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【忘れない、立ち止まらない】見るだけ、聞くだけで都合良く“ルール”を守り動かない政府 (4)
★(4)
2013.03.08
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130308/dms1303080711005-n1.htm
▼全文転載
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20130308/dms1303080711005-p1.htm
東日本大震災は「1000年に一度の災害」と言われるが、「次の津波も1000年後」とはかぎらない。三陸沿岸は数十年に一度のペースで大津波に襲われているし、小さいものなら、もっと頻繁だ。先の震災後も津波注意報・警報は何度か発令されてきた。
養殖漁家にとっては、陸に達しない程度の波も命取りとなる。事実、2010年にも高さ1メートル未満の津波が発生して海中をかき回し、三陸の養殖カキやホタテを壊滅させた。
湾口防波堤も防潮堤も失ったいま、沿岸被災地の状況はさらに無防備を極める。いつ来るとも知れぬ津波への不安をよそに、復旧の予定さえない漁港がいくつもあり、海から数百メートルの浸水域で営業せざるを得ない商工業者が多数を占める。
ところが、国が手立てを急ぐ様子は一向に感じられない。再興へのスピードは時がたつにつれて減速し、尻すぼんでいくようだ。海のそばで生きる者の定めとはいえ、住民は「いつまた失うのか」「次は耐えられるだろうか」という恐怖と隣り合わせに暮らす。
被災地の現状視察を名目に、永田町からはたくさんの議員がやってきた。
コンクリートが剥がれた穴だらけの道。街灯もガードレールもないまま放置された崖の上の通学路。地盤沈下の影響で満潮時には水没する地帯…。いまなお残る爪痕を見学し、重い自己負担がのしかかる事業者や、助成打ち切りにあえぐ1次生産者の窮状に耳を傾ける。
だが、ただそれだけのことだ。
「市道だから」「県の管轄だから」「法律だから」-。“未曾有の災害”などと、しかつめらしく(=もっともらしく)口にしながら、結局は常時のルールを持ち出し、そこで話を打ち切ってしまう。
最低限の復旧すら後回しにされる一方で、復興予算が湯水の如く被災地外へ使われている点については、たとえどんな立派なご託を並べられようと納得はしない。
さらには、がれき処理の受け入れ先から除外されたにもかかわらず、復興予算の廃棄物処理施設整備費として、約340億円もの大金がそのまま自治体へ交付されるとの報道もあった。
環境省は「いったん受け入れを“検討”した限り、実情が伴わなくても交付金は返還不要」と通達したという。まるで狂気の沙汰だ!
なるほど。被災地のためにルールを覆すことは渋っても、こうした“掟破り”ならやぶさかではないらしい。この憤懣(ふんまん)を言葉で表現することはもはや不可能である。
救済措置がなければ今すぐ凍え死ぬとか、餓死するというわけではない。けれども、見渡す風景は常時から程遠い“異常な”ものだと、一目見て分かるではないか。被災地はいまだ“非常時”にある。「絆」だの「共に復興」だの、おためごかしだけなら、もうたくさんだ。
■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。現在は記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当する。
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