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【中日新聞】中日春秋(除染作業にあたる人たちの健康診断)
2013年1月15日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2013011502000082.html
▼全文引用
<今年の花は/いつもと違う/一きわ美しく咲いているのに/そこから溜(ため)息が洩(も)れている>。佐藤紫華子さんの詩集『原発難民の詩』(朝日新聞出版)にある「さくら並木」だ
▼この時期の寒さが厳しいからこそ、福島の野山の春の美しさは、格別だ。無論、紅葉も見事ではあるけれど、紅葉の先には厳しい冬が待つ。美しさのすぐ次に来る辛(つら)さを予感させる。その冬から解き放たれて萌(も)え、花咲く野山は、北国に住む人々の喜びそのものだ
▼そんな里の光景を溜息なしで見ることができるようになるのは、いつの日になるだろう。そのために多くの人々が除染作業に汗を流してくれているのだが、その現場のありようを知れば、また別な溜息が洩れてしまう
▼国が進める除染作業にあたる人たちの健康診断などの費用は国が負担することになっている。だが現実は立場の弱い作業員たちに負担を強いる業者が横行している。抗議されれば、仕事を干す。放射能を防ぐマスクも用意しない。そんな業者もいるという
▼<さくら並木のその中に/はぎ取られた/汚染土が おいてある/青いシートを被(かぶ)せられ/息がつけない様に/さくら並木の中にある/花びらが/涙となって/こぼれる>と、佐藤さんの詩は続く
▼弱い者は、どこまでも、しわ寄せを食う。そんな姿を、原発事故は繰り返し繰り返し、見せつけ続けている。
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