「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

(5)偏見と差別/信頼回復へ情報を/風評解消、復興に必要「河北新報」連載特集

河北新報連載特集から全文転載

河北新報
トップ >http://www.kahoku.co.jp/
ご購読案内
http://www.kahoku.co.jp/pub/koudoku/syoukai.htm
(5)偏見と差別/信頼回復へ情報を/風評解消、復興に必要
2012年08月19日日曜日
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1107/20120819_01.htm
▼全文転載


緑豊かなゴメリ市。行き交う人は多く、街の表情から原発事故の後遺症をうかがうことはできない
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2012/20120819011jd.jpg
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2012/20120819012jc.jpg


<州外で売れず>
 福島の桃は今年も甘い。4歳の娘と争うように食べている。でも遠方に贈るとなると、ためらう私がいる。
 福島県で製造された花火は他県で打ち上げを拒まれた。地元に踏みとどまる親子は中傷の的になる。岩手、宮城県の震災がれきでさえ「放射能に汚染されている」と敬遠され、広域処理が進まない。放射能が人の心をむしばむ。
 偏見と差別が福島第1原発事故の被災地を苦しめる。その構図は、チェルノブイリ原発事故から26年が過ぎたベラルーシにも残っていた。
 南東部のゴメリ州。原発に隣接し、事故で最も放射性物質に汚染された。州都のゴメリは人口50万で、首都ミンスクに次ぐ国内第2の都市だ。中心部は豊かな緑に包まれ、大勢の市民でにぎわっていた。
 街で遊ぶ子どもの姿も日本の地方都市に比べるとかなり多い。少子化の傾向はあるが、州の出生率は2010年、1000人当たり11.6だった。日本より3.1ポイント高い。ベラルーシ全体と比べても0.2ポイント上回る。
 一見、事故の影を感じないが、州外からの冷たい視線は解けていない。「ゴメリの農産物には手を出さない。放射能が気になる」。300キロ離れたミンスクで、複数の人から聞かされた。
 ベラルーシでは、農地1枚ごとに汚染地図を作り、セシウムの吸収度を考えて作物を選ぶ。収穫後は出荷、加工、販売とさまざまな段階で放射性物質を検査し、安全性を確保する。
 「放射性物質が検出されてもほとんどが1桁。厳しい検査で基準を超す食品は流通させないのに州外では買ってくれない人がいる」。ゴメリの国立放射線研究所でアレキサンドル・ポドリャク副所長が嘆いた。

<学生 就職敬遠>
 求人難の問題もある。
 「大卒の若者が就職したがらない」。ロシア・ベラルーシ情報センター・ミンスク支所のニコライ・ボリセビッチ副所長が明かす。
 被災地で職に就けば、住居の提供や給料の上乗せ、兵役の免除などの特典がある。ゴメリは土壌の汚染度は高いが、空間線量や食品の安全性はミンスクと変わらない。しかし、学生の敬遠傾向は強く、医師、教師不足が深刻化している。
 ボリセビッチ氏によると、偏見の背景にあるのは、政府の発信する情報に対する根強い不信感だ。チェルノブイリ事故では、旧ソ連政府の情報隠し、指示の混乱が住民の反発を招いた。そのツケが今も重くのしかかり、「国はうそをつく」とレッテルを張られている。
 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の公表遅れ、事故対応の混迷。3.11後の日本政府の軌跡が重なる。

<汚染を可視化>
 ベラルーシ政府は信頼を回復しようと、国内各地に50を超す情報センター、300以上の検査所を設けた。住民が日常的に計測し、汚染の実態を把握できる。見えない放射能を可視化する取り組みだ。
 「信頼を失うのは簡単だが、偏見や差別を拭い去るのには時間がかかる。偏見の問題を解決しない限り、復興は終わらない」
 ボリセビッチ氏は視察団の覚悟を確かめたかのように力を込めて言った。

二つの被ばく地ーチェルノブイリと福島
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1107/index.htm
ご購読案内
http://www.kahoku.co.jp/pub/koudoku/syoukai.htm

河北新報
トップ >http://www.kahoku.co.jp/