中国食不信 地域対立も 農家が売る商品 農家は食さず<東京新聞 2014年2月17日>
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中国食不信 地域対立も 農家が売る商品 農家は食さず
2014年2月17日 朝刊
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▼全文転載
【北京=白石徹】食品の安全への不信が広がる中国で、農家が市場で販売する肉や野菜などの商品と、農家自らの食用品が異なる「一家二制」が存在す ると考える消費者が73%に上ることが、中国人民大学の調査チームによるデータで明らかになった。農産物を生産する貧しい農民らが、農薬まみれの食品を裕 福な都市住民に高値で売りつけるという「地域間対立」のゆがんだ構図が浮かぶ。
調査チームは大消費地である北京市のほか、農産物を大量に供給する河北省や甘粛省の農家を実地調査した。その結果、市場に出すサツマイモは大量の 農薬を使用して促成栽培するものの、農家は農薬を使わない物を食用にしていることなどが判明。ある農民は「この地域では数多くの野菜が栽培され、高値で売 られているが、農民は誰も口にすることはない」と証言。また、豚や牛、羊などの家畜を育てる農家は、販売用と自宅用の飼料を使い分けていた。
調査チームのアンケートによると、「一家二制」があると回答した都市住民は73%に上る一方、農家側も59%が「一家二制」の存在を率直に認めている。
中国では香港やマカオに適用する「一国二制」をもじって「一家二制」という言葉が流行。当初は共働き家庭で、外資系企業に勤めて高給をもらう配偶 者と、国有企業に勤めて安い住宅を購入できる配偶者を「一家二制」として理想の家庭の意味で使っていたが、最近は言葉の内容が変質している。
中国では衛生省が二〇〇八年九月、中国製粉ミルクからメラミンが検出されたと発表し大騒ぎになった後も家畜飼料や卵などから検出された。メラミンを混入させれば、タンパク質の量を多く見せかけることができるため、農家が使用していたとみられている。
粉ミルク事件は乳幼児に犠牲者が出たほか、約五万四千人に腎臓結石の被害が見つかり、「食の安全」に対する不安が一気に広がる事件になった。しか し、中国ではその後も汚染された農作物が相次いで見つかり、昨年五月にはカドミウムが混入したコメが大量に流通していたことが発覚。この五年間で食品安全 法違反で摘発された事件は四十七万件を超えるが、消費者は氷山の一角とみている。
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