「北の山・じろう」時事問題などの日記

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特集ワイド:見直し迫られる核のごみ 「地層処分」の危うさ 地底は未解明/「核燃サイクルが前提」にも批判<毎日新聞>

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特集ワイド:見直し迫られる核のごみ 「地層処分」の危うさ 地底は未解明/「核燃サイクルが前提」にも批判
毎日新聞 2012年10月24日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20121024dde012040046000c.html

▼全文転載

 

 原発の使用済み核燃料は、数万年後まで人体を脅威にさらす悪夢の放射性廃棄物と化している。政府は「原発ゼロ」を打ち出しながら核燃料サイクルを 温存した理由の一つに、日本に相当の使用済み核燃料がたまっていることを挙げる。国は地底深く埋める「地層処分」で廃棄する考えだが、地震や火山活動、地 殻変動が活発な列島で安全に眠らせておくことなど可能なのか?【戸田栄】

 国が推進しようとしている「地層処分」に対して先月、日本学術会議が「待った」をかけた。科学者の代表 機関が国に方針を一から見直すよう求めたのだ。同会議の「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」委員長を務める、今田高俊・東京工業大大学院社 会理工学研究科教授が厳しく指摘する。「地震や火山活動で地下に異変が起き、埋めた核のゴミが地上に出てきたらどうなるのか。現状では、地層処分に適した 安全な場所が日本にあるとは言い切れません」

 国は放射性廃棄物のうち、核燃料再処理工場から液状で出てくる高レベル放射性廃棄物をガラスと混ぜ合わ せて固め、地下300メートルより深くに埋める考えだ。このガラス固化体(直径43センチ、高さ134センチ、重さ500キロ)は、作った直後には1時間 あたり約1500シーベルトの放射線を放ち、近づくと20秒弱で即死するという恐ろしい代物である。当初は高熱を発するため、30〜50年間、地上施設で 冷ました後に地層処分をすることになっているが、50年後でも同160シーベルトの放射線を放ち、数万年後にようやくウラン鉱石と同様のレベルに下がると いう。一般公衆が浴びてよいとされる線量限度は「年間」1ミリシーベルト。まさに桁違いの量で、今田教授が想定外の事態を懸念するのはもっともなのであ る。

 捨て場所は生活圏と隔絶していなければならない。宇宙は輸送中にロケットが爆発する可能性を伴い、深海 や南極の氷山の底は人類共通の財産として保全する国際ルールに背く−−などの理由から、世界的に地層処分が研究されている。スウェーデンとフィンランドで は最終処分場建設地を決め、本格的な事業化が進む。日本は2000年に事業化し、候補地を探している。

 国は地下施設は揺れに耐えられるように造るため、活断層さえ避ければ問題はないとするが、今田教授は、 結論ありきだと批判する。「日本の地層は、未解明の点が多い。また活断層から離れた場所なら安全なのか。人材を総動員して調べ尽くさなくてはなりません。 その上で地層処分が妥当かを議論するのが筋です。日本で候補地選びが進まないのは、政策の枠組みが間違っていて国民が不信感を抱かざるを得ないからです」

   ■

 ガラス固化体は、炭素鋼を基本に作る厚さ19センチのオーバーパックと呼ぶ金属製容器に封入。さらに厚さ70センチの粘土(緩衝材)で覆い、地層 中の岩盤に掘った穴に埋める。オーバーパックがどれだけの年月、腐食せずにガラス固化体を守れるかがポイントの一つだが、計画を立てる日本原子力研究開発 機構によると、地下の深部には酸素がないので金属の酸化は生じず、主に問題は地下水の影響だという。このため水をはじく粘土で覆い、オーバーパックには表 層部が腐食してもいいような厚みを持たせている。万一、ガラス固化体が地下水に触れた場合を考え、水に溶けない性質のガラスを使い、仮に放射性物質が溶け 出しても粘土が吸着する構造にしている。

 同機構地層処分研究開発部門の清水和彦・副部門長は「地圧で地底の岩石の粒子の間隔は密になり、深い所 で地下水は1年に1ミリも動かない計算になる。多少早くても、放射性物質に汚染された地下水が地上に出てくるには長い年月を要し、その間に放射線レベルは 下がります」と話す。

 だが、原子力の研究者でつくる「地層処分問題研究グループ」事務局長の志津里公子(しづりきみこ)さん は「地下水の流速は遅いと言われていますが、まだ不明な点は多い。実際、岐阜県瑞浪市の機構の地下研究施設では、立て坑の掘削で予想外の湧水(ゆうすい) がありました。現状で、地下水汚染は心配がないなどとはとても言えません」と反論する。

 志津里さんは最終処分場の操業の安全性にも懸念を抱く。日本は昨年末時点で国内外に約2650本のガラ ス固化体を保有し、各原発の核燃料プールなどに蓄積された使用済み核燃料からは、さらに約2万4700本分のガラス固化体が作られるという。これだけの量 を収容するには、地下に数キロ四方の広さを持った巨大な施設が必要だ。「被ばくするので人はガラス固化体に近寄れませんから、ロボットを遠隔操作して輸送 し、地下の広大な施設に埋めると言いますが、本当にそんなことができるのでしょうか」

 国は最終的には最終処分場を埋め戻し、永久に生活圏から隔離してしまう計画だ。清水副部門長は「次世代に、ゴミ処理の負担を負わせないという倫理的観点からも、地層処分が妥当」と語る。

 

 これに対し、「埋めた後で問題が生じれば、その方が現世代の責任を問われる」と今田教授は反論。「現時点での地層処分は問題」とする日本学術会議 は、数十〜数百年程度の「暫定保管」を提言した。地上か地下に施設を造ってゴミを回収可能な形で管理し、地層や処分方法、核の放射線を出す期間の短縮技術 (核変換技術)の研究が十分に進展してから、最終処分方法を決定するという考え方だ。

 時間をかけて対処方法を検討することには志津里さんも賛成だ。しかし、核変換技術については「今のところ、現実的に実現可能な技術ではありません」と批判する。甘い夢への安易な期待が、なし崩しの原発容認につながりかねないからだ。

   ■

 今回、日本学術会議はゴミ量の上限などを決める「総量管理」も提言した。今田教授は「原発を動かすこと だけを考え、その結果、またゴミが増えたでは、後出しじゃんけんのように身勝手な話となり、国民の信頼を失うばかりです」と語る。政府が掲げる「原発ゼ ロ」戦略には、この総量管理の考え方がなく、具体性を欠く一因となっている。

 さらに戦略は「原発ゼロ」と矛盾する核燃料サイクル政策維持の根拠に、このゴミ処理問題を挙げるが、必 ずしも核燃料サイクルが処理に必要なわけではない。サイクルの一環の核燃料再処理工場でゴミをガラス固化体にすれば容量が減るなどの利点はあるものの、再 処理せず金属製容器に封入して地中へ捨てる直接処分もあり、スウェーデンやフィンランドはこの方法を選んだ。志津里さんは「そもそも再処理はプルトニウム などを取り出すのが目的だし、再処理自体にもリスクがある。現時点では直接処分の方がまだいい」と言う。

 このように今なお、核のゴミの処分方法は抜本的見直しを迫られている。それなのに、なぜ国は半世紀も前から野放図に原発を動かし続けられたのか−−。

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