「北の山・じろう」時事問題などの日記

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泥沼化する汚染水問題に射す唯一の光明 「前に出る」方針を政府は加速せよ<現代ビジネス>

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経済の死角
泥沼化する汚染水問題に射す唯一の光明 「前に出る」方針を政府は加速せよ
 2013年09月03日(火) 町田 徹
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▼全文転載

 

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福島第一原発の汚染水問題が泥沼化する中で、政府が前面に立って、海への汚染水の垂れ流し対策に乗り出す姿勢を鮮明にした。
 なぜ、決断にこれほど長い時間を必要としたのか、そもそも実態が解明できたのか、今打とうとしている手がベストチョイスなのかなど、突っ込みを入れる向きは少なくない。

 しかし、汚染水問題が阿武隈山系の地下水脈という大自然との未知の戦いになりつつある中で、あえて困難な決断を下した安倍政権のトライアルは、我々にとって唯一の光明である。

 その一方で、原発・電力危機の抜本的な解決に必要なのは、汚染水問題への取り組みだけではない。除染、廃炉、賠償といった直接的な福島第一原発の 事故処理に加えて、東京電力という巨大な不良債権の処理や電力システムの改革、原発再稼働に伴う賠償制度の整備といった課題が山積しているからだ。
民主党政権時代も通じて、初めて国が示した「前に出る」姿勢をぶれることなく、すべての関連分野で貫いて、日本の経済・社会のアキレス腱となっている原発・電力問題を解決して貰いたい。

安倍総理は外遊中のカタールで国が前面に出ることを強調

 先月29日早朝(現地時間28日夜)、外遊中の安倍晋三総理がカタールで記者会見し、改めて汚染水問題で国が前面に出る方針を強調した。
 記者団の質問に答える形で、「福島の事故は、東京電力任せにせず、汚染水対策を含めて、国として緊張感を持って、しっかりと対応していく必要がある」 「私から、経済産業大臣及び原子力規制委員長に対し原因の究明と対応の対策を指示し、経済産業大臣が新たな対策に着手している」「政府を挙げて、全力で取 り組んでいく所存である。政府が責任を持って対応し、国内外にしっかりと発信していく」などと力を込めたのだ。

 首相が汚染水問題に言及したのは、8月7日の原子力災害対策本部での挨拶に続いてのできごとだった。

 

{2}

 この間、政府では、菅義偉官房長官が26日午前の記者会見で汚染水問題に触れ、「実は、2週間前に、(茂木)経済産業大臣に対して、抜本対策を早急に進めるべく、予備費の活用も含めて財政措置もできる限りのことを行うよう指示した」と内幕を披露。
 これを受けて茂木経産相が同日、原発周辺への地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の調査研究と建設に国費(予備費、2013年度は一般会計に3500億円、復興特別会計に6000億円がそれぞれ計上されている)を投入する方針を表明した。

 これまでに明らかになっている政府・東電の対策をまとめると、これらが柱だ。

1. 凍土遮水壁原発付近への地下水の流入を遮断
2. 原発内の汚染水を新型浄化装置で浄化
3. 原発の海側に水ガラスと呼ばれる薬剤を投入して汚染水が海に流れ込むのを防ぐ遮水壁を構築
4. 汚染されていないか、汚染されていても低濃度の地下水は海に放出する

 これらの措置を組み合わせることで、廃炉作業の大きな障害となっている汚染水問題を解消したいとしている。

 こうした対策について、専門家の間から、様々な疑問が提起されているのは事実だ。
 もっとも根本的なのは、そもそも流れ込む地下水の全容と汚染の原因を特定できたのかという疑問だろう。阿武隈山系から日量1000トンの地下水が1~4号機の原子炉建屋付近に流れ込み、このうちの400トンが建屋のひび割れから建物の内部に侵入しているという。

 これらは汲み上げて、貯蔵タンクに移している模様だが、残りの600トンのうち300トン(ドラム缶1500本分)がトレンチ(地下坑道)の高濃度汚染水と混じって海に流れ込んでいるのではないか、と経済産業省は見ている。
 しかし、これらの見方は所詮、推計でしかない。

 

{3}

 また、切り札の凍土遮水壁は、1~4号の原子炉建屋を囲い込むように、1400mにわたって地盤を掘削。管を地中に一定の間隔で並べて埋め、その 中にマイナス40度の冷却材を流し込むことによって、周辺の土を凍らせて地中に凍土の壁を構築し、建屋への地下水の流入を防ごうという試みだ。

安倍政権が今年4月「廃炉対策推進会議(議長・茂木経産相)」の下部組織として設置した「汚染水処理対策委員会」に、ゼネコントップの鹿島建設が 提案。粘土や砕石などを使った他社の遮水壁構築案よりも、「遮水能力が高く、施工期間も短い」として採用されることになった経緯がある。

参院選が終わるまで「不都合な真実」は隠されていたのか

 しかし、原発で使われた例は世界のどこにも無く、今回が初めてのケース。技術的な課題は多い。また、2013年度中に調査を済ませて工事に着手する方針だが、稼働するのは早くても15年度前半になるという。
 費用の面でも、調査研究費と建設費をあわせて数百億円以上の資金が必要とみられている。その費用に見合う効果が期待できるのか、失敗した時の代替手段はあるのか、といった専門家の疑問の声は相変わらず根強い。

 さらに、対応が遅いと指摘する向きもある。というのは、「汚染水処理対策委員会」が凍土遮水壁の構築を含む「地下水の流入抑制のための対策」の採用を決めたのは、今年5月末のこと。
 にもかかわらず、当時、政府は対応を東電に押しつけていた。政府が「汚染水処理対策委員会」を再開し、安倍首相が「前に出る」方針を打ち出すまで3カ月 近い空白があった。この間に、参議院議員選挙があったことから、「不都合な真実」を隠していたのではないかと疑問視する向きもある。

 

{4}

 だが、そうした疑問を割り引いても、福島第一原発事故の発生から2年の歳月を無為に過ごした民主党政権と比べて、自民、公明連立政権が発足から8カ月でここまで辿り着いたことは積極的に評価すべきだろう。

 国費の投入も辞さない、とした政府の方針転換を支持せざるを得ない理由は2つある。

 第一は、東電には、汚染水問題はもちろん、廃炉、賠償、除染といった事故処理を進める能力も資力もないことだ。タンクからの高濃度汚染水の漏えい 問題の経緯を見ても、東電が愚図愚図と隠ぺいしようとしてきたことは明らか。この会社には一向にまともなガバナンスが芽生える気配がない。
 こんな会社は、一刻も早く破綻処理をして、株主責任と貸し手責任を追及し、国民負担を最小限にする必要がある

 第二は、東電に代わる汚染水処理、廃炉、賠償、除染の担い手は、国以外に存在しないことである。東電を破綻処理しつつ、新たな首都圏の電気事業の 担い手作りを進めることも、国家の役割だ。少しでも電力料金高騰を防ぐためには、配電も含めた発・送電の分離や地域独占、総括原価方式の見直しを軸とした 電力市場への競争導入が欠かせない。
 また、原発を本当に再稼働するならば、原子炉1基当たりの上限が600億円で、実際に原発事故が起きれば無力の原子力損害賠償保険の刷新も不可欠になる。

 だが、これらの抜本策はいずれも、"政府の金庫番"である財務省がおいそれとは応じない話だ。

財務省メガバンクと共闘するシナリオもあるか

金融関係者の間では、東電は、今年10月からの3カ月間に4000億円前後の銀行借り入れの返済を控えており、全額ロールオーバー(借り換え)できないと資金繰りに窮するのは確実と見られているが、財務省は現行の支援の枠組みを見直す気がまったくない。
 現行の枠内で最小限の追加資金を提供するにとどめたいのである。ましてや破綻処理となれば、財務省が猛反発するのは必至。財務省メガバンクと共闘するシナリオもありそうだ。

 こうした状況では、安倍政権が主体になって真剣に取り組まないと、破綻処理の際に株主資本の100%減資と銀行借り入れの大胆な債権カットを断行して、追加の国民負担の発生を抑えることはできない。
 今回、安倍政権が汚染水問題限定とはいえ、「前に出る」と1歩踏み出したことは朗報だ。安倍政権には、これを前例として、電力・原発問題全般で「前に出る」ことを基本姿勢にしてほしい。
 健全で強固な電力供給市場の再建は、アベノミクスの肝と言われる成長戦略の大前提であることを忘れてはならない。

 


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