「北の山・じろう」時事問題などの日記

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【月刊正論】太陽光発電に傾倒する孫正義氏、その真意を探る(MSN Japan 産経ニュース)

MSN Japan 産経ニュース
【月刊正論】
太陽光発電に傾倒する孫正義氏、その真意を探る
2011.8.11 03:00 (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110811/biz11081103010000-n1.htm
★MSN Japan 産経ニュース から全文引用

(1)
 去る6月24日、千代田区丸の内の東京国際フォーラムで開かれた第31回ソフトバンク定時株主総会。収容人数約5千人のホールは、全国から駆けつけた株主らで埋め尽くされていた。東日本大震災被害者に対する30秒間の黙祷で静かに始まった総会は、やがて昨年度の事業内容に関する20分ほどのビデオ説明に移り、その後は孫正義社長の独壇場となっていった。(月刊正論9月号)

 孫氏の説明によれば、現在ソフトバンクの業績は絶好調。この5月まで携帯電話の純増数で14カ月連続して国内トップをキープし、売上高は前期比9%増の3兆2千億円と初の3兆円超えを実現。経常利益も2期連続で最高益を更新。営業利益は6期連続での最高益を実現した。フリーキャッシュフローも前期比44%増の5613億円と増加。有利子負債も2006年度の半分である1兆2千億円となる見込みだという。

「ソフトバンクは赤字のイメージもありますが、実態としては日本で3番目の利益を出している会社です。純有利子負債も予定より速いペースで削減できており、ドコモさんの利益率を抜きました。スケールメリットというものがあって、通常は大きい会社の方が、営業利益率が高いのですが、ソフトバンクは業界3位にもかかわらず利益でKDDIさんを上回り、利益率ではドコモさんをも上回り、業界ナンバーワンになったわけであります…」

 淡々とした口調ながら、孫氏の声は自信に漲っていた。

(2)
 目下ソフトバンクの成長を牽引しているのは、iPhoneとiPadで、それぞれスマートフォン市場、スマートパッド市場を席巻している。中国のインターネット市場にも積極的に参入し、すでにポータルサイト大手の阿里巴巴(アリババ)や同国最大のオンラインテレビサービスPPTVにも大規模な出資をおこなった。ここで質問が入る。

「昨年の株主総会で発表された新30年ビジョンは実現しますか?」

 ソフトバンクが創業30周年を迎えた昨年の株主総会で、孫氏は今後30年の間に「分散・分権型で協調し、自己進化・自己増殖する」戦略的シナジーグループを5千社規模に拡大し、時価総額で200兆円企業を実現する、とぶちあげた。

 大風呂敷といえば大風呂敷だが、有言実行が孫正義のスタイルだと日頃から彼は強調してきた。なにしろ、「大ボラ吹きというのは大きなビジョンを持っていることの裏返し」(『孫正義語録−−孫氏の兵法』)というのが孫氏なのである。無謀と言われたボーダフォン日本法人の買収も成功させた。

「5年前のボーダフォン買収というのは、私どもの創業以来一番大きな賭けであったということは言えます。(略)ボーダフォン時代は下げが止まらないという状況でしたが、ソフトバンクは多くの皆さまのご心配とはまったく逆で、5倍の利益の増大を実現することができたのです…」

 そして「ウソばっかりとか、ペテン禿とか言われますが」と笑わせた後、「無茶苦茶にやってそうでいて約束は果たしています。言ったときは言ったことを守るのがソフトバンクの社風であります」とまとめてみせた。

 だがこの日、全国から駆けつけた株主たちを前に孫氏が真に訴えたかった目的は別にあった。再生可能自然エネルギー発電事業に参入できるよう、定款変更について理解を求めることである。後半約20分にわたって切々と語られた孫氏の自然エネルギー、特に太陽光発電にかける熱い想いは、聴く者の心を揺さぶるものであった。

(3)
 「(震災前まで)私は電気に対する興味はゼロでした。エネルギーなんていうのは考えの外でした。しかしこの3月11日の大震災で私は心底考えさせられました。自己嫌悪にも陥りました。人生ってなんだろう。会社ってなんだろう。人間はなんのために生まれてなんのために死んでゆくのか。人々の幸せってなんだろう。生きがいってなんだろう。いろんな事を考えさせられました…」

 関知の外だったエネルギー分野に孫氏の興味を向かわせたのは、やはり3・11の東日本大震災だったという。

「我々の電波が繋がらなかったためにですね、失われた生命もあるかもしれないということを考えるとですね、ホントに胸が痛くてですね、ホントに涙が止まらなくて、なんとかしなくてはいけないと、心底考えさせられました。だからこそ、先程も言ったようにですね、しばらくここ2、3年は利益を度外視してでも電波を届かすんだと決意したところであります…」

 一流の経営者は一流のプレゼンテーターであることが多いが、孫氏もその例に漏れない。孫氏のスピーチの巧みさ、人をその気にさせる説得能力の高さには定評がある。そして、ここ一番の勝負の時には相手の情感に訴え、共鳴を促すのが孫氏のスタイルのようである。孫氏のスピーチを聴いて「泣いた」「感動した」と絶賛する信奉者も数多い。

 私も今回、この文章を書くため、USTREAMなどに保存されている孫氏の講演録を繰り返し再生して視聴してみたが、その言葉には凡百の起業家にはない迫力がある。

(4)
 殊に彼が折にふれて語る、九州で在日韓国人三世として極貧の環境に生を受け、凄まじいまでの上昇志向と勝負勘でのし上がってきた半生の物語には胸打たれるものがあった。なかでも圧巻は、昨年の株主総会の最後に語られた祖母の思い出にまつわるエピソードであろう。

 1957(昭和32)年、佐賀県鳥栖市で生まれた孫正義氏の出生地は、「無番地」と戸籍に記載されているという。線路脇の空き地を不法占拠した在日部落だった。朝から晩まで働き詰めに働いていた正義少年を親に代わって育ててくれたのは、14歳で言葉もわからないまま日本に嫁いできた祖母であった。壇上スクリーンに大写しになった在りし日の祖母の写真を背景に、「大好きだったお祖母ちゃんが、ある時から大嫌いになった。お祖母ちゃん=キムチ、お祖母ちゃん=韓国だったから…」と、眼にうっすらと涙を浮かべ、声を震わせた孫氏の姿に、会場はしわぶき一つ聞こえない静まりようだ。(続きは月刊正論9月号でお読み下さい)

野村旗守氏

 昭和38(1963)年生まれ。立教大学文学部卒業。外国人向け雑誌編集長、フリー編集者などを経てフリージャーナリストに。主要な取材テーマは「日朝関係」「日本のアンダーグラウンド」。『北朝鮮 送金疑惑』(文春文庫)、韓光煕『わが朝鮮総連罪と罰』(取材構成、文春文庫)、『北朝鮮利権の真相』『社会党に騙された!』(いずれも編者、宝島社)など著書多数。近著は『中国は崩壊しない』(文藝春秋)。