「北の山・じろう」時事問題などの日記

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時論公論 「脱原発は実現できるか」2012年08月02日 (木)<NHK 解説委員室

★天下のNHKですから、実にキレイです(記事のつくりが)。中身も前の記事と合わせると、大体「妥当」でしょう。メルケルさんのかわいらしい(?)写真もあってイイですネ???と言っても、ここでは絵は出ないのですネ??残念!!!

★と言うわけで、記事はNHKのURL からお読みください。

NHK 解説委員室
トップ>http://www.nhk.or.jp/kaisetsu/
時論公論 「脱原発は実現できるか」2012年08月02日 (木)
二村 伸 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/127928.html
(全文引用)

【VTR:太陽光発電
5月下旬、好天に恵まれたドイツで、太陽光による発電量が原子力発電所20基分に相当する2200万キロワット時を記録。国内の昼間の電力需要の半分近くをまかないました。再生可能エネルギーに力を入れるドイツにとって大きな成果です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故は世界の原発への見方を大きく変えました。中でも注目を集めた国の1つがドイツです。日本とほぼ同じ面積で、ヨーロッ パ最大の経済力を誇るドイツが、すべての原発を2022年までに廃止することを決めました。それから1年、脱原発への道をドイツは順調に歩んでいるのか、 そして今から10年後に
原発ゼロの社会が本当に実現するのか、きょうはドイツの現状を検証し、そこからどんな教訓が得られるか考えたいと思います。

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まずドイツの原発廃止までの経緯を振り返ってみます。

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2002年7月 原子力法改正 (シュレーダー政権)
今から10年前、シュレーダー首相率いる社会民主党と環境保護を掲げる緑の党連立政権が、新たな原発の建設をやめ、稼働中のものも運転期間を長くて32 年とすることを決めました。つまり2022年頃までにすべての原発を廃止するというものです。当時現地で取材していて感じたのは、ドイツの国民がもともと 環境問題に関心が高く、チェルノブイリの事故以来原発への不信感が強まっていたことに加えて、脱原発への政府の強いリーダーシップが発揮されたことです。

2010年12月 原子力法改正 (メルケル政権)
その後、保守層を支持基盤とするメルケル首相は産業界の要望に応じておととし運転年数を平均12年延長することを決めました。

2011年3月11日 東電福島第一原発事故
脱原発が後退したと思われた矢先に起きたのが福島の事故です。

2011年7月 原子力法改正
物理学者でもあったメルケル首相は「日本ですら事故を防げなかった」と衝撃を受け、
10年前の決定に舵を戻しました。

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こちらがドイツの原発です。17基のうち福島の事故直後運転休止となった8基をそのまま廃止し、残りの9基も2022年までに段階的に運転を停止することになりました。
 
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脱原発の決め手となったのは委員会の報告書です。原発の安全性を検証する「原子炉安全委員会」とは別に、福島第一原発の事故後、社会学者や哲学者、宗教関 係者などからなる「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」が設置されました。原子炉安全委員会は、航空機の墜落を除けば安全性に問題がないとする報告 書をまとめたのに対し、倫理委員会は、「福島の事故で原発のリスクの大きさが証明された」として「10年以内の脱原発」を勧告しました。メルケル首相は国 民の反原発感情を背景に電力業界や原子力の専門家ではないこの委員会の判断を受け入れ、実行したのです。
 
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脱原発のために再生可能エネルギーのさらなる普及と送電網・蓄電施設の整備、それにエネルギーの効率化などに関する数々の法律が制定されました。
 
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脱原発のカギを握る再生可能エネルギーは総発電量に占める比率が去年20%に達しました。この10年で3倍です。
 
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逆にかつて30%を占めていた原子力は、8機の運転停止によって18%まで低下しました。
 
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さらにドイツは再生可能エネルギーの比率を2020年に35%、2050年に80%に目標を引き上げました。
 
再生可能エネルギー普及の柱は風力発電です。北海やバルト海などでは洋上風力発電所が次々と建設され、今後20年で2000万キロワット以上の発電をめざしています。

では、このまま順調に再生可能エネルギー原発にとって代わることができるのでしょうか。脱原発を決めてから1年たち、政府と国民はその難しさを再認識しているのが実情です。それは技術面とコストの高さからです。
 
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とくに送電網の整備は大きな課題です。風力発電がさかんな北部から需要の多い南部までいかに送電ロスを少なく安定的に電力を送るか、まだめどが立っていま せん。ドイツを代表する自動車メーカーや製薬会社などが集まる南部の州は電力の半分を原子力でまかなってきました。高圧送電線網は、ドイツの高速道路にた とえて「電力アウトバーン」と呼ばれますが、2020年までに新たに3600キロ必要で、その費用は9000億円以上と言われます。さらに住民からは高圧 線が都市部を通過することに反対運動が起きており、計画は難航しています。
 
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また、再生可能エネルギーは天候に左右されやすいだけに蓄電技術の開発が不可欠です。
こうした技術が進むまでは、原発の廃止分を火力発電に依存せざるをえません。温室効果ガスを2020年までに40%、2050年までに80%削減するという野心的な目標の達成が原発の廃止によって危ぶまれる事態となります。

一方、コストの高さも問題です。ドイツでは2000年に固定価格買い取り制度が始まりました。これによって太陽光発電が急速に普及し、その設備容量は 2700万キロワットにまでなりました。おととし1年だけでも日本全体の発電容量を上回る設備が新たに作られました。ところが今、その太陽光発電に陰りが 生じています。
多額の補助金をつぎ込んだものの太陽光による発電は、年に平均すると総発電量のわずか3%でした。

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さらに固定価格買い取り制度は、消費者に負担が転嫁されるため、普及すればするだけ電気料金が上がります。各国と比べても料金の高さが目立ちます。
 
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財政的な負担は重くドイツ政府は6月末に太陽光による電力の買い取り価格を20%から30%引き下げることを決めました。さらに設備容量が5200万キロ ワットに達した時点、3,4年後には新たな買い取りをやめることになりました。日本でも先月から固定価格買い取り制度が始まりましたが、今後ドイツのよう に各家庭の負担が重くなることも予想されます。また長期間同じ価格で買い取ることを保証すれば、より安く効率的な製品を作ろうという意欲や企業努力をそ ぎ、技術革新を妨げてしまうという弊害も指摘されています。

このように脱原発に取り組むドイツの現状を見ますと、その実現は容易ではないことがわかります。それでもドイツは脱原発を「未来への大きなチャンス」と捉 え、その実現のために政府と産業界が1つになって取り組んでいます。脱原発を提言した倫理委員会の委員長を務めたクラウス・テプファー元環境相はこのほど 来日し、課題が山積していることを認めながらも、脱原発は可能だと自信を示しました。
 
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脱原発は容易ではありません。政治の安定と決断力、実行力が求められます。ただ私は国と産業界がそれを実現する成算があると確信しています」。
 
ドイツは1998年に電力の自由化に踏み切りました。今では電力を売る会社は1000社をこえ、自由に電力を買うことができます。値段は高くても再生可能エネルギーから生まれた電力を扱う会社を選択する人が福島の事故後急増し、すでに400万世帯を超えたと言われます。
日本は将来原子力をどうするのか、ようやく議論が始まりましたが、そのカギとなる再生可能エネルギーの普及も含めて、長期的なビジョンと具体的な方法がま だ示されていないように思います。電力を隣国から輸入できるドイツは日本と状況が異なりますが、10数年での大きな変化を見ますと、日本も優れた技術力を いかしてエネルギーの危機をチャンスに変えることは十分可能だと思います。ただそれには政治的な決断力とリーダーシップが不可欠です。同時に私たち国民一 人一人の意識改革も大切だと思います。
 
(二村 伸 解説委員)


★ご参考。この前の記事に全文転載しています。
「heuristic ways」
ドイツの脱原発事情
2012-07-21
http://d.hatena.ne.jp/matsuiism/20120721/p1