「北の山・じろう」時事問題などの日記

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森はまだ生きているのだろうか〜南風椎(はえ・しい)の「森の日記」から

南風椎(はえ・しい)の「森の日記」
森はまだ生きているのだろうか
2011.07.27 Wednesday
http://blog.greetings.jp/?eid=266

この森に住みはじめて10年になる。
ここ数年は本来の仕事を再開したので、森に出ることは少なくなっていた。
でもそれまでの6,7年間は一年中毎日朝から外に出て、里山仕事、野良仕事、庭仕事をやっていた。だから四季それぞれこの森のどこで何が起きていて、ぼくが何をしなければならないか、は完璧に把握していた。

ところが3.11以降、森はすっかり顔が変わってしまった。
ぼくが知っている森ではなくなったのだ。
小鳥がこなくなったことは震災の一週間後に「沈黙の春?」という日記で書いた。状況はその後も変わっていない。小鳥たちは皆無ではないけど、ごくたまに1,2羽見かけるだけ。以前のように群れをなして飛んでくることはなくなった。

夏になってからはセミがいない。去年も酷暑のせいでセミが少ないと書いたが、今年は少ないのではなく、いないと言ってもいい。しかし皆無ではない。ときどきカナカナが一羽、ミンミンが二羽とか鳴いているのが聞こえるくらい。数えられるのがさみしいね。東京からきた小学生が「うるさーい!」と両耳をおさえるようなセミ時雨の森だったのに。

この森の蚊は数が非常に多く凶暴であると、日記に書いたことがある。
蚊もいなくなった。おとといは試しにノースリーブのTシャツに半ズボンという無謀きわまりない出で立ちで、森を20分ほど散歩した。去年までなら全身腫れ上がるほど刺されただろうに、両足を一カ所ずつ刺されただけだった。蚊が皆無でないとわかってほっとしたほどだ。

アゲハなどの蝶はわりに見かける。つい最近まで何ヶ月も安全なサナギに包まれていたからではないだろうか。

クモの巣がなくなった。去年までは家の周りを歩くのにも、長い棒を持って巣を払いながらじゃなきゃ歩けないほどクモたちはたくさんの巣を張りめぐらせていた。
今年は低い木陰をのぞきこんで探しても見つからない。皆無だ。
クモ自体が消えたのか、巣を張ってもつかまる虫がいないためやめてしまったのかはわからない。

この森が異常な事態であることは断言してもいい。
街のコンクリートやアスファルトに積もった放射能は雨が流してくれるけど、土や草むらに降る放射能は積もり続けるので危険だとも聞いた。
森は土と草むらの上に乗っかっているものなのだ。

昔教わった生態学の基礎の基礎はこうだった。
「虫や鳥や木が消え始めたら、次は人間が消えていく番だ」

ぼくたちは今、知らされているよりはるかに大きな危機の中で茫然と立ち尽くしているだけなんじゃないか、という思いは日々強くなっている。