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【水俣病認定】基準の見直しが必要だ(社説)
2013年04月18日07時49分
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▼全文転載
水俣病を国が公式確認して57年。長い時が過ぎており、この司法判断を患者の救済に何としてもつなげたい。
水俣病未認定の女性患者の遺族が、熊本県に認定を求めた訴訟の上告審で、最高裁は患者を水俣病と認める初めての判断を示した。
注目されたのは、1977年に国が示した認定基準(77年基準)の妥当性だ。認定には、手足の感覚障害や視野が狭くなるなど複数の症状が必要とされ、患者らから条件が「厳しすぎる」との批判が以前からあった。
女性患者も感覚障害だけだったが、最高裁は「感覚障害だけの患者がいないという科学的実証はない」「複数の症状の組み合わせがない患者も認定される余地がある」として認定した。
今までに3万人を超す患者が認定申請したものの、77年基準がネックとなり認められたのは1割にも満たない。
今回、最高裁は77年基準そのものは否定しなかった。ただ、基準通りではない患者も幅広く認定する道筋を示したといえる。
この司法判断を受けて国はどうするのだろう。最高裁は同時に、裁判所が患者の状況を総合的に検討し、独自に認定できるとの初判断も示した。
一つの症状でこれまで基準外とされてきた患者が、認定を求めて訴えるケースが増える可能性がある。しかも患者の多くは高齢者だろう。
こうした状況を考えれば、国は認定基準の見直しを急ぐべきだ。認定されれば原因企業から補償金が支払われる仕組みだが、患者それぞれで症状も違う。症状に応じた補償の仕組みも早急に検討する必要がある。
国はこれまで認定基準の見直しを求められながら、未認定者に一時金を支払うなど場当たり的な救済策に終始してきた。
昨年7月末を期限とした特措法による救済では、国の想定を大幅に上回る約6万5千人が申請した。この数は、何らかの水俣病の症状に苦しむ患者がまだ多くいることを示している。
最高裁の判決後、遺族は「いくら申請しても認められず、泣いた人がたくさんいた」と振り返った。認定されずに亡くなった患者も多く、その無念さを代弁した言葉だろう。
国は被害者団体が求め続けてきた実態調査もいまだに実施していない。認定基準の見直しを含め、国がやるべき課題はまだまだ多い。
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