下請け原発労働者が声あげる〜「言葉にできないほど」危険な環境<レイバーネット日本>
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下請け原発労働者が声あげる〜「言葉にできないほど」危険な環境
http://www.labornetjp.org/news/2012/1101hokoku
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福島原発災害が発生して18カ月。下請け多重構造で働く末端の原発労働者が、身の危険を案じて相談に来る件数が増えつつある。日本労働弁護団原発労働プロジェクトチームの弁護士によると、相談に来る労働者はほとんど将来の雇用を心配して声をあげることをためらうという。しかし、Aさんは違った。
関電工の2次下請けの会社で期限の定めがない契約として7年近く働いていたAさん(46・写真)は、10月30日に東京電力と関電工が労働安全衛生法などを違反したとして、富岡労働基準監督署に是正を申し入れた。
おって11月1日に厚生労働省記者クラブで弁護団とともに報告したAさんからは、「言葉にできないほど」危険な環境で「自殺行為」とも思われる作業をしなければならない現実が明らかになった。
記者会見当日、大きなマスクを着用し、紺色の帽子を深くかぶって顔を隠したAさんは「自分が声をあげることによって、これからも危険な現場で働かなければならない同僚にとって、少しでも安全性が改善すれば」という思いを吐き出した。
震災以前も、電気関係のメンテナンスを仕事としていたAさんは、各地の原発を回った。年間被ばく量は多い年でも3.14ミリシーベルト、近年では0.55ミリシーベルトなのにもかかわらず、2011年3月24日電源ケーブルの敷設作業に当たった時は、40分から1時間の間で11ミリシーベルトも被ばくした。作業場所であった3号機タービン建屋内地下一階の空間線量は毎時400ミリシーベルトを示していたという。
関電工は前日に空間線量を測定し、基準値以内だったために作業を自社従業員と2次下請けのAさんらに発注したというが、実際、地下一階には汚染水のたまり水があり、作業すべき「配電盤はその中にあった」とAさんは言う。
「海水が抜けなくて水たまりがあるとは聞いていたが、汚染水とは聞いていない」Aさんは、当時を思い出していった。そのため、作業に入ったチームの3人は、そばにあった長靴と短靴を履いて作業場に向かった。短靴を履いていたAさんは、線量の高い汚染水に入ることを拒否したが、長靴を履いていたリーダーは代わりにたまり水を通って作業に当たっている。この時、現場に入っていた6名の作業員のうち、3名がこのたまり水にくるぶしまで浸かって作業したために被ばくし、そのうち関電工の2名は放射線障害の疑いがあるとして緊急搬送されている。
今年3月16日の六ヶ所村での雪かきなど、線量の低い現場での作業を最後に、Aさんへの仕事はぴたりと来なくなった。事実上の解雇だった。
Aさんの5年間の被ばく量は、合計してもおよそ26ミリシーベルトと限界値よりも大幅に低いが、作業員の被ばく線量が基準値を越してしまうことを恐れて、関係各社は限界に達する前に雇用を打ち切ったり採用しなかったりすると、弁護士の一人は推測する。
仕事を打ち切られたAさんは、以後、土木作業のアルバイトや除染作業に従事した。
弁護団は、同時期に東電柏崎からの応援作業チームは撤収したにも関わらず、関電工のチームに対しては撤収するように指示をしなかったことを指摘。今後、「重層的下請け構造にある原発事業においては、発注者である東京電力に直接に下請け労働者の安全確保に責任を負わせるべきである」として原発事業も港湾や建設現場と同様、労働安全衛生法15条の特定事業に該当するよう政令改訂を迫っている。
「今後の課題は、東電や政府が作業員の雇用と生活保障のために、どういった対策を講じるか」だと弁護団は言う。
自発的にホールボディーカウンターでの検査を依頼しなければ、会社は検査日さえもAさんに伝え忘れるところだったという不始末もあった。
「末端労働者は声を大にしてモノが言えない。私が声をあげることで労働環境が改善されればと思った」とAさんは、今回、是正申告を決めた理由を話した。
福島原発事故以前に、すでにこういった問題は存在していたが、3月11日以降はより深刻になってきた。「この問題は、今後、運動と世論で改善していくべきだ」と弁護団の水口洋介氏は言う。(松元ちえ)
Created by staff01. Last modified on 2012-11-01 23:25:20 Copyright: Default
(以上、全文引用)
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