「北の山・じろう」時事問題などの日記

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この国と原発:第3部・過小評価体質/5 火山対策、国の指針なく <毎日新聞>

毎日新聞
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この国と原発:第3部・過小評価体質/5 火山対策、国の指針なく
毎日新聞 2011年11月02日 東京朝刊
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20111102ddm002040041000c.html
▼全文転載

(1)
 火砕流到達の悪夢

 「(各地に原発が造られた20世紀後半の日本の火山は)歴史的にみれば異常な静穏期だった。今世紀は新 燃岳(もえだけ)(宮崎・鹿児島県)の数十倍のマグマを放出する大噴火が5〜6回起きるかもしれない」。藤井敏嗣・東京大名誉教授(火山学)は指摘する。 世界の活火山の1割近い110の火山を抱える火山国・日本。実は、原発の火山対策を定めた国のルールはない。

 同じく火山国のインドネシアなど東南アジアでの原発建設の動きに合わせ、国際原子力機関IAEA)は 09年、火山を巡る原発の立地条件に関する指針案をまとめた。これを受けて国内でもようやく、業界団体「日本電気協会」が同年に指針を制定し、今は原発の 設計時に配慮すべき事項を検討している段階だ。焦点の一つは、火山灰対策。大噴火があると、各地の原発が影響を受ける恐れがある。

 「屋根に積もった火山灰はほうきで掃き、電線の灰はスプリンクラーで流す。非常用ディーゼル発電機のフィルターが詰まれば、作業員が取り換える」。同協会の検討会で電力業界側の委員らは対策を説明した。

 だが、委員を務める山崎晴雄・首都大学東京教授(地震地質学)は首をひねる。「火山灰が降りしきる中では、車はスリップして動けない。作業員や資材はどう確保するのか。電線のショートを防ぐ碍子(がいし)が灰で機能を失えば、外部からの送電が止まる恐れもある」

(2)

 長崎大の調査では、90年からの雲仙普賢岳(長崎県)の噴火で、同県島原市の住民の半数が火山灰の影響 による車の故障を経験した。火山活動は長期化しやすく、もし外部電源が止まり、非常用発電機も運転できなくなれば、東京電力福島第1原発事故の二の舞いと なる恐れもある。

 懸念はそれだけではない。火山学者が恐れる最悪のシナリオは、カルデラ(火山性の円形のくぼ地)をつく るような巨大なカルデラ噴火の発生だ。国内では過去約12万年に18回起き、平均すると6000年程度の間隔になる。約7300年前に南九州で起きた噴火 以降はなく、藤井名誉教授は「次の噴火がいつ起きても不思議でない」と警告する。

 約9万年前に阿蘇山(熊本県)で起きたカルデラ噴火では、北海道でも10センチの火山灰が積もった。さらに脅威なのは、巨大火砕流原発を襲う事態だ。

 過去には約160キロ先まで到達した例もあるといい、同協会の指針は今後の新設炉について、火砕流が到 達する場所では立地の可否も含めて検討するよう求めている。既存炉は対象ではないが、北海道電力泊原発九州電力川内原発の敷地そばには、洞爺カルデラや 姶良(あいら)カルデラの噴火による火砕流の堆積(たいせき)物が残る。

(3)

 指針策定に参加した中田節也・東京大地震研究所教授(火山学)は「既存炉も評価し直した方がいい」と話すが、そうした動きは全くない。指針策定後、電力会社の担当者がある火山学者を訪ね、こう聞いたという。

 「(想定しないで済むよう)カルデラの噴火の確率が下がるように考える方法はないでしょうか」=つづく

(毎日新聞・連載特集)
この国と原発 アーカイブ(2011年)
http://mainichi.jp/feature/20110311/konokunitogenpatsu/archive/news/2011/index.html

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