第3章 チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響<チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト>
チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト
ホーム>http://chernobyl25.blogspot.jp/
アレクセイ・V・ヤブロコフ (a)、ヴァシリー・B・ネステレンコ (b)、
アレクセイ・V・ネステレンコ (b)
a. ロシア科学アカデミー モスクワ(ロシア)
b. 放射線安全研究所(ベルラド) ミンスク(ベラルーシ)
共著「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」
岩波書店HP >http://iwanami.co.jp/moreinfo/0238780/
第3章 チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響
2012年3月31日土曜日
http://chernobyl25.blogspot.jp/2012_03_01_archive.html
★長文で詳しい論文の一部です。いかにチェルノブイリ原発事故の放射能により広範囲に汚染されたかよく分かると思います。一部引用。
8.4. 結論
チェルノブイリ原発事故による放射能汚染は、環境中のすべての生物ばかりか、大気、地表ならびに地中の水、土壌の表面層および地底層など非生物構成要素に も悪影響を及ぼしており、特にベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアの重度汚染地域で顕著である。チェルノブイリ由来の放射能汚染は北米や東アジア においてさえ、1960年代の核兵器実験が始まったころの最高値を上回っている。
現代科学は、人工の放射能汚染が大気、水、土壌の生態系に及ぼす影響のすべてを理解するどころか、記録することすらできない。生物圏に加えられたチェルノ ブイリ由来の放射性核種の量によって、こうした(環境の)変化があることに疑いの余地はなく、またこれから何十年にもわたって変化が続いていくと思われ る。
チェルノブイリ由来の放射能雲はその大部分が軽い気体状の放射性核種からなり、地球の大気中で痕跡もなく消えるだろうという一般的な見解に反し、これまで に得られた事実はチェルノブイリから数千キロメートル離れた場所でもプルトニウムの濃度が数千倍も増加したことを示している。
一般的に使われている1リットルあたり、1立方メートルあたり、もしくは1平方メートルあたりの放射能量は、放射性核種が、堆積物や海水の泡や、土壌のマイクロフィルム(訳注13)などにおける生物濃縮(第9章および第10章を参照)によって(ときには数千倍にも)濃縮するという現象を見えなくしている。つまり、一見無害に見える放射性核種の「平均」レベルにおいても、汚染された生態系に生息する生物が甚大な影響を受けることは避けられない。
土壌中の放射性核種は、下方への垂直移動によって根の深い植物に蓄積する。根から吸収されることで地中にあった放射性核種が再び地表に上昇し、食物連鎖に 組み込まれていく。こうした放射性核種の移行は近年明らかにされたことで、放射性降下物によるすべての汚染地域の住民の内部被曝を増加させる、きわめて重 要な機構の一つである。
(以上、引用終わり)
チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト
ホーム>http://chernobyl25.blogspot.jp/