「北の山・じろう」時事問題などの日記

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福島第1原発事故−発生から1年半(下)/避難16万人、進まぬ帰還<河北新報

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特集
福島第1原発事故−発生から1年半(下)/避難16万人、進まぬ帰還
2012年09月13日木曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1090/20120913_07.htm
▼全文引用


帰還困難区域に指定された福島県飯舘村長泥地区に設置されたバリケードの扉を閉める職員=7月17日午前0時ごろ
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2012/20120913019jd.jpg
図URL
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2012/20120913016jd.jpg
http://www.kahoku.co.jp/img/news/201209/20120913-t021.jpg

◎協議難航、長期化必至/避難区域の再編、損害賠償…

 福島第1原発事故で福島県の11市町村が避難区域に指定され、16万1035人(8月2日現在)が県内外で避難生活を続けている。内訳は県内10万 157人、県外6万878人で県外避難先は46都道府県に及ぶ(表1)。県内に自主的に避難した人の数が分からず、正確な避難者総数は行政も把握していな い。

<独自の救済も>
 避難区域の11市町村の中で役場機能もほかの自治体に移したのは8町村。浪江町は二本松市双葉町は埼玉県加須市、大熊町は会津若松市、富岡町と川内村 は郡山市楢葉町いわき市飯舘村福島市、葛尾村が三春町に移転した。川内村は4月に役場を元の庁舎に戻している。避難区域外の広野町も一時いわき市 に設けた。
 避難者への賠償は東京電力が7月までに基準を示した(表2)。精神的苦痛に対する慰謝料は避難区域の住民が1人600万〜120万円、避難区域以外は妊婦、18歳以下の子どもが40万〜20万円、それ以外の人が8万円。
 会津地方の17市町村の住民らは支払い対象から外され、福島県は不公平感の解消を目的に、同地方の妊婦、18歳以下の子どもに20万円、それ以外の人に4万円を支払うなどの独自制度を設けて救済した。
 避難区域の住民は不動産、家財の損害も賠償される。地域によって不動産は価値の全額から3分の1まで、家財は4人家族(大人2人、子ども2人)で675万〜505万円が支払われる。
 政府は復興と住民帰還を促そうと、避難区域の再編を進めている(地図)。
 これまでの警戒区域、計画的避難区域を見直し、放射線量に応じて5年以上戻れない「帰還困難区域」(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)、一時帰宅で きる「居住制限区域」(20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)、早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」(20ミリシーベルト以下)に再編す る。
 避難区域の市町村は「賠償問題が解決されていない」として区域再編に消極的だったが、賠償問題の解決にめどが立ち、再編協議が加速した。
 4〜8月に南相馬市小高区と飯舘村が帰還困難、居住制限、解除準備の3区域、川内村が居住制限、解除準備の2区域、田村市楢葉町が解除準備区域に再指定された。居住制限、解除準備の2区域は立ち入りが自由になり、事業再開も可能になった。

<公平性担保は>
 しかし、生活インフラの復旧、除染が進まず、住民の帰還は進んでいない。川内村は区域再編を見越し、1月に「帰村宣言」を出して村民に帰還を促したが、帰還率は13.6%(9月11日現在)にとどまっている。
 既に再編の決まった市町村のほか、大熊町と葛尾村は再編に向けた住民説明会を開き、浪江町と川俣町も年内の再編を目指している。
 双葉町は全域の帰還困難区域指定を求め、協議は本格化していない。富岡町は町全域の一律賠償を前提に再編の受け入れを表明したが、政府が難色を示し、協議が難航している。
 避難指示解除の時期が延びれば賠償額が上積みされるため、富岡町のように全区域の解除時期を統一して賠償の公平性を確保しようとする町村は少なくない。 馬場有浪江町長は「インフラ整備を考えれば今後5年は避難指示を解除しない」と発言。渡辺利綱大熊町長も「5年以上帰還しない宣言」を出す考えだ。
 避難指示の解除時期は市町村の意向を踏まえて政府が決定する。一律賠償を求める富岡町などの希望を受け入れれば、低線量地区から順次帰還を目指す飯舘村などの町村との間で賠償額に差が生じる。賠償額の公平性をどう担保するかが課題になっている。

◎仮の町構想/共同体維持へ集団移住/インフラ制度設計課題

 福島第1原発事故で避難区域に指定された福島県双葉郡の自治体のうち富岡、大熊、双葉、浪江の4町が集団移住による「仮の町」構想を掲げ、国、県を交え た協議機関を9月中に発足させる。税金や選挙権など自治の根幹に関わる新たな制度設計や、受け入れ自治体の負担解消など実現に向けた課題は多い。

 4町は原発に近くて放射線量が高く、避難区域の再編では町の主要部が5年以上帰れない帰還困難区域に指定される見通しだ。
 各町は避難の長期化が共同体の崩壊を招き、自治体の消滅につながりかねないと判断。別の自治体に災害公営住宅を設けて住民が集団移住し、行政や教育、福祉、医療などのサービス拠点も整備する仮の町構想を打ち出した。
 4町の中で富岡、大熊、浪江の3町は各町の町民アンケートで仮の町の候補地にいわき市を挙げる意見が多かったとして、いわき市を有力地として協力を要請している。
 富岡、大熊両町はいわき市に限らず、現時点で役場機能を移している郡山市会津若松市にも生活拠点を整える考えを示す。浪江町は南相馬市や中通り地方も選択肢に挙げる。双葉町は仮の町は必要だとしているが、候補地は提示していない。
 仮の町をめぐる協議機関にはいわき市のほか、福島、郡山、会津若松の各市が加わり、調整を図る。国は各町で住民意向調査を実施し、年度内に整備先の場所や規模、時期の検討に入る。
 自治体が丸ごと別の自治体に長期間疎開する「自治体内自治体」の前例はなく、新たな立法措置が必要となる。受け入れる側の財政負担、人口増に伴う生活イ ンフラの整備など課題は山積している。不安定な現在の避難生活の長期化を避けるため、制度化にはスピード感が求められている。
 いわき市渡辺敬夫市長は仮の町の受け入れに基本的に前向きだ。ただ「将来的に避難者が地元に帰還できるようになっていわき市を去った後、市内に廃虚が残るのは許されない」としてニュータウンのような集中型の拠点整備に反対し、分散型を求めている。

◎中間貯蔵施設、具体化せず/仮置き場不足、除染足踏み

 政府は福島第1原発事故の除染で出る廃棄物を長期保管する中間貯蔵施設を第1、第2原発の立地する福島県大熊、双葉、楢葉の3町に設ける方針を立て、 12カ所の候補地を示した。3町は受け入れについて「白紙」を強調。具体的な進展は見られず、結果的に除染の遅れを招いている。
 中間貯蔵施設計画の工程は表の通り。本年度中に設置場所の選定を終え、2014年7月に着工し、15年1月から廃棄物を搬入する計画だが、今年7月に始める予定の基本設計に着手できず、既に遅れが出ている。
 候補地12カ所の内訳は大熊町9カ所、双葉町2カ所、楢葉町1カ所(地図)。政府は8月、3町に立地調査を申し入れたが、いずれも回答を留保した。
 福島復興再生基本方針によると、中間貯蔵施設での保管期間は30年以内で、最終処分は福島県外に設ける施設で行う。細野豪志環境相も最終的な県外処分の法制化を約束した。
 だが、3町は施設の必要性は認めながらも、「中間貯蔵とは名ばかりで、いずれ最終処分場と化す」と心配し、態度を硬化させている。
 中間貯蔵施設は除染ではぎ取った汚染土のほか、放射線濃度が1キログラム当たり10万ベクレル以上の震災がれきを保管する。放射能に対する不安から町民 の帰還意欲を低下させるとの見方がある。政府は受け入れ先の振興策として、研究開発拠点を併設して雇用を創出する計画を打ち出しているが、3町を説得する 決め手になるかどうかは未知数だ。
 中間貯蔵施設の遅れで除染の進展に影響が出ている。計画では、県内各地に除染廃棄物の仮置き場を設け、貯蔵施設ができるまで保管する。しかし、貯蔵施設の停滞で廃棄物の行き場が決まらず、各地で「仮置き場での保管が長引く」と住民の反対運動が起きている。
 県などによると、35市町村で除染が始まっているが、福島市郡山市を中心に仮置き場が不足し、除染が計画通り進んでいない。汚染土を住宅敷地の一角にまとめ、ブルーシートを掛けて現場保管している状況だ。
 原発事故の避難区域の11市町村の除染は政府の責任で行う。このうち本格的に始まったのは田村市のみ。7町村は住民との調整が遅れ、仮置き場の選定ができていない。政府は県内の除染を13年度までに終える目標を掲げているが、達成は難しい。

◎福島県、立地企業に助成金/182社採択、産業再生へ光

 福島県は県内に進出したり、生産設備を増強したりする企業に助成する「ふくしま産業復興企業立地補助金」制度を設けた。福島第1原発事故で疲弊した地域 経済の立て直しが目的。これまで新規進出として12社、増設として170社の計182社が採択され、産業再生の兆しが見えている。
 「補助金のおかげで順調に準備できた」と話すのは、住宅パネル製造販売のユニックス(熊本市)の笠田政輝社長(61)。いわき市錦町の旧木材加工場を買い取って6月、北関東工場を開いた。壁パネルを作り、主に首都圏へ供給する。
 投資額は3億5000万円で、3分の2を補助金で賄う。地元の25人を採用し、さらに10人の雇用を見込む。
 二本松市には金属熱処理業の渡辺製作所新潟市)が進出した。11月完成を目指して新工場の建設が進む。1995年に土地を購入したが、景気低迷で計画を中断。2010年の事業拡張に伴い、計画を復活させた。
 投資額12億円。工場は13年1月に操業を始め、原発事故の避難者ら15人規模の雇用を予定する。
 渡辺将志社長(50)は「補助制度は進出の決め手の一つ。二本松市は安全な場所で、地元に貢献したい」と語る。
 工具ケース企画設計製作販売の牧野工業(千葉県)は白河市に工場を建てた。13年5月ごろの本稼働を目指す。投資額7億円で新規雇用20人。牧野守雄社長(61)は「地元に残りたい若い人を採用したい」と意気込む。
 制度は地域経済の立て直しのほか、原発に代わる産業創出を目的に創設された。200億円を限度に投資額の3分の2(警戒区域は4分の3)を補助する。財源は国費で県が運用する。最大で3000人近い新規雇用を生みだすと期待される。
 手厚い助成で企業の申し込みが殺到した。182社の採択で補助予定額が1800億円に膨らみ、1600億円の予算枠をオーバーした。
 県は苦肉の策として、10億円以上の大規模投資の企業に補助金の20%支払い延期を求めた。「財源が確保され次第支払う」と説明しているが、企業からは「話が違う」と不満の声が出ている。
 県は政府に予算の上積みを求めているが、政府は事実上見送り、代わりに別の補助制度を設けて対応する考えだ。

図URL
http://www.kahoku.co.jp/img/news/201209/20120913-t01.jpg




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