「北の山・じろう」時事問題などの日記

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金言:山本さんのメッセージ=西川恵<毎日新聞>

毎日新聞
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金言:山本さんのメッセージ=西川恵
毎日新聞 2012年08月24日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120824ddm003070092000c.html
▼全文転載


                    

 <kin-gon>

                         

 内戦が続くシリアでジャーナリスト、山本美香さん(45)が戦闘に巻き込まれて亡くなった。山本さんに重ね、特派員として自分がくぐり抜けてきた戦争取材の際どい場面を思い出した。

                         

 一つ間違っていたら、というケースは幾つかある。テヘラン特派員時代、イラン・イラク戦争の戦場取材は 約2年間で10回を超えた。前日まで顔を合わせていた外国人ジャーナリストがいなくなり、同僚の朝日新聞の特派員も地雷で重傷を負った。東欧革命のルーマ ニアでは、革命派と政権側の間で激しい市街戦が交わされている中、地面をはうように取材した。

                         

 湾岸戦争では進撃する多国籍軍の後についてクウェートに入った。イラク軍の抵抗は散発的に続き、時折、イラク軍の地雷に触れて犠牲者を出した。長期滞在していたサウジアラビアのダーランでは、ホテルの近くにイラク軍のミサイルが着弾もした。

                         

 フリーの山本さんと、新聞社の私とでは立場は違う。しかし現場に入れば彼我の差はない。向こうの角まで 進むか、ここで退くか、経験と勘に照らし瞬時に判断するしかない。戦争取材の経験豊富な山本さんは今回も全神経を張りつめ状況を見ていたはずだ。それでも 避けられなかった。現場で中へ中へと入っていく性分の私がこうしているのは紙一重の差でしかない。

                         

 なぜ戦争や紛争を取材するのか。私が特派員になった当時、友人が「自分のところも特派員を送ってます、という新聞社のミエだ。外国の通信社に任せればいいんだ」と言ったが、さすがにいまはそういう人はいないだろう。

                         

 山本さんは早稲田大学の教壇にも立ち、ジャーナリズムを志す学生にメッセージ文を配っている。その中の一節。

                         

 「『日本にかかわること』がニュース選択の重要なポイントの一つであることは否定しませんが、それだけではない。世界の安全は日本の安全につながります。人道的な見地からも目をそらしてはいけない大切なことがたくさんあるはずです」

                         

 「『仕方ないこと』『直接関係がないこと』と排除してしまう……広がりのない視点と態度は、形を変えながら私たち自身に返ってきます」(日経新聞

                         

 これは私の言いたいことそのものだ。日本は世界とつながっている。グローバル化し相互依存が進む今日、 直接的に日本がかかわっていなくても、世界の出来事はさまざまに日本にはね返ってくる。我々が世界に目を凝らさなければならないのはそのためなのだ。惜し いジャーナリストを亡くした。(専門編集委員)

    

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