「北の山・じろう」時事問題などの日記

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風知草:だって終わってない=山田孝男(2012年01月09日)毎日新聞

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風知草:だって終わってない=山田孝男
毎日新聞 2012年01月09日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120109ddm002070089000c.html

▼全文転載

 

 「原発事故の賠償を進めて再生を」と簡単に言わないでほしい。東京電力に損害賠償を請求した避難世帯 は、いまだ半分に満たないそうだ。「原発は安全を確保して動かすべきだ」と簡単に言わないでほしい。安全に動かす方法は、いまだ確立されていない。いいか げんな土台の上に再生はない。

 正月のテレビニュースによれば、昨年9月以来、東電が受け付けた個人の賠償請求件数は3万4000。対象は強制避難区域の15万人、7万世帯だから総世帯の半分弱だ。

 請求は、なぜ滞るか。山形へ避難している知人に電話で聞くと、こう答えた。

 「だって終わってない。まだ渦中ですからね」

 知人は60代男性、自営業者である。暮れの28日、連続テレビ小説「カーネーション」で、主人公・糸子が敗戦の玉音放送を聞いて放心する場面。なにげなく見ているうち、強い感慨にとらわれたという。

 「だって終わらないんですからね、こっちは」

 家族は離散。自分の一生どころか、子も孫も不安を抱えて生きねばならない。

 それが最大の悩みだが、どうしてもらえるのか。東電と個別に交渉するより、弁護士に相談すべきではないのか。それやこれやを迷い、書類は取り寄せたものの、申し込んでいないという内情を聞いた。

 賠償が始まった昨秋、書類が複雑だからイカンといわれ、東電は書類を作り直した。原子力損害賠償支援機構が発足し、弁護士と行政書士による避難先の訪問相談も始まった。

 請求が増えると、たちまち書類の山ができた。照会、入力要員を増やし、現在は東京都江東区にある東電の 子会社「テプコシステムズ」の14階建てのビルで2200人(うち東電の社員800人)が審査に当たっている。やっと事務がスムーズになったとはいえ、相 手はまだ数万件という段階だ。

 問題はその先にある。ケタ違いの請求が待っている。強制避難区域外の自主避難者、高線量地域に残る人々だ。政府は福島県中・北部の150万人を対象に賠償指針を示した。そこから漏れた会津・白河地区の50万人もいる。県外、国外からの請求も無視できまい。

 膨大な作業だ。東電と支援機構だけでなく、自治体も乗り出すべきだろう。いくらカネを積めばいいとか、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使えばラクというような無機質な感覚ではやりおおせない。地道に取り組んで初めて再生に手が届くのではないか。

 これほど厄介な原発を政府はどうするのか。今年はそれを決める年でもある。

 

 原発の再稼働なくして夏を乗り切れるか。火力発電回帰で温暖化ガスを増やしていいか。イラン核開発でホルムズ海峡緊迫の折、原発なしですむか。以上は原発の危険に目をつぶる理由になるか。選挙で民意を問う場面もあるだろう。

 原発事故賠償請求書類の審査が続く「テプコシステムズ」のビルは、第一国立銀行(現みずほ銀行)など約470社を設立して日本資本主義の父とうたわれた明治の実業家、渋沢栄一の私邸跡に建っている。

 暴利を戒め、公益、道徳を重んじた渋沢ゆかりの地で経済成長の後始末が進むという因縁は興味深い。エネルギー政策見直しは後ろ向きのジレンマではなく、最先端の挑戦だという自覚が重要であると思う。(毎週月曜日掲載)

 

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風知草:宙に浮く燃料プール=山田孝男(毎日新聞 2012年04月02日)

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風知草:宙に浮く燃料プール=山田孝男
毎日新聞 2012年04月02日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120402ddm002070119000c.html

▼全文転載

 

 大震災以来のおびただしい批判、検証、反省もむなしく、原発の安全をチェックする行政は後退し続けている。 

 その証拠に、今週から原子力安全・保安院と原子力安全委員会の予算はゼロ。取って代わるはずの「原子力規制庁」は法案が国会に滞留し、発足できない。つまり、監督官庁の存在感がさらに薄らいだ。

 予算は「その目的の実質に従い、執行できる」(予算総則14条2)から、暫定存続の旧組織は新組織の予算を流用できるとはいえ、士気は上がらない。各府省のもたれ合い、与野党の不決断、何ごとも東京電力任せの実態は相変わらずだ。

 福島第1原発4号機の核燃料貯蔵プールが崩壊する可能性について考えてみる。震災直後から国内外の専門家が注視してきたポイントである。

 東電は大丈夫だというが、在野の専門家のみならず、政府関係者も「やはり怖い」と打ち明ける。どう怖いか。

 4号機は建屋内のプールに合計1535本、460トンもの核燃料がある。建屋は崩れかけた7階建てビル。プールは3、4階部分にかろうじて残り、天井は吹っ飛んでいる。

 プールが壊れて水がなくなれば、核燃料は過熱、崩壊して莫大(ばくだい)な放射性物質が飛び散る。アメリカの原子力規制委員会もフランスの原子力企業アレバ社もこの点を強く意識した。

 「福島原発事故独立検証委員会」(いわゆる民間事故調)報告書は、原発事故の「並行連鎖型危機」の中で も4号機プールが「もっとも『弱い環』であることを露呈させた」と書く。政府がまとめた最悪シナリオ(同報告書に収録)も4号機プール崩壊を予測。さらに 各号機の使用済み燃料も崩壊し、首都圏住民も避難を迫られるというのが最悪シナリオだ。

 震災直後、原発事故担当の首相補佐官に起用された馬淵澄夫元国土交通相(51)は、4号機の地下から プールの底までコンクリートを注入し、チェルノブイリの「石棺」のように固めようとした。が、プール底部の調査で「強度十分」と見た東電の判断で見送ら れ、支柱の耐震補強工事にとどめた。

 当時の事情を知る政府関係者に聞くと、こう答えた。

 「海水を注入しており、部材の健全性(コンクリートの腐食、劣化)が問題。耐震強度の計算にも疑問があ る。応急補強の間にプールから核燃料を抜くというけど、3年かかる。それまでもつか。(石棺は)ダムを一つ造るようなもので高くつく。株主総会(昨年6 月)前だったから、決算対策で出費を抑えようとしたと思います」

 原発推進は国策だが、運営は私企業が担う。政府は東電を責め、東電は「国策だから」と開き直る。「国策民営」の無責任体制は変わらない。

 

 民間事故調の報告書は市販開始3週間で9万5000部出たそうだ。1冊1575円もするというのに。体面や営利に左右されない体系的説明に対する国民の飢えを感じる。

 東北・関東で震度5級の地震が続いている。最悪の事態を恐れる者を「感情的」と見くだす不見識を受け入れることはできない。リスク軽視で経済発展を夢想する者こそ「現実的」という非常識に付き合うわけにはいかない。(毎週月曜日掲載)

 

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風知草:坂田昌一の警告=山田孝男(毎日新聞 2012年05月28日)

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風知草:坂田昌一の警告=山田孝男
毎日新聞 2012年05月28日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120528ddm002070086000c.html

▼全文転載

 

 小紙24日朝刊スクープのミソは「勉強会」だった。

 核燃サイクル推進をあきらめない「原子力ムラ」(産官学共同体)の面々が、非公開の「勉強会」で政府報告書原案に我田引水の修正を施したという。テレビ(ANN「報道ステーション」=24日夜)は隠し撮りの動画をすっぱ抜いた。

 原発推進派の排他的秘密会合は53年前にもあった。物理学者の坂田昌一(1911〜70)にこういう逸話がある。

 坂田は湯川秀樹朝永振一郎と並ぶ素粒子物理学の大御所だった。政府の原子力委員会・安全審査専門部会の委員に招かれたが、審査機関の独立強化と情報公開の徹底を強硬に主張してケムたがられた。

 やがて、非公開の内部協議の議事録が坂田には届かなくなった。ただでさえ孤立していた坂田は事態を悟り、以下のタンカを織り込んだ声明を発表して委員をきっぱり辞めた。

 「秘密の扉の中でだされた結論を権威の名において国民に押しつけるようなことは断じて許すべきではない」(59年11月17日、衆院科学技術特別委・参考人意見陳述。「中央公論」60年1月号に草稿を掲載)

 坂田は脱原発派ではない。それどころか、筋金入りの原発ナショナリストだった。核の平和利用を宣言したアイゼンハワー米大統領の国連演説(53年)より早く、「日の丸原子炉」の研究開発を唱えていた。

 ただ「民主、自主、公開」の3原則(原子力基本法2条)にこだわった。「慎重過ぎる」という政財界の不満、批判に強く反発してこう書いた。

 「3原則を無視してもよいなどというのは原子力の本質についてまったく無知な人間か、さもなければ原子 力を看板に一もうけしようという利権屋だけである。原子力が何たるかを本当に理解している人間は、3原則を基盤としないかぎり、原子力研究はけっして人類 に幸福をもたらしえないものであることを熟知している」(科学雑誌「自然」55年7月号所載「3原則と濃縮ウラニウム」)

 坂田の警告が空論でなかったことは、坂田の生誕100年にあたる昨年、証明された。以上の経緯は昨秋刊行された「坂田昌一/原子力をめぐる科学者の社会的責任」(樫本喜一編、岩波書店刊)に詳しい。

 先週の小紙の特報に対し、原子力委員会は「事実無根」と反論している。あれは秘密の裏会合なんかじゃない、関係省庁や事業者にデータを確認する連絡調整に過ぎず、報告書案の書き換えではない−−と。

 データ確認なら、なぜ個別にやらないか。「勉強会」こそ反省なき「原子力ムラ」のどうにも止まらぬ永久運動ではないのか。疑問は消えない。

 

 政府は6月前半、2030年の原発依存率の選択肢を公表し、夏のうちに結論を得たい意向だが、実は、核燃サイクルの是非については当面、判断するつもりがない。なぜか。ある閣僚に聞くと、こう答えた。

 「今やめると言えば、サイクルの完成を前提に使用済み燃料の中間貯蔵を引き受けてきた青森県が黙っていない。各原発サイトに核のゴミを戻せという話になる。最終処分に目鼻をつけないかぎり、核燃サイクルの話はできないんですよ」

 核燃サイクル見直しという歴史的選択の幕は上がらず、決定プロセスへの不信だけが膨らんでいく。さだめし坂田は憤慨していることだろう。だから言ったじゃないかと。(敬称略)(毎週月曜日掲載)

 

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坂田昌一 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E7%94%B0%E6%98%8C%E4%B8%80

 

 

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ゴッドファーザー (アメリカ映画音楽) 尾崎紀世彦

ゴッドファーザー ~愛のテーマ 尾崎紀世彦
https://www.youtube.com/watch?v=rliWf1uTkrQ
アップロード日: 2008/05/05

 

※最近、忙しくて歌をアップするのを忘れてました。

ずっと?忘れてろ??