【話題の焦点】いつまで中国10万人を現代の「蟹工船」に乗せておくのか<日刊ゲンダイ>
日刊ゲンダイ
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【話題の焦点】いつまで中国10万人を現代の「蟹工船」に乗せておくのか
2013年3月18日
http://gendai.net/articles/view/syakai/141507
▼全文転載
広島8人殺傷では終わらない
背後から頭に向かって何度もスコップを振り下ろし、倒れると包丁で胸を執拗に刺した――。広島・江田島市の「川口水産」で、川口信行社長(55)ら従業 員8人が殺傷された事件の現場は凄惨を極める。「社長に怒られ、恨みがあった」と供述した中国人技能実習生の陳双喜容疑者(30)は「外国人技能実習制 度」を利用して働いていた。
この制度は本来、途上国の外国人が日本の職業技能や知識を身につけるためにつくられた。制度を利用して来日した外国人は約14万2000人。うち、10 万7000人が中国人だ。多くの受け入れ企業では、「実習」の名の下に外国人を安い賃金でコキ使う状況が常態化している。
「2年前の厚労省の調査では、監督指導した受け入れ事業者約2750件のうち、8割余りで法令違反が見つかっています。悪質な例だと、実習生に時給400 円しか払わなかったり、機械の故障を知りながら作業させて事故で死亡させた企業もある。まるでプロレタリア小説の『蟹工船』の世界です」(都内の社会保険 労務士)
昨年5月に来日した陳は、ほぼ毎日、午前5時ごろから、船で沖合のカキ養殖場まで出掛け、カキの付いた重いワイヤを引き揚げ、加工場に運んでいた。「一生懸命にやっているのにものすごく怒られる」と川口社長から度々、叱責されることに強い不満を抱いていたという。
06年には、千葉の養豚場で、待遇に不満を持った中国人研修生による刺殺事件が発生。09年にも熊本のスイカ農家で中国人研修生が経営者夫婦を殺害する 事件が起きている。低賃金で過重労働を強いる受け入れ企業側に対し、技能実習生の「怒り」がマグマのようにたまっているワケだ。
米国務省の人身売買の調査報告書でも「強制労働」と名指しで批判されている日本の実習生問題。なぜ、改善されないのか。
「受け入れ企業にも問題があるが、仲介している団体が怠慢なのです。制度を手掛ける財団法人『国際研修協力機構』(JITCO)は、厚労官僚らの『天下り 団体』。国から関連事業の受託費を年間4億円余り得ています。厳しく監督すれば、研修生を受け入れる企業も減って、自分たちの実入りも少なくなる。それで 重大事件が起きてもナアナアで済ませているのではないか」(経済ジャーナリスト)
外国人を「現代の蟹工船」に乗せ続ける限り、次の犠牲者が必ず現れる。
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【TPPの真実】 大新聞世論調査の大ウソ 地方紙の100%はTPP反対<日刊ゲンダイ>
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【TPPの真実】
大新聞世論調査の大ウソ 地方紙の100%はTPP反対
2013年3月19日
http://gendai.net/articles/view/syakai/141530
▼全文転載
TPP交渉支持6割以上、安倍内閣支持7割超の調査結果は全国世論の捏造に近い
安倍首相のTPP交渉参加を受け、18日の新聞各紙は、土日に実施した世論調査を大々的に報じた。それによると読売で60%、毎日は63%、朝日では71%が安倍の姿勢に賛同しているという。
内閣支持率も読売、毎日で70%を超えた。朝日でも65%と高い。6年前に参院選で国民にダメ出しされ、体調を崩して入院した政治家だ。普通だったら、とっくに引退している。いくら株価が上がっているからといっても、これほど支持されるのはおかしい。どこか狂っている。
TPPの結果も変だ。地方議会を見ると、東京、大阪、山梨を除く44道府県が反対か慎重の決議をしている。知事で賛成と言っているのも、大阪、愛知、埼 玉、静岡、広島、大分の6府県だけ。市町村議会は9割が反対だ。逆立ちしたって「7割が容認」なんて数字は出てこない。ジャーナリストの青木理氏が言う。
「全国紙の社説を読むと、朝日から産経までTPP賛成一色です。書いているのは、恐らく政治部や経済部に所属し、永田町や霞が関をグルグルと回ってきた人 たち。何よりも日米関係が大事と洗脳され、論説委員となった。そう考えると、論調が同じになるのもうなずけます。でも、地方紙は違う。ほとんどが反対の論 陣を張っているし、力が入った社説も目に付きます。農家の実情を知り、地元の声に耳を傾けているので、地に足のついた主張を展開しているのです」
それでも「賛成」が多数となるのは、人口が都市部に集中しているためだ。日本では、国民の4割が首都圏に住んでいる。農業を営む人も少なく、「工業製品 が売れる」「輸入品が安くなる」と言われると、悪くないと思ってしまう。推進派の大新聞は、不都合な真実を報じようとしないから、なおさらだ。サンプル数 だって、たかだか1000程度。それで結論を導くのは、全国世論の捏造に近い。
<正しい情報を与えない調査に意味ナシ>
「GDPに占める農業の割合は18%と低く、農業従事者も減る一方。しかもマスコミからの情報は少ない。そんな中で賛成か反対かと聞かれると、賛成が多く なるのは当たり前です。消費増税だって、当初は7割が賛成でした。日本人は問題が身近にならないと声を上げない。本音が出るのはこれからでしょう。農薬や 遺伝子組み換え食品の問題がクローズアップされれば、主婦層も異議を唱える。地方が干上がれば、首都圏の生活者も打撃を受けることも分かってくるはず。現 段階の調査結果に大した意味はないのです」(政治評論家・有馬晴海氏)
東京中心の大マスコミからは、いつも真相が見えてこない。
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原発 世界各地の今の動向は <NHK NEWS WEB>
★記事は、URL からお読みください。
NHK NEWS WEB
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原発 世界各地の今の動向は
2013年(平成25年)3月10日 6時7分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130310/k10013084301000.html
★掲載ブログ
http://agz205jxiw01bbo77dzo.blogspot.jp/2013/03/20369856415623.html
福島第1原発 「収束」には程遠い現実 03月20日(水)社説<信濃毎日新聞>
信濃毎日新聞
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福島第1原発 「収束」には程遠い現実
03月20日(水)社説
http://www.shinmai.co.jp/news/20130320/KT130319ETI090011000.php
▼全文転載
2年前の原発事故の恐怖がよみがえる事態が起きた。
東京電力福島第1原発で停電があり、使用済み燃料を冷却するシステムが停止したのだ。一時的なトラブルだとしても、「収束」とは程遠い現実があらためて浮き彫りになった。
東京電力によると、停電があったのは18日午後7時前。1、3、4号機の使用済み燃料プール代替冷却システムなどの設備がストップした。菅義偉官房長官は19日、「最悪の事態に備え、冷却代替手段に万全を期す」と述べたが、不安を覚えた人は多かったのではないか。
2年前の事故では、原子炉内の核燃料とともに、建屋内のプールの使用済み燃料が大きな脅威となった。とくに4号機のプールは水位が低下し、燃料が露出する危険性が指摘された経緯がある。
第1原発には1号機~4号機のほか、共用プールに大量の使用済み燃料が保管されている。核燃料にとって冷却は生命線だ。一時的とはいえ、冷却機能が喪失するトラブルは軽視できない。東電にはしっかり原因を究明し、抜本的な対策を求めたい。
停電の公表は、発生から約3時間後だった。東電側は「点検する場所が多く、現場確認に手間取った」と説明しているが、これでは信頼回復は難しい。迅速な情報開示に努めてもらいたい。
2011年12月、政府は「事故そのものが収束に至った」と宣言した。だが、いまも第1原発をめぐる現実は厳しい。核燃料の冷却だけではなく、大量の汚染水の処理をどうするか、沿岸部や近海の水質をどう改善していくのか、難題が山積している。
最大の課題は、原子炉内の燃料を取り出し原発施設を解体することだ。人類史上、例を見ない難題であり、スリーマイルアイランドやチェルノブイリの事故よりも難しい作業となるだろう。内外の英知を集めた官民挙げての取り組みが欠かせない。
忘れてはならないのは、福島県を中心にいまも被害が続いていることだ。故郷から避難している福島県民は15万人以上にも上る。農林水産業や観光などが壊滅的な打撃を被り、「故郷喪失」の危機に直面している。
安倍晋三首相は「福島の方々の生活に将来が見えなければ収束とは言えない」と国会で答弁している。事故処理に道筋を付けるとともに、福島県民の将来に展望を切り開く―。答弁を具体化する政治を安倍政権に求める。
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証言/死者59人 気仙沼の老健/極限状態、救うすべなく {証言/焦点 3.11 大震災「河北新報
証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」から全文転載
※記事数が多いため、一部転載し、ほかは記事タイトルとURLの掲載です。
河北新報
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証言/死者59人 気仙沼の老健/極限状態、救うすべなく
2011年07月22日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110722_01.htm
▼全文転載
高齢者59人が犠牲となった気仙沼市の介護老人保健施設「リバーサイド春圃」。建物前の地蔵に新しい花が手向けられていた=7月上旬
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110722009jd.jpg
津波にのまれ、泥だらけになったお年寄り用の歩行器=1日、気仙沼市のリバーサイド春圃
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110722_01.htm
図
http://www.kahoku.co.jp/img/news/201107/20110722a10zu.jpg
目の前に気仙沼湾を望む気仙沼市錦町の介護老人保健施設「リバーサイド春圃(しゅんぽ)」。東日本大震災の大津波は建物の2階まで押し寄せ、車いすの高 齢者をのみ込んだ。生き残った人も寒さで次々に命を落とし、犠牲者は最終的に59人に上る。避難訓練の想定を上回る津波に、なすすべもなかった職員たち。 「私たちに何ができて、何ができなかったのか」と自問自答する。(丹野綾子)
<眼前>
津波は、建物2階のデイルームに集まっていた車いすの高齢者たちに襲い掛かった。悲鳴を上げる間もなく、車いすごと流される。職員たちは無我夢中でテーブルやカウンターに引き上げた。
施設長の猪苗代盛光さん(63)も胸まで水に漬かりながら両腕で2人を抱え、固定したいすに上げた。別の高齢者を助けに行こうとすると、背後のカウンターの上にいた女性に「助けて」と襟首をつかまれた。身動きできないまま、目の前でお年寄りは沈んでいった。
猪苗代さんは「1人を助けようとしたら、別の1人を離さなければならなかった」と振り返る。
<誤算>
震災当日、リバーサイドには入所者100人、通所の利用者33人がいた。平均年齢は83歳程度で、大半が車いすを利用。地震発生後、職員53人はすぐに2階デイルームに全員を避難させた。
建物は鉄筋コンクリート2階。2階床面の高さは土台が高いため7メートルを超す。隣には津波避難ビルでもある3階の市総合市民福祉センター「やすらぎ」がある。
市の防災計画では、建物の3階以上に避難することになっており、猪苗代さんらは訓練で、やすらぎの3階に避難することを検討した。だが、車いすの高齢者を 移動させるには時間がかかった。リバーサイド2階ならすぐに移動できる。6メートルの津波にも耐えられるので、2階を災害時の避難所にしていた。
震災の津波は想定を大きく上回り、2階まであふれた。高齢者46人が水にのまれて亡くなり、1人が行方不明(後日、死亡を確認)になった。
<猛火>
波が引いてからも猪苗代さんは、第2波到来に備えて助かった86人を屋上に避難させるかどうか迷った。外は雪が降っている。「全員ずぶぬれの状態で、体力のない高齢者は低体温症でやられてしまう」と考え、四つの部屋に高齢者を集めた。
ふと窓の外を見ると、信じられない光景が広がっていた。建物の周りが火の海だった。破壊されたタンクから漏れ出た重油に引火するなどして、施設がある鹿折地区一帯は大火災に見舞われた。
爆発音が響く。「火が来たらどこにお年寄りを避難させようか、それだけを考えた」と猪苗代さんは言う。
極限状態の中、認知症のお年寄りが「何でこんな所にいるの」と繰り返す。別の高齢者が「何度言ったら分かるの。津波が来たんだよ」と声を荒らげた。
◎酷寒の避難所 犠牲拡大/「入所者帰宅」職員決断
延焼を免れた気仙沼市の介護老人保健施設「リバーサイド春圃」は3月12日朝、助かった高齢者86人を近くの鹿折中体育館に避難させる。施設長の猪苗代盛 光さん(63)をはじめ職員たちは3人がかりで車いすを抱え、膝上まである泥の中を進んだ。たどり着けば、生命の危険は遠のくはずだった避難所。しかし、 そこには別の悲劇が待っていた。
やっとの思いで避難した体育館に寝具はなく、津波でぬれた服を着替えさせることもできなかった。底冷えが高齢者の体力を奪った。
体調の悪化したお年寄り以外は、車いすに座らせたままにせざるを得ない。職員2人が脇で倒れないように支えた。
「バターンと大きな音がするたび、お年寄りが倒れ、亡くなったことが分かった」。猪苗代さんが、その光景を思い起こして唇をかむ。
その後も1日に1人、2人と亡くなる人は相次ぎ、市立病院に救急搬送されてから死亡した人も含めると、12人が津波で助かった命を失った。
「避難所は介護が必要な高齢者を置いておける場所ではない」。猪苗代さんたちは、できるだけ高齢者を家族に引き取ってもらった。身寄りのないお年寄りら32人は、市内や隣の一関市の高齢者福祉施設に受け入れてもらった。
看護師の千田淑子さん(61)は「やっと温かい食事や布団のある場所に移せて、ほっとした」と目を潤ませて振り返る。
避難所に向かう前、千田さんらは三つの部屋のベッドに寝かせた46人の遺体の顔を、タオルで丁寧にぬぐった。
皆、口や鼻の中まで泥が入っている。目を開いたまま亡くなり、死後硬直で閉じられなくなった高齢者もいた。
「助けられなくてごめんなさい」。謝りながら涙が止まらなかった。
4月上旬、猪苗代さんは亡くなった高齢者の遺族の家を回り、震災時の状況を説明した。
「老健施設は在宅復帰を目指す場所なのに、遺体で家に帰すことになり心苦しい」とわびた。
津波で亡くなった84歳の女性の三女(56)は「遺体の顔は息苦しそうにゆがみ、かわいそうだった」と声を震わせる。
施設の責任を問う気持ちはない。「自分たちを責めないでほしい。亡くなった母の分まで、他のお年寄りを大切にしてほしい」と気遣う。
現在、リバーサイド春圃は市内の病院の2階を借り、13人の高齢者を預かっている。市内の施設が被災して在宅の高齢者が増えたこともあり、6月に訪問看護ステーションも開設した。
リバーサイドの再建を目指す猪苗代さんは「震災時に何ができて何ができなかったか、職員と話し合いたい」と言う。
痛感したのは、災害時の高齢者の避難環境が整っていなかったことだ。
環境への適応能力がない高齢者は精神的なバランスを崩し、認知症やうつ病になりやすい。精神面でのかかわりも重要になる。
「一日も早く高齢者が安心して暮らせる環境を整えたい」。それが亡くなった高齢者に報いることにもなると、猪苗代さんは考えている。
証言/焦点 3.11 大震災{河北新報・連載記事}
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/index.htm
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証言/指定避難所、大混乱/仙台駅閉鎖、2500人学校殺到<証言/焦点 3.11 大震災「河北新報
証言/焦点 3.11 大震災「河北新報・連載記事」から全文転載
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証言/指定避難所、大混乱/仙台駅閉鎖、2500人学校殺到
2011年07月26日火曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110726_01.htm
▼全文転載
避難者で埋め尽くされた榴岡小の体育館=3月12日午前、仙台市宮城野区
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110726005jd.jpg
榴岡小の避難訓練。周辺施設から避難者が殺到した教訓を関係機関がどう生かすかが問われている=5月16日、仙台市宮城野区
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20110726_01.htm
図
http://www.kahoku.co.jp/img/news/201107/20110726a10zu.jpg
3月11日の東日本大震災の直後、JR仙台駅に近い榴岡小(仙台市宮城野区)には、想定の4倍を超える約2500人の避難者が押し寄せた。仙台駅を閉め出された駅利用者らが、避難場所を求め、殺到したためだ。指定避難所とはいえ、想像を超える数に現場は大混乱に陥った。
(佐々木絵里香)
◎想定の4倍「どうしてこんなに人が」
<満杯>
「次から次へと人がやってきた」。久能和夫校長(58)と教員は、どんどん大きくなる校庭の人だかりに困惑した。
学校には宮城野区と連絡を取るための防災行政無線が配備されていた。が、一向につながらない。久能校長は区の避難所開設要請を待たずに、午後3時半すぎには体育館の開放を決めた。
体育館はすぐに満杯になった。1人分のスペースはひざを抱えて座れる程度。校舎東側の5教室も開放したが、それでも避難者を収容しきれなかった。
原因は、徒歩で約10分の位置にある仙台駅の立ち入り禁止措置だった。「駅舎倒壊の危険がある」と、駅員らの指示で利用客らは地震直後に閉め出された。駅 周辺に滞留する人の群れ。JRや宮城県警は避難先として、榴岡小をはじめ近隣の学校を告げた。「少しでも安全な屋内の場所に移動してもらうほかなかった」 (JR東日本仙台支社)と説明する。
<困惑>
仙台駅東口のビルの整体院で働く古関直美さん(40)=名取市=は、盛岡市から通う利用者らとともに榴岡小に避難した。「駅が使えない以上、行く場所がなかった」。ぎゅうぎゅう詰めの体育館には、宮城県外からの買い物客らも多かったという。
学校側は状況がのみ込めなかった。災害時の想定収容人員は近隣住民ら600人。事前にJRと協議する場もなく、駅の立ち入り禁止措置は全くの想定外。「どうしてこんなに人が集まるのか」。戸惑いの中で対応に追われた。
近隣のオフィスからも人が集まった。「災害時の避難場所を決めていなかった。自社ビルの安全が確認されるまで、榴岡小に一時社員が避難した」(ユアテック)
<奔走>
あふれる避難者で、結果的に居場所を失った地域住民も少なくなかった。
「知らない人がいっぱいいる」。榴岡地区町内会連合会の及川勇副会長(60)は驚いた。既に校庭は人で埋め尽くされていた。校内への避難を諦め、近くの公園にテントを張ったり、駐車場で車に寝泊まりしたりした住民も数多くいたという。
圧倒的な人の数に、食料も間に合わなかった。学校に備蓄された食料は、想定600人の2回分で1200食。避難者全員に行き渡らないと判断した久能校長は、夜の食事の支給を取りやめた。
教員は食料を求め、原町コミュニティーセンターと宮城野消防署原町出張所に走った。備蓄分と合わせ、やっと3080食を確保できたのは、日付が変わるころだった。
◎避難所機能パンク/食料確保ままならず/周辺施設との連携課題
JR仙台駅の利用者や周辺事業所の従業員らが大量に押し寄せた榴岡小(仙台市宮城野区)では、教職員や地元町内会の役員らが、食事の手配や別の避難場所の 確保に奔走した。大勢の人が集まる施設が集中する地域で、避難所はどうあるべきなのか。「地域の避難所」としての機能を守ろうとした教職員や住民の苦闘か らは、関係機関との連携に課題があったことも浮かび上がる。
榴岡地区町内会連合会の役員らは震災当日、約2500人に膨れ上がった避難者を収容するため、別の避難場所を探し回っていた。
近くの市榴岡公園軽体育館は職員が帰宅し、使用不能だった一方で、小学校に併設される児童館は指定避難所ではないが、保護者を待つ児童や妊婦ら50人超を受け入れてもらった。近隣の宗教団体施設の一室にも、約100人を避難させてもらえた。
翌3月12日朝、榴岡小で初めて提供された食事の配給には、同校で一夜を明かした人に加え、近隣住民や近くの会社に泊まった人たちも並んで、校庭に長い列ができた。
教員らは前夜遅くまで駆けずり回って確保した3080食で「間に合うはず」と考えていたが、結局は全ての人に行き渡らなかった。
ボランティアや市の配給で、何とか食料を確保できたのは、帰宅する人が増え始めた12日夜のことだった。
同校の避難所は3月24日には役割を終え、閉鎖されたが、3月11日の混乱で明らかになった課題は解消されていない。
仙台市は「仙台駅のように不特定多数の人が往来する地区では、避難所として学校以外にも、準公共施設や企業に協力を求めることも考えている」と説明する。
しかし、混乱の引き金となった仙台駅や周辺の企業、集客施設からの避難者の誘導などについては、JRなどとの協議さえ行われていない。
22日には近くに「仙台アンパンマンこどもミュージアム&モール」がオープンした。地域を行き交う人はさらに増え、次の災害時には「あの日」を上回る混乱が起きないとも限らない。
同校の久能和夫校長は「仙台駅に近い榴岡小に人が集まるのは仕方がない。だからこそ、JRをはじめ関連機関との綿密な連携が今後、欠かせない」と感じている。
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東日本大震災 「福島第一原発事故」アーカイブ(4) {福島民報 から2011年3月28~30日}
★福島民報 から転載。これも記事数が多いため、記事本文は、URLからお読みください。記事タイトルのナンバーは、私が便宜的につけました。
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東日本大震災
「福島第一原発事故」アーカイブ
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県指定先に避難へ 二本松、福島などの旅館 浪江町
9割「地元に戻りたい」 新潟県内の本県避難者
パトロール隊投入 第一原発10~30キロ県警、治安維持で
相馬地方3首長現況、見通し語る
南相馬、市民戻り始める
「福島第一原発事故」アーカイブ
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原発事故関連死 施設入所者の避難計画整備 新年度県、まず特養などで着手 体調悪化や長時間移動対応
福島民報「原発事故関連死」から全文転載
福島民報
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原発事故関連死 施設入所者の避難計画整備 新年度県、まず特養などで着手 体調悪化や長時間移動対応盛り込む
2013/03/21 11:50
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/03/post_6692.html
▼全文転載
東京電力福島第一原発事故に伴い長時間の移動をさせられた高齢者施設で多数の死者が出たことを教訓に、県は平成25年度、大規模災害発生時に、施 設に入所する「災害弱者」が被災地外の施設に安全に最短ルートで避難できる態勢を整える。まず、重度の要介護者らが生活する特別養護老人ホームと、治療を 終えたばかりの高齢者らが入る介護老人保健施設を対象に、受け入れ先や支援態勢などを盛り込んだ避難計画を作る。多くの人を運ぶ移動手段、計画の実効性の 確保などが課題となる。
構想では、避難先の候補施設を事前に複数選び、施設や福祉団体単位か、地域単位で協定を結ぶ。例えば相双地方の施設の場合、比較的近い県北、県南地方の施設などと締結し、施設利用者の情報を共有しておく。
避難は長時間移動となる可能性が高い。計画には目的地まで最短の経路を設定。途中で立ち寄る福祉避難所、病院など公的施設を明記し、お年寄りの急な体調悪化にも対応できるようにする方針。
県内には特別養護老人ホームが149施設(6施設は休止)、介護老人保健施設が85施設(3施設は休止)あるが、地震や津波、原発事故など大規模災害による長距離移動を伴う避難は、多くで想定していない。
県は4月以降、特別養護老人ホームが加盟する県老人福祉施設協議会、介護老人保健施設で組織する県老人保健施設協会、県介護支援専門員協会などと避難計 画の検討委員会を組織し、計画の策定を始める。県老人福祉施設協議会は4月に県内7つの地域単位か、施設単位で協定を結ぶ方向で調整している。
計画の実現には課題もある。大型バスなど大勢の入所者を乗せることができる車両が全ての施設にあるわけではなく、今後、新たに配備する際の支援、限られた車両での効率的な避難方法などを検討する必要がある。
県によると、宮城県の一部の施設は協定を結んでいたが、震災時に現場で混乱し想定通りに避難できなかったケースがあったという。計画に沿った避難訓練を 定期的に実施しておくことも課題だ。各地方によって施設数に差があり、施設の受け入れが可能な人数、職員の人員も異なる。検討委の調整に時間がかかる懸念 もある。
県は当面、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設を対象とするが、高齢者施設は他にも認知症高齢者のグループホーム(県内199施設)、軽費老人ホーム(同34施設)、有料老人ホーム(同115施設)などがある。
県保健福祉部の担当者は「1度に全ての施設を対象にすれば調整が難航する恐れがある。人命救助の観点から将来的には実現させたい」としている。
■高齢者34施設が原発事故で避難 県内
東日本大震災と福島第一原発事故では、避難区域などにあった特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホームなど34施設が避 難を強いられた。県のまとめでは今年1月1日現在、事故当時の入所者1761人のうち、約30%に当たる520人が死亡した。いわゆる「原発事故関連死」 とされる人も含まれている。
県は「寒い時期の体育館での寝泊まり、長時間の移動で体調を崩し、回復しないまま亡くなったケースも考えられる」とし、避難に伴う移動のリスクで犠牲になった可能性を指摘している。
(カテゴリー:原発事故関連死)
東日本大震災「原発事故関連死」アーカイブ
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2012-11genpatsukanrenshi/
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【忘れない、立ち止まらない】見るだけ、聞くだけで都合良く“ルール”を守り動かない政府 (4)
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【忘れない、立ち止まらない】見るだけ、聞くだけで都合良く“ルール”を守り動かない政府 (4)
★(4)
2013.03.08
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130308/dms1303080711005-n1.htm
▼全文転載
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20130308/dms1303080711005-p1.htm
東日本大震災は「1000年に一度の災害」と言われるが、「次の津波も1000年後」とはかぎらない。三陸沿岸は数十年に一度のペースで大津波に襲われているし、小さいものなら、もっと頻繁だ。先の震災後も津波注意報・警報は何度か発令されてきた。
養殖漁家にとっては、陸に達しない程度の波も命取りとなる。事実、2010年にも高さ1メートル未満の津波が発生して海中をかき回し、三陸の養殖カキやホタテを壊滅させた。
湾口防波堤も防潮堤も失ったいま、沿岸被災地の状況はさらに無防備を極める。いつ来るとも知れぬ津波への不安をよそに、復旧の予定さえない漁港がいくつもあり、海から数百メートルの浸水域で営業せざるを得ない商工業者が多数を占める。
ところが、国が手立てを急ぐ様子は一向に感じられない。再興へのスピードは時がたつにつれて減速し、尻すぼんでいくようだ。海のそばで生きる者の定めとはいえ、住民は「いつまた失うのか」「次は耐えられるだろうか」という恐怖と隣り合わせに暮らす。
被災地の現状視察を名目に、永田町からはたくさんの議員がやってきた。
コンクリートが剥がれた穴だらけの道。街灯もガードレールもないまま放置された崖の上の通学路。地盤沈下の影響で満潮時には水没する地帯…。いまなお残る爪痕を見学し、重い自己負担がのしかかる事業者や、助成打ち切りにあえぐ1次生産者の窮状に耳を傾ける。
だが、ただそれだけのことだ。
「市道だから」「県の管轄だから」「法律だから」-。“未曾有の災害”などと、しかつめらしく(=もっともらしく)口にしながら、結局は常時のルールを持ち出し、そこで話を打ち切ってしまう。
最低限の復旧すら後回しにされる一方で、復興予算が湯水の如く被災地外へ使われている点については、たとえどんな立派なご託を並べられようと納得はしない。
さらには、がれき処理の受け入れ先から除外されたにもかかわらず、復興予算の廃棄物処理施設整備費として、約340億円もの大金がそのまま自治体へ交付されるとの報道もあった。
環境省は「いったん受け入れを“検討”した限り、実情が伴わなくても交付金は返還不要」と通達したという。まるで狂気の沙汰だ!
なるほど。被災地のためにルールを覆すことは渋っても、こうした“掟破り”ならやぶさかではないらしい。この憤懣(ふんまん)を言葉で表現することはもはや不可能である。
救済措置がなければ今すぐ凍え死ぬとか、餓死するというわけではない。けれども、見渡す風景は常時から程遠い“異常な”ものだと、一目見て分かるではないか。被災地はいまだ“非常時”にある。「絆」だの「共に復興」だの、おためごかしだけなら、もうたくさんだ。
■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。現在は記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当する。
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【忘れない、立ち止まらない】被災地の実態とは異なる“美しい虚像”★(5)<zakzak>
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【忘れない、立ち止まらない】被災地の実態とは異なる“美しい虚像”★(5)
2013.03.10
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130310/dms1303100707000-n1.htm
▼全文転載
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20130310/dms1303100707000-p1.htm
暴動も起こさず、整然と列を作って並び、譲り合い、助け合う被災者の姿。命を顧みずに他人を守り、犠牲となった人々のエピソード。東日本大震災の直後、日本人の“美徳”は国内外から大いにたたえられた。
けれども、「これぞ東北人」「我慢強くて立派だ」などといわれると、ときどき強い違和感を覚えることがあった。
称賛の内容にではない。その先にあるものを見ようとせず、そこで“思考停止”してしまう近視眼的な見方についてだ。被災地の実態とは異なる“美しい虚像”が後ろにちらつき、居心地悪くなるのだ。
「津波と原発があれだけ騒がれて、よそからは『逃げておいで』と呼びかけられたのに、ほとんどの東北人は留まることを選んだでしょう。そこに日本人の気概を感じるよね」
ジャーナリストだというその人のキラキラした物言いに、背筋の凍る思いをしたことがある。いったい何を言ってるんだろう…と、耳を疑うより先に、全身から血の気が引いた。
テレビや新聞で、一度も見聞きしたことがないのだろうか? そこに残る以外の選択肢を持たない、住民のジレンマを? 「生きていかねばならぬことのほうが、津波で死ぬよりつらいかもしれない」とまで追い詰められた人々の、血の滲むような叫びを?
そうした当事者の気持ちは、自分が“代弁”できるべくもない。被災地が美談で彩られ、何かと“感動”を求められがちなことも理解している。だが、このときばかりは、想像を絶するような悲嘆を、「耐える姿 美しい」の一言で片付けていいとは到底思えなかった。
「なぜ津波がまた来るような町に住み続けられるのか」と聞く人もいるが、どんな答えを期待するのだろう。「なぜ毎年台風が直撃する地域に住むのか」「なぜ 雪かきの大変な豪雪地帯に居続けるのか」という質問に置き換え反駁してみたい。そこに先祖代々根づき、その場所になりわいが、しがらみがある以上、故郷を やすやすと捨てられるわけがない。何も、整合性の取れた美しい理由があってのことではないのだ。
陸前高田市では「奇跡の一本松」が修復作業を終え、元の場所へと戻された。これから“奇跡”を見ようと同市を訪れる人も多いことだろう。
そこではどうか、1本の価値にではなく「7万本もの松が根こそぎ流された」事実に重きを置いてみてほしい。単一樹種の林は根が浅く、津波が来れば全国どの松原でも同様のことが起こり得る。被災地を訪れる人には、そうした“警告”も一緒に持ち帰ってもらえればと願う。
われわれが生きているのは美談の中ではない。どこまで行こうとも現実の暮らしの中である。そして二度と自分たちと同じ思いをする人がいないよう、その現実からの教訓を伝えていきたいと思うのだ。=おわり
■鈴木英里(すずき・えり) 1979年、岩手県生まれ。立教大卒。東京の出版社勤務ののち、2007年、大船渡市・陸前高田市・住田町を販売エリアとする地域紙「東海新報」社に入社。現在は記者として、被害の甚大だった陸前高田市を担当する。
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再処理工場の環境汚染関連記事&英・仏の再処理工場
六ヶ所再処理工場 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E3%83%B6%E6%89%80%E5%86%8D%E5%87%A6%E7%90%86%E5%B7%A5%E5%A0%B4
ラ・アーグ再処理工場事故~1980年人類絶滅寸前の事故があった
2012-02-02 00:32:25
http://ameblo.jp/kitanoyamajirou/entry-11152748780.html
セラフィールド再処理工場
ニュースNo.63アイリッシュ海から北極海までも汚染
http://www.jca.apc.org/mihama/News/news63/news63irish.htm
ニュースNo.65セラフィールド再処理工場による海洋汚染の実態
http://www.jca.apc.org/mihama/News/news65/news65cesium.htm
再処理工場周辺の海の放射能汚染 - 原子力資料情報
http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=335
セラフィールド - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
セラフィールド再処理工場からの放射能放出と白血病
http://www.cnic.jp/modules/smartsection/item.php?itemid=35
核再処理工場・英セラフィールド - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=wfWtIAOv33A
さよなら原発神戸ネットワークHomePagehttp://www.geocities.jp/tobosaku/
脱原発入門講座トップhttp://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/index.html
深刻な放射能汚染発覚
http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/saisyori2.html
★全文転載
英・仏の再処理工場
深刻な放射能汚染発覚
イギリスのセラフィールド、フランスのラ・アーグ両再処理工場で、深刻な放射能汚染が相次いで発覚し、大きな問題となっています。
両工場では、日本から送られた使用済み燃料の再処理も行われており、私たちにもその責任の一端があるのではないでしょうか。
また六ヶ所に建設されている再処理工場が稼働すれば、同じように日本全国、そして近海が汚染されると覚悟しなければなりません。
[ラ・アーグ]
仏版動燃=核燃料公社(COGEMA)
膨大な放射性物質を排出
日本で動燃のずさんな体質が問題になっていますが、フランスの動燃にあたる「核燃料公社」も負けず劣らずずさんなようです。
ラ・アーグでの発端は、今年の1月、フランスのブザンソン大学ジャンフランソワ・ビエル教授が、イギリスの科学誌(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に発表した論文です。
それによると、ラ・アーグから35キロ圏に住む白血病にかかった子ども27人と健康な子ども192人とそれぞれの母親の生活を調査、比較したところ、頻繁に海水浴をしたり、地元産の魚を多く食べた子どもほど白血病にかかりやすい傾向が確認されたというものです。
一方、グリーンピースが再処理工場の廃液排出管周辺を調査し、4月にはパイプが自然状態の3900倍に達する放射線を発していることを発見、さらに6月には、排出管や周辺の堆積物などを採取、分析したところ、排出液からは1リットルあたり1億6千万ベクレルのトリチウムをはじめ、通常の海水の1700万倍の放射能を検出しました。
グリーンピースによると、ラ・アーグ再処理工場は毎日10万リットルの放射性廃液を放出しており、全長7kmのパイプの内側には厚さ2cmの放射性物質が付着しているとのことです。
慌てた核燃料公社は、排出管の放射性付着物の除去作業を計画、グリーンピースなどの環境影響評価の要求を無視して、7月7日から作業を強行しました。
しかし、逆に50キロ、10億ベクレルもの放射性物質を漏らしてしまいます。
7月10日、ついにフランス環境相が、排出管周辺海岸への立ち入りを禁止しました。
さらに9月には、除去作業で生じた放射性廃棄物のドラム缶や排出装置の部品やパイプが、海岸からわずか250メートル沖の水深7mの海中に放置されているのをグリーンピースが発見しました。
追いつめられた核燃料公社は、グリーンピースの調査活動を禁止するよう裁判所に提訴しましたが、当然ながら却下されました。
9月25日、グリーンピースが、排出管付近で採取したカニからセシウム137、コバルト60など、キロ当たり1350ベクレルの放射能を検出した と発表、さらに10月2日には、排出管から、コバルト60、アメリシウム241を含む基準より大きな粒子の放射性物質が放出されているのを確認したと発表 しました。
ラ・アーグには、日本の他、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイスが再処理を委託しています。そこで、ラ・アーグ周辺の住民は、ドイツ政府に対してドイツで発生した使用済み燃料をラ・アーグに運ぶのを許可しないように求める裁判を起こしましています。
さて、今や世界でただ1国、プルトニウム利用にしがみつく日本の国民として、私たちは・・?
[セラフィールド]
子どもの歯にプルトニウム蓄積
大西洋~北極圏まで広がる汚染
イギリスからもセラフィールド再処理工場による深刻な放射能汚染を報じるニュースが届いています。
まず、イギリス政府が実施した未成年者の歯の分析調査で、プルトニウムによる汚染が、セラフィールドを中心に同心円状にイギリス全国に及んでいることが判明しました。
それによると、歯科治療で抜歯された未成年者の歯を全国から集め分析したところ、工場から75km圏内に住む子どもの歯では平均1kg当たり換算7ミリベクレル、225km圏内では5ミリベクレル、それ以上では3ミリベクレルのプルトニウムが検出されたというものです。
また、96年第4四半期にセラフィールド近海で捕獲されたロブスターから、1kg当たり3万6千ベクレルのテクネチウム99による汚染が検出されました。これは同じ場所での96年のデータの92倍に相当します。
セラフィールドは、毎日900万リットル以上、年間2億3千万リットルの放射性廃液をアイルランド海に放出しており、これによる汚染は、アイルランド海全体は勿論、北海、バルト海、ノルウエー海、バレンツ海、グリーンランド海にまで及んでいるとのことです。
セラフィールドの汚染については、白血病の増加や、海岸にすむ家族の電気掃除機の塵からプルトニウムが検出されるなど、ずいぶん前から地元で問題となっていましたが、政府や推進派はその都度因果関係を否定する宣伝を繰り返してきました。
日本でも「セラフィールドからの手紙」というパンフレットで、地元の被害者の声が伝えられると、電力会社は早速、現地工場関係者を登場させて安全性を宣伝するパンフレットをばらまきました。
しかし、今や事実は覆いようもなくなりました。このままでは、六ヶ所でも同じことを繰り返してしまいます。
参考資料
GREENPEACE-INTERNATIONAL/PRESSREREASE
niftyserve-factive mes8の関連記事
美浜の会ニュースNO39
福井新聞(8月2日)
反原発新聞234号
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「核燃料サイクル」事業に使われた金額を、ご存知ですか?&再処理工場の稼働に反対する1・2河野太郎
★2011年まで(過去45年間)に、少なくとも「10兆円以上」だそうです。今後も、継続すればトータルで幾らかかるかは、誰も計算できないでしょう。 核関連事業は、大型公共事業と同じで、進むにつれてドンドン費用が増えていきます。再処理工場などは、プルトニウムを抽出する目的を放棄すれば、まったく 必要性のない事業です。現在、日本は40トン以上のプルトニウムを所有し核爆弾5000発を製造できる量だと聞いています。外国からは、核兵器開発を疑わ れ、プルトニウムの所有を減らすよう迫られています。
米、プルトニウム保有最少化要求
原子力協定の「前提崩れる」
日本の核武装は許さないというメッセージ
2012-10-05 02:48:29
http://ameblo.jp/souldenight/entry-11371582030.html
核燃料サイクル - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E7%87%83%E6%96%99%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB
★ そのため、無茶を承知でやっているのが、MOX燃料を普通の原発で燃やすという危険な行動です。これは、通常のウラン燃料にプルトニウムを混ぜて燃やすと いう危険な方法です。たとえて言うなら、灯油燃料のストーブでガソリンを混ぜた灯油を燃やすのと同じです。普通に考えれば、危ないと分かります。
MOX燃料 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/MOX%E7%87%83%E6%96%9
おまけに、MOX燃料は、普通のウラン燃料の5倍くらいの費用が掛かるそうです。
『プルトニウムを持ちすぎたために、減らさなければならない。そのためにMOX燃料と言う特別製の燃料を作らなければならない。それは、普通のウラン燃料の約5倍の価格である。』
これだけでも、いい加減バカげた話です。その上、巨額の税金を投入してプルトニウムの抽出を目的とする、中間処理工場を作ってどうしようというのか???
★高速増殖炉(もんじゅ・など)は、危険すぎるという事で、ほとんどの先進国が計画を放棄しました。原発大国のフランスでさえ、だいぶ前に止めています。
高速増殖実証炉スーパーフェニックスをめぐる動き (14-05-02-08)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-05-02-08
★すでに破たんしている、核サイクル事業は今も、継続されています。そして、毎年巨額の税金が投入され続けています。知れば知るほど、「原子力関連予算を消化する以外に、何の目的もない」と分かります。更に、中間処理工場は原発などよりはるかに環境を汚染します。そして、「危険」です。中間処理工場が、事故を起こせば半径10000kmが放射能で汚染されると言われています。北半球のほぼ全域が、放射能汚染されることになるとの事です。
ラ・アーグ再処理工場事故~1980年人類絶滅寸前の事故があった
2012-02-02 00:32:25
http://ameblo.jp/kitanoyamajirou/entry-11152748780.html
とめよう!六ヶ所再処理工場 | 原子力資料情報室(CNIC)
http://www.cnic.jp/knowledgeidx/rokkasho
「核のゴミ」にかかるコストはどれくらいか?
http://homepage3.nifty.com/radioactivewastes/jastjj/page_2/article_4.htm
2012-05-17 核燃料サイクル技術等検討小委員会レポート徹底検証
[科学]稼働させればさせるほど、再処理すればするほど最終処分費用は膨らむ~核燃料サイクル技術等検討小委員会レポート徹底検証
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120517/1337241084
再処理工場の稼働に反対する1|太郎の主張・政策|
河野太郎公式サイト
http://www.taro.org/policy/saishori1.php
★全文転載
六ヶ所村の再処理工場の稼働に反対する
ウラン鉱山から天然ウランを掘り出し、それを濃縮、加工して、燃料を作り、これを原子炉で燃やしてエネルギーを取り出すのが原子力発電です。とこ ろが我が国の原子力政策はそこで終わりません。原子炉でウランを燃やすと、どうしても燃え残りが出ます。これを使用済み核燃料といいます。このウランの燃 え残りを「再処理」するとプルトニウムがとりだされます。そして、「再処理」で取り出されたプルトニウムを高速増殖炉という特別の原子炉に入れて燃やす と、理論的には投入した以上のプルトニウムが取り出され、つまり燃やした燃料以上の燃料が生産されるはずです。これを「核燃料サイクル」と呼びます。
1967年に国の原子力委員会は、この「核燃料サイクル」の実現を国策として目指していくという基本方針を打ち出しました。地下資源に恵まれない 我が国にとって、原子力発電所の燃料のウランも火力発電所の燃料の石油も海外からの輸入に頼っていることにはかわりありません。そして、1970年代のオ イルショックで石油の価格が暴騰すると、国際的なウランの価格もあっという間に跳ね上がりました。輸入したウランからプルトニウムを取り出し、そのプルト ニウムを使って発電することができれば、燃料コストを引き下げると同時に燃料の安定供給にもつながると考えられたのです。
ある時代には正しい政策も、時代が変わると合理的ではない政策になるということはよくあります。厚生年金で作った大規模保養施設グリーンピアなど がその良い例です。そして1960年代から1970年代にかけては合理的な政策だった「核燃料サイクル」もその後の環境変化によって、誤った政策になって しまいました。
1970年代には比較的埋蔵量が少ないと思われ非常に高価だったウランでしたが、2003年に発行されたハーバード大学のレポートによれば経済的 に採掘が可能なウラン資源は原子力発電が急成長しても100年分以上あるといわれています。1970年代のウラン価格に比べ、最近の価格は非常に安くなっ ていて、プルトニウムを取り出す方がよっぽどコストがかかることになりました。つまりコストや安定供給の面からは「核燃料サイクル」の必要性がなくなった のです。
もっと困ったことに、プルトニウムを燃やすための高速増殖炉とよばれる原子炉が、計画から三十年たった今も実現していないのです。ナトリウム漏れ の大事故を起こした「もんじゅ」は、この高速増殖炉の実験のための原子炉でした。三十年前に三十年後の技術と言われた核燃料サイクルは、三十年たった今、 やはり三十年後の技術なのです。
プルトニウムは危ない物質です。同じ核物質であるウランなどと比べてもその毒性は飛び抜けています。そして、プルトニウムは核兵器の原料であり、IAEAの厳重な監視下におかれています。
最近、北朝鮮がプルトニウムを使って国際社会に揺さぶりをかけていますが、北朝鮮が入手したプルトニウムの量は約5kgと言われています。それに 比べてこの三十年間、核燃料サイクルの実現を言い続けてきた我が国はずっとプルトニウムを溜め続けてきました。今や、日本が所有するプルトニウムは、38 トンを超えています。かたやキログラム、かたやトンです! IAEAは、毎年その査察予算のかなりの部分を北朝鮮ではなく日本が保有するプルトニウムを査 察するために使っているのです。
「もんじゅ」計画が頓挫して、プルトニウムを燃やすことができなくなったため、経済産業省と電力会社は、大あわてでプルトニウムをウランと混ぜて ふつうの原子炉で燃やすために「プルサーマル」という計画を立案しましたが、この計画もまだ実現していません。仮にプルサーマルの原子炉が一基稼働して も、38トンのプルトニウムを燃やすのに、35年かかり、発電コストはウラン発電の約四倍になります。
ウランの燃えかすからプルトニウムを取り出すことにコスト的なメリットもなくなり、しかも、国内にはこの危険なプルトニウムが余って処分ができなくて困っているというのに、なんと三十年前の計画に沿ってプルトニウムを取り出そうという計画が着々と進行しています。
青森県の六ヶ所村にプルトニウムを取り出すために当初予算七千億円、完成してみたら二兆円のコストで「再処理」工場が完成しました。この再処理工 場からは年間5トンのプルトニウムが生産されます。時々、日本は核兵器を作るのではないかという話が海外からありますが、疑われるのも無理ありません。
再処理工場にかかる費用は莫大です。再処理工場を計画通りに稼働させるコストは13兆円です。厚生年金で作られたグリーンピアが大きな問題になり ましたが、グリーンピアとそのほかの年金福祉施設にかかった費用をすべて合計しても、数千億円の単位でした。それに比べて、再処理工場にかかる費用がいか に大きいかよくわかると思います。
しかも、この数字には大きな疑問符がついています。この十三兆円という数字は、半年前にはもう少し高かったのです。費用負担が多いと言われること を恐れた関係者が鉛筆をなめて数字を下げて作った数字だといわれています。それを裏付けるように、工場の建設費用が当初七千億円と見積もられていたのに、 完成してみたら二兆円、つまり約三倍の誤差があったのです。この調子でいったら三十九兆円の国民負担になりかねません。
しかも、この再処理工場は稼働前からトラブルが続いています。既に確立された技術であるはずのステンレスの溶接部分ですらひび割れするという事故 が起きています。そして、この再処理工場ではジルコニウムとステンレスの異材継ぎ手という全く新しい技術が何万カ所にも使われていて、関係者ですら何も問 題が起きないとは思っていないのです。
この再処理工場は、本格的に稼働させる前に、ウランを使ったテスト、そしてプルトニウムを使ったテストを実施することになっています。今年中にで もテストを開始したいと関係者は公言しています。しかし、一度プルトニウムを使ったテストが行われてしまえば、この工場全体がプルトニウムで汚染されてし まいます。そうなってから核燃料サイクルを見直して、やっぱり再処理をやめようということにしても、核で汚染された工場を解体するためには兆の単位の莫大 な費用がかかります。
なぜ、十兆円を超える莫大なコストをかけて、当面必要のないプルトニウムを取り出すこの再処理工場を稼働させなくてはならないのでしょうか。なぜ、三十年前に立てた計画を変更し、再処理を中止することができないのでしょうか。
余っているプルトニウムのこと、六ヶ所村の再処理工場のこと、あるいはそれに伴い国民負担が少なくみても十数兆円もかかるということを初めて聞く方も多いと思います。年金問題に匹敵するようなことなのに、何でニュースで聞いた覚えがないのだろうと思いませんか。
マスコミはみんなこの問題に気がついています。しかし、新聞もテレビも報道してきませんでした。なぜならば、電力会社が莫大な広告宣伝費を使って いるからです。電力会社の広告はマスコミにとって大きな収入源になっています。だから、公に発表されるような事故でもない限り、原子力の政策に関する報 道、とくに国の政策に異を唱えるような報道はマスコミはそろって避けているのです。
経済産業省はいまだに核燃料サイクルの実現を至上の命題とした政策を遂行しようとしてあらゆる手だてを尽くし、挙げ句の果てには原子力発電の邪魔 になるような自然エネルギーを徹底的に妨害し続けてきました。(つまり太陽光発電や風力発電が増えれば、原子力発電はいらないではないかという声があがる のを恐れているのです)
与党の政治家は電力会社と経済産業省に鼻薬をかがされ、野党の政治家は電力会社の労働組合から様々な支援を受けているためにモノが言えません。
電力会社にいたっては、もっとひどい理由です。日本の原子力発電所は、それぞれの発電所の中にプールを作り、ウランを燃やした時に出る使用済み核 燃料を貯蔵しています。しかし東京電力の福島第二原子力発電所では、あと一、二年でこのプールが一杯になってしまいます。貯蔵プールが一杯になれば、それ 以上ウランを燃やすことができませんから必然的に発電所を止めなければならなくなります。福島の次は中部電力の浜岡発電所、九州電力の玄海発電所、そして 北海道電力の泊発電所と次々にこの数年間で使用済み燃料の貯蔵プールが一杯になるために発電所が止まってしまうという事態に直面しつつあります。
そこで、電力会社は六ヶ所村の再処理工場の近くに使用済み核燃料の貯蔵プールを作り、もし福島第二のプールが一杯になれば、六ヶ所村のプールに移 動しようとしているのです。 ですから電力会社にとって、再処理工場本体が動くかどうかは問題ではありません。再処理工場に付属した貯蔵プールが使えれば 良いし、使えなければ後一、二年で原発停止という事態になってしまうのです。
電力会社の中にもそれはおかしいと思っている人がいます。経済産業省の若い課長クラスにも核燃料サイクルは止めるべきだと思っている人がいます。 自民党の中にも河野太郎のように声を上げている人間はいますし、他の党にも同調する声がないわけではありません。マスコミの中にも再処理工場にまつわる取 材を綿密にやる記者もいます(ただ、異動させられました)。
でも、自民党でも野党でも、経済産業省でも電力会社でもマスコミでも真ん中に座っている人間たちは目と耳をふさいでじっとしているだけです。そして国民負担が十兆円を超えます。これって、国家規模の陰謀以外の何物でもないと思いませんか。
(ごまめの歯ぎしり第二十三号)
河野太郎公式サイト
再処理工場の稼働に反対する2
http://www.taro.org/policy/saishori2.php
★全文転載
六ヶ所村の再処理工場の稼働に反対する
六ヶ所村に使用済み核燃料の再処理工場が造られ、この工場の稼働が迫っている。
問題は、この工場の稼働が本当に必要なのかという議論が極めていい加減に行われてきたことだ。
単純に言うと、この工場の稼働を稼働させることなく凍結すれば国民負担は4兆円で済むところを、ひとたび工場を稼働させると(つまり核で工場が汚染されることになると)国民負担は十数兆円にふくれあがる。
ここでそういう計画だからと議論無しに稼働を強行すれば、年金とグリーンピアのようなことになる(つまり負担が顕在化した時に、なんであのときにそんな馬鹿なことを止めなかったのか、と)。
再処理工場とは、ウランを原発で燃やした時に出てくる使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す工場だ。
本来、プルトニウムを取り出して高速増殖炉で燃やす予定だったのが、95年のもんじゅの事故で高速増殖炉の実現が極めて難しくなり、プルトニウムを燃やすことができなくなった。
通産省はあわてて高速増殖炉に代わり、プルサーマルという敗戦処理技術(あまりメリットがない)を位置づけたが、これも計画通り進まない。
ところが再処理だけはヨーロッパに委託したり、東海村で始めたりと先行してしまった。その結果、六ヶ所村の新工場を稼働させる前でもプルトニウム がどんどん貯まり、いまや国内に38トンもある。IAEAの査察費用のかなりの部分が日本のプルトニウムのために使われている。日本国内にあるはずのプル トニウム量と実際の量の誤差(MUFという)が200kgもある。
プルトニウムは、ウランの何万倍もの発ガン性を持つ極めて危険な物質であり、わずか5kgで核爆弾ができてしまうため警備が大変で、さらにコストも非常に高いというデメリットがある。
六ヶ所村の再処理工場を稼働させると、さらにこのプルトニウムが貯まっていく。
六ヶ所村の工場本体は当初計画で8000億円のはずだったのが、建ててみたら三兆円もかかった。
しかもステンレスの溶接という確立された技術を使ったところにひび割れが発生するという問題が起きている。
六ヶ所村の工場ではジルコニウムとステンレスの配管を異材継ぎ手という新しい技術でつないでいるところが何万カ所だか何十万カ所だかある。動燃の東海村の再処理工場も当初の稼働率は無茶苦茶低かったことを考えると、六ヶ所村の工場の稼働がスムーズにいくとは思えない。
再処理した時の総費用は11兆円と言われているが、これも発表の半年前には16兆円と言われていた。
11兆円という数字は、通産省がでっちあげた原発の発電コストである5.9円よりも高すぎず(高すぎれば再処理を止めろと言われる)、ある程度高く(ある程度費用がかかることにしないと電力会社に国が補助を出せない)という観点から創られた数字なのだ。
だから、国民負担がいくらになるかやってみなければわからないというのが現実なのだ。
2005年といわれる再処理工場の稼働開始を凍結し、再処理が本当に必要なのか、コストがいくらかかるのか、ということを検証し、きちんと合理的に議論してから結論を出すべきだというのが我々の主張だ。
原子力発電が、夏場の一時期の需要期を除き必要不可欠でもないということは、去年の原発の全面運転停止でも立証された。
本来ならば、水素ベースのエネルギー路線に転換するための研究開発や自然エネルギーで本当にどこまでやれるのかという政策転換が必要なのだが、そ れを担当する経済産業省は、自然エネルギーを殺している。自然エネルギーが着実に増加すると、原子力はいらないではないかという議論になっていくことをお それている。
電力会社に対して自然エネルギーによる発電を求めたRPSという制度でも異様に低い数値設定をして、しかもその設定が前半は極端に低く、2010年以降 は現在、設定がないという新規事業者の参入を阻止するための設定になっている。このため、風力発電に関しては、日本には未来がないような状況だ(風 力発電事業者は2010年以降の需要を示せないために、そこから先の資金手当をすることができない)。
太陽光発電に関しても、ドイツが80円相当で買い入れるという法改正をして、先頭を走る日本に追いつこうとしているのに対し、日本はまったく逆を行っている。日本の太陽光発電のためのパネルメーカーも日本市場を相手にせず、ヨーロッパ、特にドイツを狙っている。
競争力のない産業を整理し、新たな産業を興すということが国策になりつつあるこの時代に経済産業という名前を持つ役所が、新規産業の有望な種を省益のために平気で殺している。
政治は何をやっているのかと言えば、自民党の電力族と経済産業省べったりの政治屋どもは民主党の電力総連の息がかかった議員どもと一緒に、電力の自由化が叫ばれているこの時代に、原子力発電は国策と位置づけようと必死になっている。
なぜ原子力を国策と位置づけたいかといえば、国策ならば国が金を出しても当然という議論ができるからだ。
つまり電力会社は原子力発電を維持しきれなくなっている。原発でウランを燃やした時に出てくる使用済み核燃料の処理ができなくなっているのだ。
電力会社の経営にとって、原発のバックエンドをどうするかは極めて大きな経営判断になる。電力会社は自分の会社が負担するよりは、血税で尻ぬぐいをしてもらいたい。
経済産業省は自分たちの政策ミスを表には出したくないし、天下りやらなんやらのおいしい蜜である原子力を維持したい(まさに厚生省の年金と同じだ)。
政治家は原発によって地元に落ちる補助金を維持したい。労組は原発による雇用を維持したい。
ババを引くのは一般納税者、高い電力を買わされる消費者、そして地球環境ということになる。
自民党の中でエネルギー問題の責任者を務めたこともある亀井善之農水大臣も、自らの著作の中で原子力はもはや国策ではない、見直しが不可欠だと訴えている。
にもかかわらず、与野党の中に暴走する議員がいる。
グリーンピアの悲劇を目の当たりにして憤慨している納税者よ、今、原子力政策の見直しを求めて立ち上がれ。
年金問題で特集を組んでいるマスコミよ、原発の問題の特集を組め。今、動けば十兆円以上の国民負担をストップできる。
電力会社、特に東京電力は、自らの都合で六ヶ所村の再処理工場を稼働させたがっている。
原子力発電所は、運転すればかならず燃やしたウランが使用済み核燃料となって出てくる。日本の原発が抱えている直近の課題は、この使用済み核燃料を貯蔵するスペースが無くなりつつあるということだ。
とくに東電の福島第二では、この使用済み核燃料の貯蔵スペースが後二年分程度しかない。日本の原発トータルで見ても、今のままならばあと七、八年で貯蔵スペースがなくなる。
そこで、2010年をめどに、青森のむつに、中間集中貯蔵施設を造ることになっている。ところが、これはあくまでも中間貯蔵であって最終的な処分 では無いということになっている。そのために、六ヶ所村の再処理工場を稼働させることにより、中間貯蔵しているものも再処理してよそへ持っていきますとい うことで、むつの施設を認めてもらっている。だから電力会社は、六ヶ所村の再処理工場を稼働させないと原発の稼働が止まってしまうので、あせっている。
しかし、再処理工場などにかかるコストを誰が負担するのかということが明確に合意されない限り、この費用は電力会社の経営の命取りになりかねない。
原子力発電所はいいことだけではない。使用済み核燃料という核のゴミがどんどん出てきているのだ。
これを処理する方法は二つある。ひとつは、ウランを燃やした時に出てくる使用済み核燃料、つまり今、原発からでている核のゴミをそのまま処分する方法。
もう一つは、再処理をしてプルトニウムを取り出す方法。再処理をしてプルトニウムを取り出すと、使用済み核燃料は高レベル放射性廃棄物と呼ばれる タチの悪いゴミに代わる。再処理をするとTRU(トランスウラニウム)と呼ばれるコバルトやストロンチウムよりも毒性が強くしかも半減期が何万年、何十万 年と非常に長い物質が出てくるのだ。
再処理を推進しようとする経産省などは、再処理をすると処分しなければならない量が減るから(1トンの使用済み核燃料を再処理すると0.7トンの 高レベル放射性廃棄物になる)、処分しやすいと主張する。これは大きな間違いだと思う。なぜならば処分すべき核のゴミは三割減るかもしれないが、TRUを 作り出してしまえばTRUそのものの量の何倍もの体積のTRUに汚染された廃棄物が生まれる。処分の難しさは重さではなく体積で決まる。だから重さは三割 減っても、処分すべき体積は何倍にもふくれあがる。
経産省の見積もりではTRUの処理に8100億円かかる。この見積もりは甘いと僕は思う。再処理工場本体の見積もりが三倍以上にふくれあがったように、このTRUの処理コストも何倍にもなると僕は考えている。
そして、この高レベル放射性廃棄物の最終処理場所は決まっていない。(六ヶ所村でたしか40年間の中間貯蔵をすることになっているが、その後どう するかは未定である。経産省はその後、数百年間にわたり、地層処分、つまり地中深く穴を掘って埋めると主張している。問題はどこに、ということだ。)
いずれにせよ、今のずさんな見積もりと国民に対する説明責任もあいまいなまま、再処理工場を稼働させ、再処理をして燃やし方も決まらない大量のプ ルトニウムを取り出して、高レベル放射性廃棄物を最終処分するか、再処理を当面凍結し、使用済み核燃料の中間貯蔵期間を伸ばす方策を考え、その間に再処理 が必要なのかどうかを検討し、コストを精査して、国民的な議論をきっちりとやるかの分かれ道に立っている。
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BRAVE NEWS ポール・クルーグマンの「高所得者増税」論文を全文公開「金持ちには応分の負担を、そして労働者には適切な賃金を」
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2013年01月23日(水)
BRAVE NEWS
ポール・クルーグマンの「高所得者増税」論文を全文公開「金持ちには応分の負担を、そして労働者には適切な賃金を」
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▼全文転載
(1)
繁栄には最高所得層の税率を下げることは必要なのか?
懐かしいクリーム入り小型ケーキ「トウィンキー」が売りだされたのは1930年代のことだ。時代の象徴のようなこのスナック菓子の製造元である老 舗製菓会社ホステス社の名前は、子供向けTV番組「ハウディ・ドゥーディ・ショウ」のスポンサーとしてトウィンキーを人気商品にした1950年代と結びつ いて、これからもずっと記憶されてゆくだろう。そして11月21日、ホステス社が経営破綻したことは、団塊の世代にとって、今より一見イノセントに見える 時代への強い郷愁をかき立てている。
言うまでもなく、実際にはあの時代はイノセントな時代とは言いがたいのだが、トウィンキーが象徴する1950年代は、21世紀にも通ずる教訓を与 えている。とりわけ第二次大戦後のアメリカ経済の成功は、今日の保守本流の考えとは裏腹に、繁栄は労働者をいじめたり、金持ちを甘やかしたりすることなく 実現可能だということを立証している。
富裕層への税率の問題を考えてみよう。現代アメリカの右派と大多数のいわゆる中道派は、『経済成長には最高所得層の税率を低くすることが必須』という考えに取りつかれている。
財政赤字の削減計画策定の共同責任者だったアースキン・ボウルズ(クリントン政権の首席補佐官)とアラン・シンプソン(元上院議員・共和党)の2人が、結局『指針』として『低税率』を掲げることに終わったことを思い出してほしい。
質素だった1955年の経営者たちの生活
しかし1950年代には、最高所得層に適用される税率区分の最低税率はなんと91%だったのだ。一方、企業利益への税率は、国民所得比で見ると、 近年の2倍だった。そして1960年頃、アメリカ人の上位0.01%は、現在の2倍に当たる70%以上の実効連邦税率を支払っていたと推定される。
当時、富裕なビジネスマンが担わなければならない重荷は、高い税金だけではなかった。彼らは、今日では想像しがたいほどの交渉力を持つ労働者にも向き合わなければならなかったのだ。
(2)
1955年、アメリカの労働者の3分の1が組合員で、巨大企業での労使交渉は双方対等であった。企業は単に株主に奉仕するのではなく、一連の『ステークホルダーズ(利害関係者)』に奉仕するもの、という考えが一般的ですらあった。
高い税金と、強権を与えられた労働者に挟まれて、当時の経営者は、前後世代の経営者の水準からみると比較的貧しかった。
1955年にフォーチュン誌は、「重役たちの暮らしぶり」という記事を掲載し、その中で昔に比べて彼らの生活がいかに質素になったかを強調してい る。広大な邸宅、大勢の使用人、巨大なヨットという1920年代の光景は姿を消し、典型的な重役はこじんまりした郊外の家に住み、手伝いはパート、持ち 船、といってもかなり小さなレジャー用ボートを走らせるだけ、という具合だ。
「社会主義」というレッテル張りの愚かしさ
フォーチュン誌の印象をデータが裏付けている。1920年から1950年にかけてアメリカの上位の富裕層の所得は、単に中間層との比較だけでなく、絶対所得額においても大きくと下落した。
2人のエコノミスト、トマ・ピケティ(パリ経済学校教授)とエマニュエル・サエズ(カリフォルニア大バークレー校教授)の概算によると、1955年における上位0.01%のアメリカ人の所得は、1920年代の半分に満たず、国民総所得に占める割合は4分の3も下落した。
今日、大邸宅や大勢の使用人、ヨットは、先例を見ない規模で復活している。そして富豪たちのライフスタイルを妨害しそうに見える政策は、ことごとく『社会主義』という轟々の非難に遭遇するハメになる。
実際、今回の大統領選でのロムニー候補の選挙運動は、バラク・オバマ大統領による高所得層へのわずかな増税と、数人の銀行家たちの不正な行状への 言及が、経済の勢いを削いでいるという前提に基づくものであった。もしそうなら、富豪たちにとってはるかに厳しい環境だった1950年代は、間違いなく経 済的危機にあった、ということになるのではないか。
経営者が抑圧された時代にも経済成長は達成できた
当時、そう考える人々もいた。ポール・ライアン(共和党前副大統領候補)や多くの現代の保守派は、アイン・ランドの信奉者である。彼女が1957 年に出版した小説「肩をすくめるアトラス」の中で描写した寄生虫的人間がはびこる崩壊状態の国家とは、基本的にはアイゼンハワー大統領時代のアメリカであ る。
しかし不思議なことに、フォーチュン誌が1955年に描いた抑圧された企業幹部たちは、不正義に異議を唱えたり、国家への貢献を惜しんだりすることはなかった。フォーチュン誌の記事を信じるなら、彼らはむしろそれまで以上に一生懸命働いた。
(3)
第二次大戦後の重税と強い組合の数十年で特記されるのは、広範に分配された目覚しい経済成長に他ならない。1947年から1973年にかけての中間層の家計所得の倍増は、まさに空前絶後の快挙である。
どちらに郷愁を感じるか。
経済的な正義と成長の両立は不可能ではない
率直に言おう。今も政治の世界には、少数派や女性が自らの立場をわきまえ、ゲイは固くクロゼットに立てこもり、議員が「あなたは現在あるいは過去 において共産党員であったことはありますか?」(編集部注:マッカーシズムの赤狩り査問における公式質問)と質問していた時代の再来を望む人々がいる。し かしその他の人々は、そんな時代が去ったことを大いに喜んでいる。
モラル面で、アメリカは以前より大いに進歩している。ついでに付け加えれば、食べ物だって当時より格段にましになっている。
しかし、ここに至る途中で、われわれは大事なことを忘れてしまった。それは、経済的な正義と経済の成長の両立は不可能ではないということだ。
1950年代のアメリカは、金持ちに応分の負担をさせ、労働者には適切な賃金と手当を手に入れる力を与えた。しかし今と当時の右翼のプロパガンダに反し国は繁栄した。そして今、われわれはまた同じ事ができるのである。
『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン Vol.007』
2012年12月7日配信号より
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アフガニスタンに続く"泥沼"に足を踏み入れたオランド大統領の悪夢<川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」
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川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」
2013年01月25日(金) 川口マーン惠美
アフガニスタンに続く"泥沼"に足を踏み入れたオランド大統領の悪夢
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(1)
写真 〔PHOTO〕gettyimages
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フランスのオランド大統領は、取り返しのつかないことを始めてしまったのではないか。
マリ共和国がドイツのニュースに登場したのは去年の4月、イスラムの過激派が国土の北半分を制覇したというニュースだ。彼らはみるみるうちに勢力範囲を広げ、まもなくマリの北部は過激派グループに分割され、イスラム法に基づく実効支配が始まった。
最近になり、この勢力が中部の主要都市コンナを占拠し、首都のバマコに迫った。マリ政府には過激派に対抗する力などない。そこで、フランスに援助 を要請、急遽フランスが軍事支援に駆け付けることになったというのが、公式の発表だ。ただ1月11日、派兵を発表するオランド大統領を見ながら、私は違和 感を禁じ得なかった。
「作戦はそれが必要な間だけ続く」
オランド首相の人気はここ数ヵ月ガタガタに落ちている。選挙公約は実行に移せないし、失業者は増え、国の経済は快方に向かわないどころか、ますます悪くなっている。実力不足が露呈し、こともあろうに、いわゆる"強い大統領"であったサルコジ前大統領と比較される始末だ。
内政に問題があるとき、国民の目を外に逸らそうとするのは政治家の常套手段だが、マリ派兵もそれなのか? 電撃戦で勝利をものにし、人気回復を図る? あるいは、ようやく自分が強い大統領であるということを演出できるチャンス?
派兵を発表した会見で、「友邦国マリの国軍を支援することが目的。作戦はそれが必要な間だけ続く」と、オランド氏はこれ以上張れないほどに胸を 張っていた。しかし、その態度が決然とし、表情が真剣であればあるほど、なぜか不自然に見える。板についていない。いずれにしても、オランド大統領はこう して自国だけで戦争を始めた。そして確かに国民も、それを支持しているようにみえた。
(2)
その日の午後、攻撃は開始された。まもなく主要都市コンナ解放のニュースが流れた。パイロットが1名戦死。12日も空爆が続き、13日にはさらに4機の戦闘機が前送された。
翌14日、フランス政府は「戦闘は間もなく終わるだろう」と発表した。しかしこの日に、イギリスとドイツは、フランスに対する兵站援助を表明したのである。ただし派兵はしないと、両国は断言した。
さらに翌15日、フランスは、兵隊を3倍以上の2500人に増強することを発表した。この日、オランド大統領はアブダビを訪問していたが、フラン ス軍の最高司令官として、そこから指揮を続けた。「テロリストたちを見つけたらどうすべきか? 殺すか? それともできれば生け捕りに? いずれにして も、我々の未来が二度と脅かされないようにしなければいけない」と意気込みながら、またしても強い大統領を演じていた。
同じころ、パリでは戦死したパイロットの葬儀が、粛々と行われていた。国民は、イスラム過激派との戦いはそれほど簡単にいかないのではないかと気づき始めていた。作戦が長引けば、NATOの同盟国も次第に戦闘に引き入れられていく。
16日、戦闘は地上戦へと拡大した。ドイツの輸送機トランスアルが2機、マリへ向かった。オランド大統領は国民に向かって、「この作戦は我々の義 務である。決して私たちの権益を守るためではない」と主張した。そして、午後、アルジェリアでの人質事件が起きたのだ。テロリストたちは、フランスに即刻 マリから手を引くよう要求していた。
テロがヨーロッパ大陸まで拡張する可能性も
サハラ砂漠には、トゥアレグ族が住んでいる。色が浅黒く、頭も顔も布で巻き、長い衣装を着て、ラクダを連れている。まさに砂漠の遊牧民だ。実際、 中世にはサハラ交易を支え、しかも好戦的民族として恐れられたという。今も布の間から覗いている目は鋭く、体全体から勇猛さがオーラのように染み出てい る。女性の顔も勇猛だが、イスラムにしては不思議と、頭の被り物がない人が多い。
トゥアレグとは、「神から見捨てられた人々」という意味だという。この種族は、イスラム教徒ではあるが、他のアラブ人ほどその戒律を厳しく守らず、宣教活動もしない。それを定住型のアラブ人から軽蔑され、この不名誉な呼び方が定着したらしい。
トゥアレグ族の数は100万から350万の間といわれる。あまりにもいい加減な数字だが、ラクダと一緒に国境を超えて動き回っているので、詳しい ことは何もわからない。そのトゥアレグ族の一部が過激化し、武装集団アザワド解放民族運動となり、そこにAQIM(イスラーム・マグリブ諸国のアル=カー イダ機構)とか、アンサール・アッディーンなどという、サラフィスト(イスラム原理主義者)たちのグループが三つ巴、四つ巴になり、広大な砂漠に群雄割拠 している。
(3)
活動範囲はモーリタニア、マリ、アルジェリア、ニジェール、リビア、モロッコと、西ヨーロッパがすっぽり収まるほど広い。だいたい国境自体が、 ヨーロッパの列強がアフリカを分割した時に地図の上に線を引いて決めただけだから、川があるわけでも山があるわけでもない。ほとんどは砂だけだ。私たちが 考える国家という概念は、おそらくそこに住む彼らにはないだろう。
要するに、今ではテロリストたちは、悠久の砂漠を自分たちのテリトリーとして、自由に動き回っている。マリとアルジェリアの国境は1000キロ、マリとモーリタニアの国境も2000キロ近い。
イスラム過激派の軍資金は、欧米人の誘拐で得る身代金と、麻薬の密輸だ。アラブの春の後は、武器の売買でさらに豊かになった。多くのトゥアレグ族 や、他のイスラム過激派が、リビアの内戦で反カダフィ側に付いて戦い、襲撃した政府の武器庫から武器弾薬をどんどん砂漠の自分たちの基地に運んだ。当時、 西側諸国はこの過激派イスラムを、民主派として支援していたのだ。
いずれにしても、現在オランド大統領が敵に回しているのは、資金を潤沢に蓄え、一級の武器を持った、戦闘能力のある砂漠のテロリストたちなのである。
このテロリスト集団を束ねている頭目は、モフタール・ベルモフタールといって、今年41歳のアルジェリア人だ。アフガニスタンで片目を失った。もちろんサラフィストだが、資金集めの天才で、お金のためなら、どんな残酷な誘拐も厭わないことで有名だ。
その彼が、フランスのマリ派兵後、西洋人はすべて敵とみなすと宣言した。そして、アルジェリアで、それが現実となったのだ。マリに派兵の5日後にして、何千キロも離れた場所でガス施設を乗っ取ったという事実は、彼らの連携力と、神出鬼没の機動力を証明している。
この事件は、フランスが、躊躇するアルジェリア政府を説得して、フランス戦闘機のアルジェリア上空の飛行許可を取り付けた途端に起こった。つまり ガス施設のテロは、フランスに協力したアルジェリアに対する報復だ。この調子でいけば、今後、フランスの作戦に協力した国は、皆、テロリストに狙われると いうことになる。しかも、テロ活動はアフリカ大陸だけに限られず、ヨーロッパ大陸にまで拡張する可能性もある。オランド大統領は、悪夢を見ているような気 分に違いない。
イスラムの過激派はそう簡単には諦めない
フランス兵の数は今後さらに増員されるという。オランド大統領は、「この地域に治安が戻るまで我々は引き揚げない」と言うが、そう簡単にここに治 安が戻るとは思えない。イスラムの過激派は一度敗れても、必ずまた出てくる。フランスは、アフガニスタンから撤退することさえままならないのに、またもや 次の泥沼に足を突っ込んでしまったのではないか。アフガニスタンとの違いは、ここが峻険な山岳地帯ではなく砂漠だということだが、イスラム勢力にしてみれ ば、どちらも慣れ親しんだ土地である。
(4)
マリは豊富な地下資源を持つ。南アフリカ、ガーナに次いで、世界で3番目の金の生産国であり、最新の金の精錬所がようやく去年始動したばかり。金鉱は国の南部にあるので、まだかろうじてマリ政府の勢力下だ。
また、ウラン、ボーキサイト、銅も豊富で、中でもボーキサイトは、世界一の埋蔵量だという。しかし、これだけの地下資源を持ち、生産が年々伸びて いるというのに、マリは貧乏国のままだ。利益はヨーロッパに吸い上げられている。オランド大統領が、派兵は「我が国の利益のためではなく、友好国マリのた めだ」と強調しているが、ここでは未だに植民地のメカニズムが働いているのではないか。
フランスは自国の核産業のためのウランの3分の1を、マリの隣国ニジェールからの安いウランで賄っている。マリがイスラム勢力の手に落ちると、ニ ジェールも危なくなる。つまり、それらの利権の保護のために、マリをイスラム勢力の手に渡すわけにはいかないのだという話もある。ニジェールもマリと同じ く、フランスの旧植民地である。かつて多くの黒人が奴隷船に積まれてアメリカ大陸に渡ったのも、この近くのシエラレオネやセネガルの港からだった。
視点を変えれば、砂漠の民は、自分たちの土地を取り返し、そこを自分たちの価値観で仕切り直そうとしているだけのようにも見える。テロという方法 はもちろんよくないが、「他にどんな方法が残されているか!」ときっと彼らは言うだろう。そして現実として、罪のない人々がそのテロの犠牲になる。
いずれにしても、イスラムの過激派はそう簡単には諦めない。彼らは死を恐れていないだけに強い。世界を恐怖に陥れるポテンシャルを持っている。私たちの悪夢は、今、始まったばかりだ。
末筆ながら、アルジェリアでの犠牲者の御安眠を心からお祈り申し上げる。
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いよいよどんづまりに来た
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(5)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35171?page=5
▼一部転載
★(2)以下は、URL からお読みください。
復活が囁かれたのも、ほんの束の間。韓国企業とのサプライズ提携が、賛否両論を呼んでいる。経営不安説も再燃してきた。アベノミクスに沸く市場から、ポツンと取り残された大企業の行く末とは。
とにかく液晶が売れない
「今回、サムスンがシャープに出資したのは、シャープが持つ 『IGZO』という最新液晶技術が欲しいという思惑があるのでしょう。出資額は100億円程度ですが、これからさらに第2弾、第3弾の出資をしてくる可能 性もあります。シャープがサムスンに呑み込まれる可能性はあるか。私は『ある』と思っています」(BNPパリバ証券投資調査本部長の中空麻奈氏)
ついに日本の大手電機メーカーが、韓国勢の軍門に降るのか—。
今月6日、衝撃的なニュースが列島を駆け巡った。昨年来、経営不振にあえいでいたシャープが、韓国・サムスンと資本提携を締結すると発表されたのだ。
今回の提携の内容は以下のようなものだった。
●サムスン電子ジャパン(サムスン電子の日本法人)がシャープに約104億円を出資する。これでサムスンはシャープの第5位の大株主になる。
●シャープはサムスンに液晶パネルを長期的かつ安定的に供給する。これまでもシャープはテレビ用パネルを供給していたが、さらにこれを拡大したうえ、ノートパソコン用などのパネルも供給する。
●今回の提携によって、悪化を続けていたシャープの財務体質は改善。さらに、大口のパネル売り先を確保したことで工場の稼働率が上がり、業績悪化に歯止めがかかる見込みである。
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