【TPP交渉参加】情報の公開が欠かせない<高知新聞・社説>
★全国紙の記事や社説には、「奥歯に物が挟まったような?」と言うべきか「あいまい?」と言うべきか、八方美人的な部分が多いように思います。あるいは、実現できそうに無い「キレイ事」を、もっともらしく書いている記事を、よく見かけます。
★ その点、地方新聞は、社説の主張が明確です。私が、地方新聞の社説を良掲載するのは、それが理由です。中でも、傑作な社説が多いのが、高知新聞です。しば らく、「高知新聞の社説」を取り上げてみます。私は、自分が賛成できない社説は、取り上げません。「社説」に限っては、自分の考えや意見を代弁してくれる 記事を掲載しています。高知新聞の社説は、面白いし参考になる記事が、結構あります。
一番、傑作なタイトルは
「原発再稼動は、ノーだ!」
と言うのがありました。過去記事でご紹介したと思います。
単純明快、記事を読まなくても中身が分かります。
高知新聞・社説
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【TPP交渉参加】情報の公開が欠かせない
2013年03月16日08時08分
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▼全文転載
安倍首相が記者会見を行い、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を正式に表明した。
2月のオバマ米大統領との首脳会談で、首相はTPPについて「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と判断しており、それに基づく決断だ。
ただし、参加表明に合わせて公表された政府試算は、TPP参加で農林水産物の生産が最大で3兆円減少するとしている。国民の間に反対や懸念はなお根強いだけに、交渉参加後は政府によるできる限りの情報公開と丁寧な説明が欠かせない。
TPPはあらゆる関税を原則10年以内に撤廃するほか、労働力の移動や知的財産権、公共事業の受注などが関わる政府調達なども対象とする。貿易の自由度が格段に高い協定だ。
現在、米国やオーストラリアなど11カ国が年内妥結を目指して交渉を重ねている。このため参加表明がこれ以上遅れると、重要な貿易ルールづくりに日本の要望が反映されなくなるという危機感が安倍首相にあったのは間違いない。
首相の決断を後押しするように世論にも変化が見える。共同通信の調査ではTPPの賛否は拮抗(きっこう)することが多かったが、今年1月に 53%と半数以上が賛成。2月には63%にアップし反対24・7%と大差がついた。日米首脳会談の結果を受けて賛成論が広がった形だ。
一方、首脳会談では全ての物品を交渉の対象とし、高い水準の協定を達成することも確認している。日本の思惑通り農業分野などで「聖域」が確保されるかどうかは、交渉してみないと分からないことだ。
農業だけではない。医療の規制緩和で国民皆保険制度が揺らぐのではないか。遺伝子組み換え食品の表示義務撤廃など食の安全・安心が脅かされはしないか。日本の主権を損なうような投資家と国家の紛争解決(ISDS)条項が導入されるのではないか。
国民の疑念はまだまだ払拭(ふっしょく)されてはいない。
秘密主義
さらに懸念されるのは、TPP交渉の進め方だ。妥結するまではペーパー類も公表しない「秘密主義」に貫かれているという指摘もある。
実際、これまでの協議内容がどんなものかは驚くほど伝わってこない。むろん、日本はまだ交渉に参加していないのだから、多くの情報提供を望むのは無理ではあったろう。
それにしても、TPPが実現すれば国民生活の多くの場面に影響が及ぶ。「国のかたち」を変えると言われる協定にもかかわらず、交渉過程で情報が 十分に伝わらないのは問題が大きい。最終的に国会での承認が求められるとはいえ、国民に開かれた協議が担保されるかどうか疑問が残る。
だからこそ、公表できる情報は適宜公表する責任が政府にはある。
交渉参加に対し、県議会は「農林水産業が深刻な影響を受ける恐れがある。県の衰退につながりかねない」とする反対意見書を全会一致で可決した。中山間地域が多い本県などは従来の農業振興策によるメリットは受けにくく、規模拡大も難しい。
安倍首相は会見で「日本の農業、食を守る」と強調した。国内農業の足腰をどう鍛え、国際競争力を高めていくのか。TPP交渉の手腕とともに首相に突き付けられた大きな課題だ。
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