「北の山・じろう」時事問題などの日記

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木々に溜め込まれるフクシマの「死の灰」/「研究」(2014年3月号)<フランスねこのNews Watching>ほか

フランスねこのNews Watching
木々に溜め込まれるフクシマの「死の灰」/「研究」(2014年3月号)
2014年3月 7日 (金)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/20143-2c7d.html

▼全文転載

福島の森は、人々の生活を脅かしているのか。
地面に落ちた木の葉は、川や人々の居住地域を汚染しているのだろうか。

これらの問いがはらむ重要性は、事故を起こした福島原発周辺に広がる重度汚染地域の70%以上が森に覆われているという事実が示している。

フランスの政府機関、「フランス放射線防護原子力安全研究所」(IRSN)と「原子力発電環境整備機構」(ANDRA)が筑波大学の恩田祐一・加藤 弘亮両教授らのチームと合同で福島県の川俣町山木屋地区で実施した調査結果によれば、事故から約3年以上がたった現在、福島原発周辺の汚染地域を覆う森林 には事故当時吸収された放射性物質の10〜20%もの量が蓄積されたままと見られている。木々に蓄積された死の灰は枯れ葉などを通じて森の地面に移行し、 周辺の汚染を助長している。

これは、フランスの専門家らが驚くほどの高い濃度である。

チェルノブイリでは、事故から2年後には木々に含まれる放射線物質の量が高くても当初の5〜10%になりました。」

ニコラ・ロフレード研究員は指摘する。

ヒノキと杉をはじめとする福島原発周辺の針葉樹林は福島原発事故で空気中に放出された死の灰(放射性降下物)の95%を吸収した。これらの木々に吸 収された放射性物質は、杉やヒノキの性質原発が爆発した際の環境条件により、チェルノブイリ原発事故の際の木々の汚染に比べその低減に予想を大幅に上回 る時間を要している。

IRSNのフレデリック・コッパン研究員らが調査を行った山木屋地区の放射線量は年間8〜27ミリシーベルトにのぼる。日本政府は年間20ミリシー ベルト以下の地域については住民の帰還が可能との考えを示しているが、フランス国内の規則では年間1ミリシーベルトが許容の上限とされている。針葉樹林に 残る高い濃度の放射能汚染は、この高い放射線量の原因になっている。

森の汚染は今後数十年、そして数百年の間残存すると見られている。森林は除染の対象外となっているが、こうした高い濃度の汚染が人々の生活に与える 影響はまだ十分に知られていない。どちらにしても、日本人には今後被ばくへの危険に対する強い警戒が求められる。山火事は木々が含む放射性物質を空気中に まき散らす原因になりかねない。また、放射能に汚染された木々を薪として燃やせば高濃度の放射性の灰が発生するため、薪の使用を制限しなければならない。 キノコ類や汚染された野禽類は口に入れることを避けなければならない。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「放射性物質の貯蔵庫と化した日本の森林」/「研究」(2014年3月号)
(« Les forêts japonaises, les réservoirs radioactifs », La recherche, 2014.3)
http://www.larecherche.fr/savoirs/nucleaire/forets-japonaises-reservoirs-radioactifs-01-03-2014-171498

フランスねこのNews Watching

 

チェルノブイリの野火: ヨーロッパ全土を汚染する放射性の煙/BBC(7月7日)
2012年7月10日 (火)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/77bbc-1f0a.html

▼全文転載

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故は大量の「死の灰」(放射性粒子)を発生させ、旧ソ連と西ヨーロッパを広い地域にわたって汚染し た。重度の汚染により立ち入りが禁止されている同原発の周辺半径30キロの地帯の大部分は、松林に覆われている。ひどく汚染された松林はしばしば野火に見 舞われるが、この野火により発生する煙はヨーロッパ全土を高度の放射能で汚染する危険をはらんでいる。ウクライナ共和国キエフ市からの特派員報告。


●ブルーベリーの季節

ウクライナ共和国の首都キエフから北へ向かう途中、道に沿って生えた背の高い赤くてまっすぐな松の木の陰に座り強い日差しを避けながら、孫たちと一緒にブルーベリーを売る年配の女性たちの姿を見かける。

ブルーベリーの季節だ。ブルーベリーはプラスチックのパックに入れられて売られていた。車を止めて値段を交渉することもできたが、キエフ生物科学大 学の森林研究所からやって来たセルゲイ・ジブチェフ教授は勧めなかった。これらのブルーベリーは放射性ストロンチウムで汚染されているからだ。

ベリー類は非常に放射性物質を吸収しやすい。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の際には、放射性物質の多くが煙の形で旧ソ連と西ヨーロッパ 地域に放出された。放射性物質の汚染は公式の市場で売られている食品についてしか検査がなされていない。そして、通常は放射性セシウムについてしかなされ ない。年配の女性たちが経営する何百もの屋台形式の果物屋については、何の検査も無い。とは言え、全てのベリーが同じように汚染されている訳ではない。恐 らくは、四分の一程度が汚染されていると考えられる。

立ち入り禁止区域の周辺は数年前に来たときよりもにぎわっている印象だった。しかし、チェルノブイリに大量に植林された松の木は深刻な問題を引き起こしていた。


●燃える松の木と、ヨーロッパ全土に広がる放射性の煙

松は傷つきやすい。風ですら折れてしまう。虫に喰われる。旱魃(かんばつ)になると簡単に野火を起こす。そして放射能に汚染された木々は、洗浄する にはあまりにも危険であり予算がかかりすぎると考えられている。ある専門家は、もしチェルノブイリ周辺の松林に火がつけば、東ヨーロッパに原子力爆弾を落 とすのと同様の深刻な放射能被害を与えると指摘する。風は放射性の煙を遠くまで運ぶ。ウクライナの中だけでは無い。ヨーロッパ大陸全土に広がるのだ。

この仮説について調べるため、セルゲイ教授はチェルノブイリまでデータを収集しにやって来た。教授は同僚とともにチェルノブイリの森がもつ危険をモ デル化して示すための資金を集めたいと考えている。最も危険な松林の区画を示すことができれば、ウクライナ政府や外国のドナーに対し(野火の消火にあた る)消防士たちを被曝から守るための研修や機材の供与を行うよう説得する段階に移ることができる。そして恐らくは、最も危険な松林の区画を伐採することも 考えられるだろう。


●被ばくにさらされる消防士

チェルノブイリの消防士という仕事は、世界でもっとも人気の無い仕事だ。野火が起きると彼等は無線で互いに連絡を取り、場所を確定する。消防隊は旧ソ連製の大きな赤い消防車に飛び乗って草が生い茂るひび割れた道路を火元へと突き進んで行く。

消防士達が使用する機材は非常に簡単なものだ。彼等は自分たちが放射性の炎と戦っている時には、それが自分で分かると信じている。皮膚がちくちくし て金属に触れているような感じがすると言うのだ。しかし消防士たちは高温の放射性粒子にさらされる危険がいかに深刻なものであるかを十分理解している訳で はない。彼等の仕事はいまだに旧ソ連の英雄主義の文脈で語られる。自分に何があろうとも、後でどんな被害に遭おうとも、火を消さねばならない、というもの だ。


●風の吹くまま

セルゲイ教授は、1992年に起きたようなより大規模な野火はウクライナのイメージに絶望的なダメージを与えると述べる。しかしそれだけではない。 ヨーロッパ全土の農地にとっても深刻な被害を与える危険がある。毎年(野火が発生しやすい)夏の暑い時期には、多くの研究者がこの問題について研究を続け てきた。セルゲイ教授その同僚たちは支援を必要としている。単にチェルノブイリの消防士たちが高度の被ばくにさらされないように救いだすためだけではな い。放射性粒子が空中を漂い風の吹くままに飛んで行き、チェルノブイリ原発事故の負の遺産をまき散らすのを止めるために、である。多くの人は、チェルノブ イリ事故の影響は既におさまっており、安心して忘れても良いと考えている。しかし悲劇は終わっていない。

(抜粋、一部編集。小見出しはフランスねこがつけました。)

●オリジナル記事(現地の画像はこちらからどうぞ)
(Patrick Evans, « Chernobyl’s radioactive trees and the forest fire risk », BBC, 2012.07.07)http://www.bbc.co.uk/news/magazine-18721292

●著者のパトリック・エヴァンズBBC記者自身による音読でも記事を「聞く」ことができます。放送はこちらから。http://www.bbc.co.uk/programmes/b01kjgp3 (複数ある中の、2番目のお話です。英語です。)

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