「北の山・じろう」時事問題などの日記

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放射性セシウムと心臓  第4章 放射性セシウムの心臓への影響の病理生理学的特徴<ユーリー・バンダジェフスキー著(その2)

★全文転載。一つに入りきらないので二つに分けました。その2

Hukushuma Voice
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2013年2月10日日曜日
放射性セシウムと心臓  第4章 放射性セシウムの心臓への影響の病理生理学的特徴
ユーリー・バンダジェフスキー著
平沼百合 和訳
http://fukushimavoice.blogspot.de/2013/02/test.html?spref=tw


  腎臓の血管系への損傷は、血圧、特に子供においての拡張期血圧の上昇の主な理由のひとつかもしれない。しかし、この病理的プロセスは隠れて潜在的に進行す るため、普通の医療が不十分であったと証明された後でしか、はっきりと現れないかもしれない。従って、放射性セシウムで汚染された地域に住む子供たちに は、近代的な検査室と臨床検査の診断方法を用いた、定期的な腎臓と心臓の機能の評価を行わなければいけない。

 肝臓もまた、放射性セシウムの作用による悪影響を受ける。ゴメリ地方に住んでいた人々は、著しい量の放射性セシウムが肝臓にあった。6 これらのほとんどのケースでは、病理学的検査は、肝細胞内で顕著な変性と壊死変化を明らかにした(図22)。
https://lh6.googleusercontent.com/68cslarFlisrYnC2BdbZoDEB8iCWPEMwjLICIPt84tg93D8894El61Cd-DsZWoLl1fUiGmbRYGiPnVgWVKg1SnHoHZ_kVoB-jipVvwPlISaesZJ_Pg5IdrmS
図22 突然死した40歳のゴメリ住民の肝臓の病理組織切片。肝臓内の放射性セシウム濃度は142 Bq/kgだった。脂肪と蛋白質の変性と肝細胞の壊死。ヘマトキシリン・エオジン染色。(倍率x125)

 同様の変化は、放射性セシウムの影響下にある実験用動物でも見られた。直ちに、肝細胞の機能、特に合成機能と解毒作用が障害された。

  肝細胞の合成機能の障害は、体内での放射性セシウムの濃度が増加するにつれて、L1-グロブリンとL2‐グロブリン(注: 日本語ではα1グロブリンと α2グロブリンに該当すると思われる。)の合成の進行的な減少として現れる。これは間違いなく、心臓を含む他の臓器における代謝状態に影響を与えるだろ う。
  ステロイドホルモン、特に副腎皮質ホルモンの酸化が肝臓内で行われる。また、副腎髄質ホルモンであるカテコールアミンのノルアドレナリンとアドレナリンの 分解が、メチル化反応を通して行われる。肝臓の大きな役目はアンモニアの解毒であり、それは尿素の合成に使う事により行われる。合成機能と解毒作用両方の 非効率性は、代謝障害の出現に繋がり、心筋の状態に有害な影響をもたらす。
 故に、放射性セシウムを取り込んでいる体内で起こっている代謝障害は、心筋細胞の構造と機能の乱れに寄与するかもしれない。


結論

  この本を書きながら、私は文明人全てに体内に取り込まれた放射性物質の危険性を知らせる必要性を考え続けた。残念ながら、この問題に関しての現代社会の姿 勢は、いくら良く見ても、無関心である。私達は、このために、人命という形の非常に高い代償を払うのである。知的な無知というのは、悲劇に繋がる。大部分 の責任は医学科学者にある。既に入手していたデータを使って人々に情報を与えようとしなかったばかりではなく、放射性核種の取り込みによる体内での有害な 変化を研究もしなかった。
 私は、この小さな本が既存の問題についての情報不足を埋め合わせる事ができないのを認識している。しかしながら、いくらかの関心を高め、問題の議論に繋がる事を望む。これは間違いなく有益であろう。

 提示された情報に基づいて、いくつかの結論を下すことができる。

  私達が望んでいるかいないかに関わらず、放射性核種、特に放射性セシウムは、私達の環境に存在している。何も防御対策を取らなければ、主に食べ物と水から 人体に入り、臓器や組織に取り込まれる。人命にとっての最大の危険は、成長しつつある人体の心筋による放射性セシウムの取り込みである。
  心筋細胞に放射性核種のCs-137が入り込むと、構造的、そして代謝的変化が起こり、エネルギー不足と、心筋細胞の主な機能の阻害を誘発し、死に至る ケースもある。 心筋の直接的損傷と、その活動を調整する諸臓器と諸システムへの損傷を示す、一連の変化が起こる。心筋細胞は、放射性セシウムによる直接 的な損傷だけでなく、自然な代謝物からも、その産生、輸送、結合、排泄と分解の阻害によって、損傷を受ける(図23)。
https://lh5.googleusercontent.com/JzrndzuIYxxTn2q-jG2Ij1QnfviA68XOrUI2mFneu3a8SCItilba609xCOFN4MXkEngAsVrsibUnCL8SSibD3yWaQLTtYWblGlqsnVdAmHkB1-_aAD5tPwNZ
図23 放射性セシウムの心筋細胞への影響(CPK=クレアチンホスホキナーゼ、ATP=アデノシン三リン)

 病理的変化の強度は、体内と心筋の中の放射性セシウムの量に直接的に依存する。長期間に渡る放射性セシウムの体内への取り込みが30 Bq/kgを超えるのは非常に望ましくなく、重篤な結果がもたらされる可能性がある。
  ほとんどの場合、体内の放射性セシウムの量が10-20 Bq/kgであると、死に至る事はない。しかし、放射性セシウムの心筋細胞のエネルギー器官への影響により、心筋細胞の適応能力が著しく減少する。身体的 や精神的ストレス、低酸素症、極度の温度変化、飲酒、感染症やアレルギー疾患などの、様々なストレスがある状況や普通の状況下において機能する事が不可能 になるかもしれない。

  放射性セシウムは、強力な損傷物質であると言う認識が必要であり、細胞活動にとっての遅延性の毒として扱われるべきである。心筋細胞のエネルギー代謝を妨 げ、心筋症の原因となる。その特等は心拍リズムの乱れ、心筋収縮力の異常と、末梢血管の痙攣である。取り込まれた放射性セシウムの人間や動物に対しての影 響は、放射能源としてでなく、主に化学元素としてのエネルギープロセスと代謝プロセスへの関わりを示唆する事に留意すべきである。しかしながら、放射能源 としての関与は、完全に除外する事ができない。これは特に、放射性セシウムの長期の低線量被ばくにおいて顕著である。放射性セシウムの影響による腎臓での病理学的変化の主な理由は、細動脈の痙攣であり、これが糸球体ループの壊死とネフロン構造の破壊を引き起こす。セシウムの血管収縮作用は1888年にS.S. Botkinによって記録されている。11

 故に、放射性セシウムは、放射能汚染区域に住む子供達における高血圧の主要な病因因子のひとつなのである。これは、多数の観察によって確認されている。20
  チェルノブイリ事故に影響を受けた地域に住む人口における、心血管疾患の予防の原理として適切な点は、放射性物質、何よりも放射性セシウムの減少を含む が、これは食物内での含有量の減少と体内からの吸着剤による排泄によるものである。こういった対策は、心筋の代謝を改善するのに重要な役割を果たすであろ う。


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