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敦賀原発:日本原電、経営危機の恐れ
毎日新聞 2012年12月10日 22時12分(最終更新 12月10日 22時17分)
http://mainichi.jp/select/news/20121211k0000m040086000c.html
▼全文引用
敦賀原発(福井県敦賀市)1、2号機が廃炉となれば、巨額の損失計上は避けられず、日本の原発推進の象徴的存在である日本原子力発電は存亡の機に立たされることになる。
日本原電は、原発で作った電気を東京、関西、中部、東北、北陸の5電力に売って収益を上げてきた。しかし、東電福島第1原発事故で保有する原発がすべて停止したため、12年3月期は12年ぶりの最終赤字に陥った。
敦賀1、2号機が廃炉になれば発電能力は半分以下に落ち、業績回復の可能性がなくなる。造成工事に入っていた敦賀3、4号機建設も絶望的に。残る東海第2は地元の村上達也東海村長に廃炉を求められており、再稼働のめどは立っていない。
さらに、廃炉のための費用と、原発施設の資産価値の喪失が、日本原電の財務に重くのしかかる。経済産業 省の試算によると、日本原電が12年度中に東海第2を含む全3基を廃炉にした場合、12年3月末の純資産1626億円を上回る2559億円の損失が発生す るという。敦賀1、2号機だけでも1000億円超に達しそうだ。
将来の再稼働を見込んで大手電力から受け取っている年1000億円超の「基本料金」も、見直しを迫られるのは必至。「原電の経営が立ちゆかなくなる」(大手電力首脳)懸念が広がっている。
政府は脱原発の検討に入って以降、原電のあり方を水面下で模索してきた。東海の廃炉作業で培った技術を生かし、廃炉専業の会社に衣替えさせることや、将来、原発の国有化論議が高まった場合、その受け皿とする案も経産省関係者の間で浮上している。
「原発稼働の見通せない日本原電」をどうするのか。衆院選後の大きな課題になりそうだ。【宮島寛、和田憲二】
◇日本原子力発電
原子力発電を日本で事業化するため1957年、電力大手9社と当時国有だった電源開発が共同出資して設立 した原発専業会社。66年に日本初の商業炉となる東海原子力発電所(茨城県東海村)の営業運転を始めた。発電した電力は出資者である電力各社に販売してい る。東海原発は98年に運転を終え、商業炉として初めて廃炉になった。現在、東海第2、敦賀1、2号機を保有するが、すべて停止中。12年3月期連結決算 の売上高は1460億円、最終損益は128億円の赤字だった。従業員数は連結ベースで2254人。
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