「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第6部・輸出の最前線で今/上(その1) 日韓セールスし烈<毎日新聞>

毎日新聞
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この国と原発:第6部・輸出の最前線で今/上(その1) 日韓セールスし烈
毎日新聞 2012年07月11日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20120711ddm001040049000c.html
▼全文転載


(1)
                    

 ◇大統領トルコ訪問×震災で優位崩れる

                         

 東京電力・福島第1原発の事故から10カ月余りが過ぎた今年1月。総合電機大手、東芝の首脳陣はトルコ からの知らせに耳を疑った。「韓国の李明博(イミョンバク)大統領がトルコを訪問する」。東芝幹部の一人は「原発受注に向けたトップセールスだ」と険しい 表情でつぶやいた。李大統領は2月上旬にエルドアン首相と会談、その直後からトルコの原発建設をめぐる競争が激化し始めた。

                         

 その後間もなくして、首都アンカラにある日本大使館から、外務省に頻繁に暗号電報が入るようになる。 「『韓国は真剣だ』とトルコの首相に言われた。危機感を持つべきだ」。電報の内容に慌てた経済産業省は、何度も資源エネルギー庁幹部をトルコに派遣。巻き 返しを図ったが「情勢は厳しい。五分五分だ」(エネ庁幹部)。トルコ側が示した期限は既に過ぎており、政府関係者は「いつ決まってもおかしくない状況だ」 と気をもんでいる。

                         

 日本は福島の事故を経験した後も、輸出促進の方針を見直していない。政府は自民党政権時代の06年に 「原子力立国計画」を策定。民主党への政権交代後も方針を引き継いだ。日本の製造業の国際競争力に陰りが見える中、原子力産業は日本が現在も最先端の技術 を誇る数少ない成長産業でもある。

    
(2)
                    

 1基6000億円と言われる原発。受注による経済波及効果は1兆円超との試算もある。経産省OBの一人は「原発を建設できるのは、日本の3社と米2社、フランス、韓国、ロシアの国営企業ぐらい」と日本の競争力の高さに期待する。

                         

 国の後押しもあり、トルコでは東芝が10年末に優先交渉権を獲得。佐々木則夫社長は当時、毎日新聞の取 材に「トルコも日本と同じ地震国。新潟県中越沖地震(07年)を経験した(東芝製の)柏崎刈羽原発での実績が認められた」と自信ありげに語り、原発輸出推 進の意向を強調していた。

                         

 しかし、福島の事故で事態は一変。原発の運転要員を確保するために頼りにしていた東電は事故処理と経営 悪化で、輸出事業から事実上撤退した。ライバル韓国は、09年のアラブ首長国連邦(UAE)での原発受注合戦で、業界の常識を覆す60年間の運転保証など を提示。軍事協力まで持ち出して同国初の海外受注にこぎつけた実績を持つ。日本政府関係者は「韓国は今回も国家の総力を挙げて契約を取りにくるはず」と危 機感を隠さない。

                         

 「国策」として受注を狙う韓国に比べ、日本政府は反原発の世論もあり、積極的に売り込める環境にない。「国家間の契約」と言われる輸出ビジネス。政府の交渉担当者は「トルコでの交渉停滞は、東芝の問題というより、日本とトルコの政府間の問題だ」と認める。

    
(3)
                    

 「国内では脱原発依存だが、国際的には原発は重要」。6月25日にロシアのサンクトペテルブルクで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)エネルギー相会合で、枝野幸男経産相は「輸出推進」の政府方針に変化がないことを強調した。

                         

 だが、実際には「国内は脱原発、海外向けには輸出促進」という分かりにくい方針が続き、政府の軸足はな かなか定まらない。製造物責任を問われる事態になれば莫大(ばくだい)な賠償費用を負うことにもなりかねず、メーカー幹部は「原発は受注額も抱え込むリス クも桁違いの巨大なビジネス。国の中途半端な支援だけで他国のライバルと渡り合えるのか」とため息交じりに語る。

                         

 激しさを増す原発輸出の国際競争。トルコでの受注を巡る韓国とのせめぎ合いも、その一コマに過ぎない。

     この国と原発 アーカイブ2012年
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