曝を増やすのですから、言葉は悪いのですが、「悪魔」のようなものです。
(平成25年4月14日)
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(C)武田邦彦 (中部大学) 引用はご自由にどうぞ
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