「北の山・じろう」時事問題などの日記

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記者の目:安倍政権の原発政策=阿部周一(東京科学環境部)<毎日新聞>

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毎日新聞
ホーム>http://mainichi.jp/
記者の目:安倍政権原発政策=阿部周一(東京科学環境部)
毎日新聞 2013年02月22日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/news/20130222ddm004070005000c.html
▼全文転載

(1)

 ◇再処理ネック、袋小路必至

 年明け、科学欄に小さなコラムを書いた。「2030年代の原発ゼロ」を掲げた野田前政権のエネルギー・ 環境戦略が、国内版と海外版で微妙に違うという内容だ。「英語版に目を通すと『even enable zero』とある。翻訳すれば『原発ゼロさえ可能 とする』。注目は、日本語版にない『even(〜さえ)』が挿入されている点だ。微妙な差だが、『ゼロを可能とする』と言い切るのとは印象が違う」

 ◇「even」挿入、米核政策に配慮

 読者から「真相を知りたい」と反響をもらい、戦略作りに携わった関係者に経緯を聞くと、この一語は米国 に配慮して「ゼロ」のインパクトを弱める工夫だった。今さら前政権の二枚舌を批判しても仕方ないが、安倍政権も同じジレンマに直面する。なぜなら、原発の 使用済み核燃料の再処理という大きな課題が袋小路に陥っているからだ。

 野田政権のジレンマはこう説明できる。もし目標通り原発がゼロになれば燃料は不要になる。ところが日本 は使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを大量に保有しており、使い道は燃料以外ない。核不拡散に関心を払う米国は、核兵器に転用可能なプル トニウムを持ち続ける日本の「原発ゼロ」戦略に神経質になっていた。

 昨年3月、核安全保障サミット出席のため訪韓したオバマ米大統領は「我々がテロリストに渡らぬよう試み ているプルトニウムをため続けることは絶対してはならない」と演説した。日本へのメッセージとも取れた。国民受けのいい「原発ゼロ」と、米国が安心する 「余剰プルトニウムゼロ」。矛盾を両立させるため、日本は「even」を挿入せざるを得なかったのだ。

 さて、安倍政権原発政策は「できる限り依存度を低減する」(1月30日、首相国会答弁)と原発の新増設にも含みを持たせ、再処理事業は継続する方針だ。一見、ジレンマは解消に向かうように見える。だが現実は甘くない。

 一つは再処理の行方だ。日本の核分裂性プルトニウム保有量は国内外に約30トン。長崎型原爆数千発分に相当する。青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場が完成し本格稼働すれば、プルトニウムは年約5トンずつ増えていく。
(2)

 こうして生まれたプルトニウムの使い道として、電気事業連合会は国内16〜18基の原発で燃料として使 う計画(プルサーマル)でいた。だがその中には、事故で廃炉が決まった東京電力福島第1原発3号機や、活断層の存在が指摘される日本原電敦賀原発2号機な どが含まれ、30年までに運転40年を超える原発も他に7基ある。今後の再稼働が見通せない今となっては「絵に描いた餅」に過ぎない。

 もう一つは国際世論。先月、静岡市で開かれた国連軍縮会議では、専門家から「プルトニウムはテロの標的 になる。再処理工場の稼働は賢明でない」と指摘された。米民間団体「核脅威イニシアチブ」が昨年公表した調査では、日本はプルトニウムの大量保有が響き、 核物質管理の安全度が兵器に転用可能な核物質を持つ32カ国中23位。プルトニウムを余らせない前提で日本に再処理を認めた日米原子力協定の改定期限も 18年に迫る。袋小路の日本に「プルトニウムをどうするつもりか、米国から突き付けられるのは間違いない」(政府関係者)。

 ◇使用済み核燃料、保管場所も限界

 日本が取りうる選択肢は三つだ。(1)プルサーマルを大幅に増やす(2)再処理量を減らす(3)再処理 をやめる−−。(1)は前述の通り実現が難しそうだ。となれば(2)か(3)だが、再処理に回るはずの使用済み核燃料が行き場を失い、既に満杯に近い全国 の保管場所からあふれる。満杯になれば、それ以上原発は動かせない。

 ではどうするか。私は(3)の立場だ。既にあるプルトニウムはプルサーマルで使い、それ以上の再処理はやめる。あふれる使用済み核燃料はとりあえず金属容器に保管し、将来は地中に埋められるよう法改正を急ぐべきだ。

 もちろん、「再処理ありき」で動いてきた電気事業者は反対する。再処理工場を受け入れてきた青森県は保管中の使用済み核燃料を電力各社に送り返すかもしれない。埋設場所選びも難航は必至だ。

 不思議なのは、ここまで進退窮まった状態を政治家たちが知らぬ顔でいることだ。先の衆院選での論争や今国会の審議を聞いていても、この問題はほとんど取り上げられない。目を背けているうちに、誰かが何とかしてくれるとでも思っているのだろうか。

 再処理工場は早ければ今年10月に完成する。再処理を進めるもやめるも国民の合意がないと困難だ。袋小路から抜け出る知恵を社会全体で模索する時期が、もう来ている。

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