「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

原発輸出/安全を保証できる状況か「社説」<神戸新聞 2013/11/02>

神戸新聞
HOME>http://www.kobe-np.co.jp/

原発輸出/安全を保証できる状況か「社説」
2013/11/02
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201311/0006466587.shtml

▼全文転載

 福島第1原発放射能汚染水漏れへの抜本的な対策は今も見いだせない。余震が続く福島では被災者が不安な日々を送っている。

 そんな状況で、原発輸出のトップセールスにいそしむ安倍晋三首相の行動に首をかしげる人は多い。避難を強いられている福島から批判の声が上がるのも無理はない。

 日仏の企業連合体とトルコ政府との原発受注合意に合わせ、首相はトルコを訪問した。同じ国を半年で2度訪れるのは異例だ。

 福島の原発事故後初めて原発輸出に合意したトルコは、日本と同じ世界有数の地震多発国だ。同じ災害の不安を抱える国に原発輸出を進めることには問題が少なくない。

 廃炉作業を進める前に汚染水の制御に手を取られ、事故原因も十分に解明できていない。そうした状況で首相は「世界一安全な原発技術を提供できる」と語る。

 その根拠はどこにあるのか。

 事故から2年半以上を経ても、原子炉や溶けた燃料の状況は把握できていない。地震が事故にどう影響したのかも分からない。

 原因解明と廃炉に欠かせない内部の調査は東京電力任せ。肝心な部分が曖昧なまま、安全性を保証することには無理がある。

 日本が世界一厳しい安全基準を求められているのは、実際に過酷事故を起こしてしまったからだ。

 津波地震への巨額の安全対策費なども踏まえ、地震多発国で原発事業は成り立つのか。事故が示した厳しい現実に、日本は答えを出せないでいる。重い問いは、10万年の管理が必要な核廃棄物の処分問題でも突きつけられている。

 日本が輸出に力を入れる途上国や新興国には政情不安を抱える国は少なくない。原発を狙ったテロや核兵器転用の問題にも輸出国は無関心、無関係ではいられない。

 数千億円という原発輸出は魅力的なビジネスだろう。しかし、欠陥などの問題があれば、逆に巨額の賠償を求められる。過酷事故を招けば国の責任も問われることになる。

 世界の原子力安全の向上を図る‐。そう話す安倍首相が取り組むべきは、福島の事故原因を究明し、廃炉の道筋をしっかりたてることだ。福島の事故と真剣に向き合っているのか。世界から厳しい目が向けられていることを忘れてはならない。

 

神戸新聞
HOME>http://www.kobe-np.co.jp/

神戸新聞 ご購読のご案内
宅配>https://ec.kobe-np.co.jp/hanbai/
電子版>http://www.kobe-np.co.jp/info/nextguide/