「北の山・じろう」時事問題などの日記

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原発輸出:日本国内では慎重なのに……疑問残る官民推進<毎日新聞>

毎日新聞
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原発輸出:日本国内では慎重なのに……疑問残る官民推進
2013年04月10日
http://mainichi.jp/select/news/20130410mog00m020011000c.html
▼全文転載



                    

 ◇過去に8メートル超の津波、テロ多発、地震頻発

                         

 原発事故がどれほどの災いをもたらすか、日本はとことん味わわされた。国内の原発は全50基中48基が停止中、新増設は困難で、原発政策は根本的な見直しを迫られている。であれば、他国には利用を勧めないのが普通の神経だろう。だが、原発輸出の準備は着々と整えられている。【戸田栄】

                         

 「ベトナムの技術・管理レベル、政府の行政能力、汚職や腐敗がはびこっている状況からして、日本からベ トナムに原発を輸出してほしくはありません」。ベトナムの歴史的文書の研究を行っている国立ハンノム研究所のグエン・スアン・ジエン博士(42)は、伊藤 正子・京都大大学院准教授(ベトナム現代史専攻)にそう訴えた。3月16日、ハノイ市内で会った時のことだ。

                         

 ジエン博士は昨年5月、原発建設に反対する署名活動をインターネットで始めた。ベトナム政府の圧力で中 止を余儀なくされたが、集めた数百人分は日本政府に送った。伊藤さんは「ベトナムは経済的には自由な面が多いが、政治的には一党独裁で言論や集会の自由が 制限されています。政策批判は難しく、逮捕・拘禁の恐れもある。ジエン博士は必死の思いで署名を集めたのです。でも日本政府からは何の返事もない。不誠実 ではないでしょうか」と憤る。

                         

 2010年10月、菅直人首相(当時)とベトナムのグエン・タン・ズン首相の会談で、日本は中南部・ニ ントゥアン省タイアン村のニントゥアン原発2基の建設協力パートナーとなった。現在、プラント輸出に向けての準備が進められ、予定地の地形・地質の調査な どを日本原子力発電が行っている。

                         

 伊藤さんは「建設予定地は美しいサンゴ礁がある国家公園と一部重なっていて、環境破壊が懸念されます。 過去に8メートルを超す津波に襲われたことがあり、現地の少数民族チャム族の村には『津波の神様』が祭られています。果たして適地と言えるでしょうか」と 話す。さらにベトナムは情報格差社会で、多くの国民には原発の是非を考える情報はほとんど与えられず、政府による原発安全神話が一方的に垂れ流されている と指摘する。

                         

 ジエン博士は「日本では、依然として原発を廃止すべきだという意見が大きいと聞いている。自ら廃止を希望しながら、他国に輸出するのは筋が通らない」と話していたという。

                    

 日本は00年代半ば以後、国を挙げて原発プラント輸出を目指してきた。日本原子力産業協会によると、既 に原発を運用している国では、イギリスで日立製作所が現地の原発事業会社を買収してウィルファ、オールドベリー両原発の建設を決め、フィンランドでは東芝 がハンヒキビ原発建設の優先交渉権を獲得している。新規に原発を導入する国では、ベトナムのほか、トルコで今月初め、三菱重工業とアレバ(仏)の合弁企業 が、黒海沿岸のシノップ原発の受注で同国政府と大筋合意した。リトアニア、ヨルダンでも受注に向けた本格的な動きがある。リトアニアでは日立が原発建設の 受注を予定していたが、昨年10月の建設の是非を問う国民投票で反対が多数に上り、先行きは不透明になっている。

                         

 新規導入国では、日本が建設だけでなく運営管理、人材育成、燃料調達の面倒も見る「パッケージ型インフラ」の原発輸出となりそうだ。価格は1基6000億円ともされ、パッケージ型輸出となるとさらに巨額の取引となるが、問題は山積している。

                         

 原発輸出に反対するNPO法人「『環境・持続社会』研究センター」理事の田辺有輝さん(33)は、ヨルダンを例に新規導入国への原発輸出を批判する。

                         

 「ヨルダンの予定地は砂漠同様の乾燥地帯にあり、水不足が深刻です。下水処理場の処理水を原発の冷却水 に使う考えですが、地震で水が途絶えた時にどこから給水するのか。テロの多い国であることも懸念されますし、80万人都市がわずか15キロと近くにあるほ か、首都アンマンからも約40キロ。どう見ても立地条件はひどい。新規導入国は途上国が多く、原発建設計画からして問題が多数ある」。トルコは地震の多い 国で、田辺さんは「国民に原発建設に反対する声が根強い」という。

                         

 現在、日本原電が行っているニントゥアン第2原発関連の調査は、ベトナム電力公社の委託を受けた形だ が、20億円以上の費用は、温暖化防止のための国際事業などの名目で日本政府が負担。建設資金も日本からの低利融資が求められている。国際環境NGO 「FoE ジャパン」理事の満田夏花(みつたかんな)さん(45)は「そこまでして、なぜ原発を売り込まなければならないのでしょうか。原発輸出は国の支援がないと成立しないのではと疑わざるを得ない。また、日本でも未解決の放射性廃棄物の処分問題を、相手国がどう解決するのか見えていません」と疑問を投げかける。

    
                    

 原発事故が起きた場合の日本の責任はどうなるのか。

                         

 経済産業省原子力政策課では「建設する国が安全を確保しなくてはいけない。日本としては必要な協力はす るが、事故時の賠償責任はその国の法律に基づき電力事業者が負うのが原則だ」とする。だが、満田さんは「事故が起きたら相手国の人々から責任を追及される に決まっています。福島原発事故の原因究明がまだ終わっていない段階、つまり原発の安全確認が十分できずにいるのに輸出しようとしている点にも問題があり ます」。

                         

 伊藤さんは途上国の内情をよく研究して事業に加わるか否かを決定すべきだと警告する。「必ずしも民主的 な国家運営がなされている国ばかりではありません。相手国政府の言いなりになって事業を進めると、実はその国の人々に多大な犠牲を強いる政策に加担するこ とがあります。それは、長い目で見ると両国関係に大きな悪影響を及ぼします」

                         

 アベノミクスを支える3本目の矢・成長戦略で、安倍晋三首相は3月13日「最先端のインフラシステム輸出の後押しは重要な柱だ」と強調した。2月に茂木敏充経産相がサウジアラビアと原子力協力の協議で合意しており、原発輸出の促進は明らかだろう。

                         

 国内向けには慎重な顔をして、原発輸出は推進一辺倒ではとても誠実とは言えまい。

    
    

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