「北の山・じろう」時事問題などの日記

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国が教科書是正要求 政治的中立性に不信感が募る<愛媛新聞 2014年03月>

愛媛新聞
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社説

国が教科書是正要求 政治的中立性に不信感が募る

2014年03月17日(月)
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201403175382.html
▼全文転載

 沖縄県竹富町教育委員会が採択地区協議会の答申と異なる中学公民教科書を使っている問題で、下村博文文部科学相地方自治法に基づく是正要求に踏み切った。
 国が市町村に直接是正要求するのは初めてだ。竹富町教委側が従わなくても罰則はなく、国が違法確認訴訟を起こし勝訴したとて強制力は生じない。 とはいえ、強硬姿勢は度重なる指導の空振りに業を煮やした安倍政権の政治介入と映る。政治的中立性の危うさを露呈したとも言えよう。容認することはできな い。
 八重山地方の採択地区協議会は石垣市竹富町与那国町の3市町からなる。2011年8月、保守色の強い育鵬社版を選定した。竹富町教委は、米軍基地問題の記述の不十分さなどを理由に拒否。民間からの寄付で東京書籍版を独自に購入している。
 教科書採択に関する二つの法律の存在が、問題を複雑にする。地方教育行政法は、教科書を採択する権限は市町村教委にあると定める。一方、教科書無償措置法は、共同採択地区内では同じ教科書を使うと定めている。国は無償措置法が優先するとの立場だ。
 問題再発を防ごうと、政府は是正要求と並行し、協議会設置や答申の順守義務など、共同採択ルールの明確化を盛り込んだ無償措置法改正案を閣議決定した。国が法の不備を改めるのは当然だが、解決を急ぐあまり、踏まねばならぬ手順を忘れてはならない。
 竹富町教委側は、協議会の委員構成などに一貫して疑義を唱えている。育鵬社版の内容を突っ込んで議論した形跡はなく、議事録からは教科書を読んでいない委員が複数いたことさえうかがえる。
 採択の不一致を受けて開かれた3市町の全教育委員による会議では、一転して東京書籍版が選ばれた。協議会は育鵬社版ありきだった可能性がある。国は竹富町教委の採択を違法と断じる前に、選定経緯の検証を急ぐべきだ。
 是正要求が沖縄県教委の頭越しになされたことも見過ごせない。国は昨年10月、是正要求するよう県教委に指示していたが、5カ月たっても指示に従わないことを理由に、文科相が「事務の怠慢だ」と批判して直接動いた。
 県教委はただ放置していたのではない。採択地区を竹富町と他の2市町に分割するという「大人の知恵」を模索していた。基地問題という沖縄ならではの機微に触れる問題に慎重に向き合う姿勢は、むしろ評価されるべきだ。
 地方教育行政法は「地域の実情に応じた教育の振興」を理念の一つに掲げる。国に求められるのは、地方の知恵を否定して画一的な教科書採択を押しつけることではない。地方が抱える事情に配慮する懐の深さにほかなるまい。

 

 

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