「北の山・じろう」時事問題などの日記

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【社説】カネミ油症判決 患者格差是正へ知恵絞れ<西日本新聞>

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【社説】カネミ油症判決 患者格差是正へ知恵絞れ
2013年3月23日 10:40
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/354480
▼全文転載


 法律用語で、賠償請求などの権利が存続する期間を「除斥期間」という。「時効」と違って中断や停止がなく、期限が過ぎれば権利は自動的に消滅する。

 この除斥期間の起算点をめぐり被告側が「症状の発生時から」と主張し、原告側は「患者認定時から」と反論した。

 国内最大の食品公害とされるカネミ油症の患者と遺族らが、原因企業のカネミ倉庫(北九州市)に損害賠償を求めた訴訟は、裁判所が除斥期間をどのように認定するかが大きな争点だった。

 カネミ倉庫への損害賠償請求権は認める。しかし、除斥期間の始まりは患者が油を摂取した時で、すでに20年以上経過しており、訴訟の権利はない-。

 福岡地裁小倉支部は、判決でこう結論付けて患者らの訴えを退けた。

 患者が認定前に訴訟をしても立証が難しく、損害賠償を請求することは無理だったかもしれない。だが、その間も意思表示できないほど病状が悪化していたわけではない。判決は、こうも指摘する。

 そのまま読めば、患者は泣き寝入りするしかない、とも受け取れる。

 カネミ油症は1968年に長崎、福岡など西日本一帯で起こった食品公害だ。カネミ倉庫製の米ぬか油の脱臭工程でポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入し、油を口にした人たちが吹き出物や手足のしびれなどの健康被害を訴えた。

 患者認定をめぐっては、基準の見直しが繰り返された経緯がある。

 原告の大半は診断基準が改定されてダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の血中濃度が加わった2004年以降の新認定患者だ。

 1968~80年代に認定された患者に対し、認定までの長期間にわたり医療費を自己負担しており、裁判ではこの間の「補償格差」の救済を求めた。

 患者の症状は一見して油症とは判定できないという。患者認定時しか油症と客観的に認識しにくい現状を考えると、今回の判決は患者にとって権利の剥奪に等しいと言っても過言ではない。

 裁判所の判断は、あまりにも形式的に過ぎるのではないか。原告らが「油症認定の実態や、被害者の苦しみを全く理解していない」と憤るのも理解できる。

 ただ、カネミ倉庫の経営体力の弱さが補償に影響を及ぼしているのも事実だ。

 昨年9月、認定対象を患者の同居家族も含めるなどとする被害者救済法が施行された。国は政府米備蓄などの経営支援で救済の枠組みを支えているが、裁判でカネミ側は「多額の賠償を認められれば同居家族などが同様の請求を行い、医療費補償もできなくなる」と述べていた。

 とはいえ、患者間の救済格差は本来あってはならないことだ。経営が厳しい企業が食品公害などを起こしたとき、どのように支援して安定的な救済の仕組みをつくるべきなのか。患者らは控訴する方針だが、司法判断とは別に国も格差是正へ向け知恵を絞る時期に来ている。

=2013/03/23付 西日本新聞朝刊=

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