「北の山・じろう」時事問題などの日記

 ☆今は、無きブログのタイトル☆ 『取り残された福島県民が伝えたいこと』 管理者名 「取り残された福島県民」 当時のURL>http://ameblo.jp/j-wave024/

【水俣病認定指針】なぜ基準を見直さない(社説)<高知新聞 2014年03月>

高知新聞
ホーム>http://www.kochinews.co.jp/

水俣病認定指針】なぜ基準を見直さない(社説)
2014年03月09日08時03分
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=316733&nwIW=1&nwVt=knd
▼全文転載

 なぜ国は、過去の水俣病行政の在り方を反省して認定基準を見直そうとしないのか。このままでは被害者救済はいつまでたっても終わらない。
 水俣病の認定基準について環境省は新たな運用指針を熊本、新潟県など関係自治体に示した。
 現行の認定基準は感覚障害のほか、視野が狭くなるなどの複数の症状の組み合わせを原則条件としている。新指針は、症状が手足の感覚障害だけでも患者認定ができるとした。
 昨年4月、単独の症状でも患者認定すべきとの最高裁判決を受けた措置だが、肝心の認定基準は変えなかった。被害者団体などは基準変更を求め続けており、抜本的見直しには程遠い。
 国が水俣病を公式確認して58年。これまで3万人を超す被害者が認定申請したが、厳しい基準がネックとなり認められたのは1割にも満たない。
 最高裁判決は認定基準自体を否定しなかったものの、厳しすぎる国の基準に反省と見直しを求めたといえる。
 高齢化した被害者のことを考えれば運用指針という小手先の対応ではなく抜本的変更に踏み込むべきだった。最高裁で否定されていないとの理由で変更しなかったとすれば、被害者に真剣に向き合っているとはいえない。
 しかも、新指針には認定のハードルを上げかねない基準が盛り込まれた。
 例えば、水銀摂取と発症時期について「1カ月から1年程度」なら因果関係が認められるとし、認定には汚染魚介類の入手方法や居住歴、家族歴など客観的資料を求めた。
 だが、被害者の多くは高齢化しており、昔の詳しい資料など残っていないケースが多い。被害者自身が証明するのは事実上難しいだろう。
 発症時期も一定期間を経た後に症状が出る例が知られている。発症時期を区切った指針に「被害者の締め出しにつながる」と警告する専門家もいる。
 そもそも新指針が環境省や関係自治体内の検討だけで決まったことは問題だ。患者会などが「被害者を無視し、切り捨てようとしている」と強く反発するのも当然だろう。
 国はこれまで認定基準を変えない代わりに、未認定者への一時金支給などで水俣病解決を図ろうとしてきた。そうした場当たり的対応が、もはや限界だということに、なぜ気付かないのだろう。被害者切り捨ての歴史に、いい加減で終止符を打つべきだ。


高知新聞
ホーム>http://www.kochinews.co.jp/
高知新聞購読のご案内
http://www.kochinews.co.jp/annai/koudoku.htm