エネ計画政府案 未来を誤る“原発頼み”【社説】<中日新聞 2014年2月26日>
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エネ計画政府案 未来を誤る“原発頼み”【社説】
2014年2月26日
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▼全文転載
ベースロード電源とは、昼夜を問わず供給し続ける電源。それなしでは、経済も暮らしも立ちゆかない。
問題は大きく二つある。
単純に、また物理的に考えてもたとえば、増え続ける核のごみの処理策もないままに原発を重要な電源として動かし続けてもいいのだろうか。
また、もし事故があった場合の住民の大規模な避難計画は机上では策定しているが、実際に過酷事故で十万人単位の規模の住民を速やかに避難させることなどできるのだろうか。
政府案では、原子力規制委員会が規制基準に適合すると認めた場合、原発を再稼働させるとなっている。法律に従えばその通りである。慎重を期すのは当然であり、科学的に十分実証できるとするのなら、いいのかもしれない。
だが、実証は難しく、国民の不安はなおぬぐいきれていないというのが実情ではあるまいか。
再び、経済産業省の官僚たちが机上で考えたプランが動きだすのか、と想像を巡らす国民は少なくないだろう。
問題のもう一つは、原発の重視によって失われかねない新技術への意欲、投資の低減である。
外国ではドイツをはじめ、イタリア、スイスなどが脱原発を表明している。ベース電源としては、太陽と違ってそれこそ昼夜を問わない風力(ドイツ)また水力(スイス)発電が重視されている。
きのうの政府案は再生可能エネルギーの積極的推進を述べてはいる。
しかし、おおもとのところで原発に頼れば、新たなエネルギーへ踏み出す勢いは大きくそがれる。かつて石油危機の時、日本が世界を牽引(けんいん)するような省エネ技術や環境対策を実現させたことを、今こそ思い出したい。
原発に頼らぬことは、夢物語ではないのである。
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